アートディレクターのつらいこと・大変なこと・苦労
アートディレクターのつらいこと・大変なこと
多様化する消費者ニーズに応える大変さ
かつての広告制作の場では、テレビCMやラジオ、新聞、雑誌を中心とした多くの人に一様にアプローチする媒体が中心であり、広告主が発信したい情報を流すことが主流でした。
しかし近年ではこれらの媒体の比重は、インターネット広告や、さまざまな顧客のために細分化されたセールスプロモーションツールへシフトしつつあります。
多様化する消費者のニーズをとらえ、直接購入や来客につながる個々へのアプローチが求められるように変化が起こっています。
現在のアートディレクターには、媒体やアプローチ方法のノウハウをものにしたうえで、他社とは一線を画した独自のアイディアや表現の提案が求められるようになってきました。
さらにその需要は今後ますます高度化、専門化していくとみられるため、柔軟な対応力や伸びしろを持っていなければなりません。
しかも、直接購入や来客といった消費者の反応はすぐに数値化されクリエイターにも跳ね返ってくるため、クライアント側からのプレッシャーは強まっていく傾向にあるといえるでしょう。
こうした圧迫感は、アートディレクターの大変なことのひとつです。
クリエイターをまとめる苦労
複数のグラフィックデザイナーをまとめ、企画の主旨に合ったデザインワークを仕上げてもらうことが、アートディレクターの重要な役割です。
また、クリエイティブディレクターが不在の会社においては、アートディレクターはデザイナー以外にもコピーライター、カメラマン、イラストレーターなど多数のクリエイターを指揮する場合があります。
アートディレクターはクライアントのニーズや案件のコンセプトなどをしっかり把握し、クリエイターに指示を与えたり、チェックや修正依頼を行わなくてはなりません。
しかし、自分の仕事に強いこだわりを持つクリエイターをコントロールするのは一筋縄ではいかず、クライアントとクリエイターの間で「板ばさみ」のような状況になることもあります。
幅広い知識・スキルやマルチタスク能力が求められる
アートディレクターの仕事では、デザイナーとして一定以上の能力のほか、ビジュアルデザイン全般の知識が必要になります。
加えて、ディレクターとしてスタッフを管理する能力や、クライアントと適切にコミュニケーションがとれる力など、多様なスキルを求められるのが大変なところです。
昇進したからといってのんびりできるわけではなく、日々業界の動向について新たな情報を仕入れ、自分自身をブラッシュアップする努力が必要です。
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アートディレクターの悩み
広告などのクリエイティブに深く関わるアートディレクターは、どんなときでも、街のいたるところにある広告やデザインについて「制作の背景」を想像します。
制作物には必ず「意図」があります。
アートディレクターはそのことをよく知っているからこそ、どんな目的で、誰をターゲットにデザインが作られたのかまで、つい頭をめぐらせるのです。
また、ユニークなデザインに触れたときや、おもしろい企画に出会ったときには、「自分の仕事にも生かせないだろうか」という観点で見るようになります。
一般の人のように、ただ「きれい!」「おもしろい!」というだけで広告を見るのが難しくなってしまうのは、ある意味、この業界に関わる人ならではの職業病といえるでしょう。
アートディレクターを辞める理由で多いものは?
アートディレクターは、自分の仕事を愛している人が多いため、なかなか辞めたくなることはないようです。
とくに、グラフィックデザイナーを何年も経験し、ようやくアートディレクターになった人は、デザイナー時代よりも一段高いところから仕事の全体を眺められます。
ただ、仕事が好き過ぎてつい過労気味になり、体調を崩してしまう人もいるようです。
また、アートディレクターには自分の世界観とこだわりを強く持っている人もいます。
そういった人は会社の意向で仕事をするのが肌に合わなくなり、独立してフリーランスになったり、自分のデザイン事務所を立ち上げたりするケースもあります。