水泳選手の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「水泳選手」とは
主に企業の水泳部に所属し、国内外の大きな大会に出場して好成績、上位入賞を目指す。
水泳選手の仕事は、国内外の大きな大会に出場して好成績を収めることです。
大きな大会は参加標準記録や人数制限があるため、それなりに実力がなければ出場できません。
学生時代は、スイミングクラブや学校の水泳部に所属して都道府県の水泳連盟に登録して活動します。
大学卒業後、プロになり、水泳選手としての稼ぎで生活することは非常に難しいため、ほとんどの選手が競技活動を支援してくれる会社に就職します。
収入は就職先の会社の給与体系に基づきますが、トップ選手の場合は強化費や臨時ボーナスがでる場合もあります。
水泳選手のピークは、ほかのスポーツと比べて若いときである傾向がありましたが、近年は引退時期が遅くなり、30歳を過ぎて活躍する選手も出てきています
「水泳選手」の仕事紹介
水泳選手の仕事内容
水泳で好成績を収める
水泳選手の一番の仕事は、国内外の大きな大会に出場して好成績を収めることです。
自分の出場する大会を目指して練習し、本番で記録を出し、上位入賞することが水泳選手の仕事です。
出場する大会に照準を合わせ、日々の練習に打ち込むことも水泳選手にとっての大切な仕事です。
練習拠点とするスイミングクラブや大学のプールに通い、さらに合宿などを通して、大会当日にベストコンディションで臨めるようにします。
水泳を続けるためには多くの費用が掛かるため、ほとんどの水泳選手は企業の水泳部に所属しています。
好成績を収め所属企業をPRしたり、水泳の楽しさを多くの人に知ってもらえるよう広報活動をしたりすることも水泳選手の重要な役割です。
水泳選手になるには
社会人で続けるには狭き門
水泳選手には、各都道府県の水泳連盟(協会)に選手登録をすれば、誰でもなることができ、各種の大会に参加できます。
ただし、大会に出場するには大会ごとに設けられた標準記録をクリアしておく必要があり
これを突破していなければ、大会にエントリーすることがでないので注意が必要です。
社会人になっても第一線の水泳選手として競技生活を続けようと思えば、遅くとも高校時代に高校総体や国体といった全国大会に出場して記録を残さなければなりません。
さらに社会人になっても、水泳選手として競技生活を続けたければ、オリンピック代表を狙えるレベルの記録をマークしておきたいです。
そうでなければ、企業などへの就職後も競技生活に専念することが難しいでしょう。
水泳選手の給料・年収
一般社員と同程度だがボーナスも
日本のトップ選手は、大学を卒業するとたいてい企業に就職します。
会社では仕事を免除され、社員選手として競技生活に専念できます。
給料は、大学卒の一般社員と同じ程度で200万から300万円が相場です。
それでも普段の活動費や遠征費などを負担してもらえますので、選手としては恵まれているでしょう。
それに加えて、強化選手に指定されれば強化費がもらえますし、オリンピックなど大きな大会で活躍すれば、臨時ボーナスも手に入ります。
水泳選手として活躍すれば、同世代の社員よりも収入は多くなるでしょう。
関連記事水泳選手の年収はいくら? 給料についてくわしく解説・待遇
水泳選手の現状と将来性・今後の見通し
プロになるのは難しい
水泳選手の特徴の一つに、競技年齢のピークが低いことがあります。
中学生や高校生が、日本選手権に出場し、オリンピックや世界水泳の代表選手にも、高校生や大学生が目立っています。
しかし、水泳だけでは生活できませんので、大学を卒業するとほとんどの選手がスポーツ関連企業や一般企業に就職します。
現在の水泳競技はさまざまな弊害があり、ほかのスポーツのようにプロ化は難しいといわれますが、今後20代、30代のトップ選手が増えてくれば、水泳界の環境や考え方も少しずつ変わっていく可能性はあります。
水泳選手の就職先・活躍の場
ほとんどが企業に所属する選手
水泳大会には賞金が出る場合もありますが、日頃の活動費や遠征費など競技活動を続けるのに多額の費用がかかるため、水泳選手のほとんどは企業に所属し、社員選手として競技活動に専念しています。
所属企業から競技生活をサポートしてもらう見返りとして、好成績を収め企業の名前をPRします。
トップ選手が出場する大きな大会には、「オリンピック」や「世界水泳」、「アジア大会」などの国際大会と、「日本選手権」や「国体」といった国内大会があり、選手たちはこうした大会で良い記録を納めることを目標としています。
水泳選手の1日
大会に合わせた生活をする
水泳選手は、出場する大会に照準を合わせた練習を行うため、毎日のスケジュールは日々変わります。
ここでは、企業選手として活躍する水泳選手の大会前日の1日を紹介します。
<水泳選手の大会前日の1日>
5:00 ホテルの部屋で起床
6:00 朝食(ごはんとみそ汁、おかず、納豆)
7:00 部屋でリラックス
9:00 チームメイトとホテルの周辺を散歩
11:30 昼食(パスタなど、炭水化物メイン)
12:00 小休止
13:00 大会会場へ移動
13:30 公式練習
15:00 記者対応
16:00 軽食(持参したパン)
16:30 借りたプールで最終調整
17:30 ホテルに移動
19:00 夕食(炭水化物中心。消化の悪い肉類や食物繊維は避ける)
20:00 友人たちとリラックス
21:00 身体調整
22:00 就寝
水泳選手のやりがい、楽しさ
自己ベストを更新し、好成績を残す
水泳選手のやりがいは、何といっても自己ベストを更新することです。
とりわけ目標としてきた大会で自己ベストが更新できれば、大きな達成感を得ることができます。
また目標とする大会の標準記録を突破し、オリンピックや世界水泳など大きな大会へ出場することも水泳選手にとって大きなやりがいになっています。
競泳選手への国民の期待は高く、大いに注目されますので、オリンピックや世界水泳に出場することは、選手にとって大きなやりがいです。
水泳選手のつらいこと、大変なこと
スランプに陥ってしまう
水泳選手にとって最もつらいのは、どんなにがんばって練習してもタイムが伸びない時期でしょう。
いわゆる「スランプ」という時期ですが、これに一度陥ってしまうと自己ベストを更新できないばかりか、泳ぐたびにタイムが後退することもあります。
体調も整え、練習内容も吟味しているのにタイムが伸びないというのは、非常に焦りを感じますし、成績が延びなければ選手生命も危うくなってしまいます。
スランプを脱するまでは、出口の見えない迷路に入り込んだようで精神的にかなりつらいものです。
水泳選手に向いている人・適性
努力ができ情熱がある人
水泳に限りませんが、スポーツの世界でトップ選手になるかどうかは、才能よりも努力と気持ちが重要と言われています。
たとえ身体能力や身長などの体格にあまり恵まれなくても、熱い気持ちを持ち、日々の練習や水泳に関する知識を高めるなど努力を重ね、トップ選手になった人は少なくありません。
ソウル五輪で金メダルを獲得した鈴木大地選手が、「私の手には水かきがついている」とコメントして話題になったことがありますが、それくらい水泳に打ち込まなければ、オリンピックで金メダルを獲得するのは難しいという話でもあります。
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水泳選手志望動機・目指すきっかけ
水泳を続けたいという気持ち
水泳をしている人は、高校・大学などの進路を選ぶ際「水泳を続けるかどうか」という壁にぶつかります。
水泳に力の入れている強豪校に進学するか、それともスイミングスクールなどで私的に水泳を続けるかなど、さまざまな選択肢がありますが、「水泳を続けたい」という気持ちを持ち続けていなければ、水泳を続けることはできません。
大学を卒業しても競技生活を続ける選手は、ほとんどがオリンピックの代表候補クラスなので、水泳を続けたいならば高校・大学のうちにしっかりと好成績を収めることが必要です。
水泳選手の雇用形態・働き方
社員選手は競技生活に専念
スポーツ関連企業はもちろん、一般企業でも、日本水泳連盟の強化選手に指定されている選手は、社員でありながら競技活動に集中できます。
現役引退後は、その企業を辞める選手もいますし、そのまま企業に所属して働き続ける人もいます。
現在、日本でプロの水泳選手として活動しているのは北島康介選手のみで、スポンサーと契約を結びプロとして活動するのは、金メダルを獲得し国民的スターになるレベルまでにならないと難しい状況です。
水泳選手の勤務時間・休日・生活
シーズン中とシーズンオフ
水泳選手の生活は、シーズン中とシーズンオフではまったく違います。
競泳競技のシーズンは、3月から10月頃までです。
4月の日本選手権で日本代表選手になれば、その後は、出場する国際大会に照準を合わせた生活になります。
オリンピックや世界陸上の開催される年は、少なくとも1年以上前から日本選手権を意識した生活をします。
シーズンオフになると、休養とトレーニング、体のケアが中心になります。
社員選手はイベントに出席したり、スイミングスクールの講師になったり、テレビ番組に出演することもあります。