水泳選手のつらいこと・大変なこと・苦労

水泳選手のつらいこと・大変なこと

自己ベストがなかなか更新できない時期

水泳選手にとって最もつらいのは、どんなにがんばって練習してもタイムが伸びない時期でしょう。

自己ベストを更新できないばかりか、泳ぐたびにタイムが後退することもあります。

もちろん怪我や故障で泳げなかったり、タイムが伸びないときもつらいですが、まだ原因がはっきりしていれば精神的に楽です。

「まず、腰痛をしっかり治そう」とか、「いまのうちにフォームを見直そう」などと気持ちを切り替えられます。

しかし、体調も悪くなければ、練習もがんばっている。

それなのにタイムが伸びないというのは、出口の見えない迷路に入り込んだようで精神的にかなりつらいものです。

北島選手でも陥ったスランプ

練習しても、練習してもタイムが伸びない、むしろ悪くなるような時期を「スランプ」と呼びます。

スランプに陥った本人は、精神的に大変ですが、実は、水泳選手なら誰もが経験しています。

あの北島康介選手でも、アテネ五輪後、自己記録が4年近くも更新できませんでした。

アテネ五輪で金メダル2個を獲得した後は、練習に取り組んでも気持ちが入らなくなったといいます。

精神的に抜け殻状態になったうえ、病気や故障で入院もしました。

その後は体調が回復したと思っても、世界ばかりか日本でも勝てなくなり、水泳界でも「北島はもう引退だろう」と噂されました。

北島選手でもスランプに陥るのですから、スランプは水泳選手につきものです。

小学校低学年から本格的に水泳をつづけていれば、たいていの選手は、5年、10年の間に少なくとも2度や3度のスランプに陥った経験があるはずです。

北島選手は4年間も自己ベストを更新できませんでしたが、1年、2年更新できないケースは珍しくありません。

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水泳選手の悩み・よくある怪我

北島選手のスランプ脱出法

北島選手は、徹底的に自分を見つめなおすことでスランプ脱出に成功したと語っています。

それまでの自分が取り組んできたことを丁寧に振り返り、自分の泳ぎを修正することで調子を取り戻しました。

実際、水泳選手のスランプは、フォームを見直して修正したり、何かのきっかけで気持ちが吹っ切れて脱出することが多いようです。

スランプに陥ると、気持ちが焦り、気持ちが焦るとタイムが悪くなります。

タイムが悪くなると自信を失い、ますますタイムが悪くなってしまいます。

そんなとき、気持ちが小さくなると同時に、泳ぎも小さくなっていることが多いです。

「泳ぎが小さくなっている」といっても、本人やコーチが気づかないほど微妙な違いかもしれませんが、フォームを細かに見直して修正することが復活のきっかけになり得ます。

本来ののびのびとした泳ぎを取り戻せれば、再びタイムも伸びるはずです。

スランプ脱出のきっかけ

コーチや友人の一言や、尊敬するスイマーやアスリートの一言、音楽などをきっかけに、気持ちが吹っ切れることがあります。

また、強化選手に選ばれたり表彰されたり、そういうことがきっかけで、心がフッと軽くなることもあるでしょう。

すると、これまで沈んでいた気持ちが明るくなり、行動や考え方も大きく変わっていきます。

スランプのときには、フォームを丁寧に見直したり、自分を見つめ直したり。

あるいは、水泳を少し離れて旧友と遊んだり、お気に入りの漫画や映画、音楽を楽しんだり、本を読んだり、水泳以外で自分の好きなことに取り組んでみるのがいいようです。

水泳選手によくある怪我

水泳選手は肩や膝など、関節に負荷がかかり怪我をすることがあります。

トップクラスの選手になると、ひじや首など、さらに細かな関節の故障がフォームに影響をおよぼすケースも出てきます。

当然、腰の故障もあります。

泳ぐことで、自分の体重が腰にかかることはありません。

しかし水泳選手は、小さい頃から1日に何千メートルも泳ぐ過酷なトレーニングを繰り返しています。

泳ぐときに腰を反らせる癖があると、どうしても腰に負担がかかってしまいがちです。

とくにクロールでは、水中で肘を高くして腕をかくため、上体が反りやすく、腰にも負担がかかりやすいです。

この状態で1日に何千メートルも泳ぎ、それを何年も繰り返していると、腰への負担も相当なものになります。

また、バタフライや背泳ぎでも、その泳法から腰に負担がかかりやすいです。

過酷な練習を繰り返していると、ついには腰が悲鳴をあげる可能性が出てきます。

その結果、腰が痛くなったり、腰椎が壊れたり(腰椎分離症)、競技生活にも影響が出るほどの故障を起こす選手がいます。

水泳選手を辞める理由で多いものは?

水泳選手の引退は、トップレベルになるほど怪我によるものよりも、タイムが伸び悩んだり、モチベーションの維持ができなくなった場合に決断するケースが多くなります。

もちろん、それまでの過程の中で怪我が影響を及ぼさないわけではありませんが、大会に出て周りとの実力差を痛感した場合、引退を決意します。

北島康介選手は、リオデジャネイロ五輪の予選で敗れ、5大会連続のオリンピック出場が絶たれたことで引退しました。

トップレベルで戦う多くの選手はオリンピックや世界選手権など大きな大会を目指してトレーニングを積み、そこで出た結果によって引退か、現役続行かを考えます。

仮に現役続行を決断したとしても、大会を目指して行ってきた過酷なトレーニングにすぐに立ち向かうのは精神的にも厳しいです。

そのため一度水泳を離れて、旅をするなどリフレッシュをしてからトレーニングを再開する選手もいます。

長く現役を続けた選手ほど、このあたりのモチベーションのコントロールが上手です。

大きな結果を出すために自らを追い込むことも大事ですが、水泳が好きで、水泳に打ち込みたいという思いをうまく維持できるように自分と向き合うことが必要です。