女性の視能訓練士のキャリアパス・結婚後の生活
女性の視能訓練士の現状
視能訓練士の男女比は、そのほとんどの割合が女性であることが「視能訓練士実態調査報告書2015」において明記されています。
n=2264
・女性:86.8%
・男性:13.2%
※「n」はサンプル数のことです。
「視能訓練士は女性の仕事である」という印象を強く受ける数値ではありますが、その考え方は古く、視能訓練士における男性の割合は年々増加傾向にあるのです。
・1995年:3.5%(n=1025)
・2000年:6.3%(n=1356)
・2005年:7.8%(n=1789)
・2010年:10.8%(n=2101)
・2015年:13.2%(n=2264)
このように、5年で1~3%ずつ男性の割合が増加していることがわかります。
とはいえ、現状で視能訓練士の8割以上が女性であることには変わりなく、勉強会などで同じ視能訓練士と関りを持つ機会の多い視能訓練士は女性にとって働きやすい環境であるといえます。
働きやすさの観点から見ると、医療現場という清潔な環境が整った職場で働けることもまた、女性にとって嬉しいポイントではないかと思われます。
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女性の視能訓練士の強み・弱み
同じ視能訓練士には女性が多い
前述のとおり、現状で8割以上の視能訓練士は女性です。
視能訓練士として働くうえで、同僚や先輩はその多くが女性であり、悩みを相談しやすいなどのメリットがあります。
また、外部の勉強会などで他所の視能訓練士ともかかわりを持つ機会が多いため、同じ視能訓練士が同性である割合の方が多い点はメリットが多いといえます。
腕力などが求められる仕事ではない
女性が男性よりも不利になる点としては「腕力」などの身体能力が挙げられます。
仕事によっては男性の腕力が生かされる仕事もありますが、視能訓練士の仕事は「重いものを運ぶ」などの身体能力が求められる仕事ではありません。
よって、腕力や体力に自信がない女性でも、視能訓練士の仕事において特別に不利になるということはありません。
子育ての経験が生きることも
女性の人生の中には「結婚」や「出産」のように、職場を離れる機会の多いイベントが少なくありません。
復職は多くの仕事で大変であるというイメージがありますが、小さな子供の患者さんにも携わる機会の多い視能訓練士の仕事においては出産や子育ての経験が生かされるケースも出てくるでしょう。
視能訓練士の結婚後の働き方・雇用形態
結婚後でも女性は仕事を続けたり、結婚を機に一度離れた職場に戻りたいという思いも出てくると思います。
しかし、正規雇用の勤務形態では家事や育児を両立させることは難しく、その点が継続勤務や復職を妨げているのが社会の現状です。
ですが、視能訓練士の仕事は正規雇用以外にも非常勤や契約職員などの勤務形態もあるため、家事や育児をしながら視能訓練士として働き続けることができるのも特徴です。
どのような勤務形態が利用できるかについては勤務先によって異なりますが、結婚後に勤務形態を変えたり、復職するにあたって以前とは異なる勤務形態を希望する場合には、職場の担当者と相談して希望通りの働き方が実現可能であるかどうか確認しておきましょう。
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視能訓練士は子育てしながら働ける?
子育てに適した勤務形態もある
前述のとおり、視能訓練士の仕事は正規雇用の他にも非常勤や契約職員のように、週に数十時間や数日という非正規の勤務形態で働くこともできます。
お子さんがある程度の大きさになれば、家事や育児を両立させながらでも視能訓練士として働くことは十分に可能であるといえます。
ブランクがあっても復職は可能
他の問題としては「離職したことによる『ブランク』をどのように考えるか?」ということであり、この点については2つの利点があります。
1つは「視能訓練士の資格は有効期限がない」ことであり、国家資格を取得すれば生涯にわたって(更新などの必要なく)視能訓練士を名乗ることができます。
2つ目は「ブランクはある程度、勉強会などで埋められる」ことであり、復職前に院外の勉強会や研修会に参加することによって最新の技術や知識について学ぶことができます。
これらの利点から、一度職場を離れたママさん視能訓練士でも、視能訓練士として職場に復帰することは決して難しいことではないのです。
視能訓練士は女性が一生働ける仕事?
前述のとおり、視能訓練士の仕事は国家資格を受験して合格し、資格を取得しなければ名乗れない一方で、この資格には有効期限や更新などの縛りはないので基本的に一度この資格を取得すれば半永久的に視能訓練士を名乗り続けることができます。
女性には結婚や出産、子育てなどで職場を離れる機会も多いですが、上記の資格上の特性だけでなく、非正規雇用としての働き方も選択できる余地があることからも、女性が生涯にわたって働き続けやすい仕事の1つであるといえます。
教員免許を持っていれば視能訓練士の養成施設でも働ける機会が得られるなど、視能訓練士の働き方にはある程度の幅があります。
将来的に復職の機会を得やすいようにするには教員や保育士、介護士などの資格も取得しておくと安心です。