市長になるには

市長になるまでの道のり

市長になるまでの道のりに、これといって決まったパターンはありません。

政治経験の有無も人それぞれですし、前職についても、官民含めてバラエティに富んでいます。

ただ、市長のキャリアに関する統計によれば、もっともオーソドックスなのは市議会議員経験者であり、全体のおよそ30%ほどを占めています。

次いで、地方公務員として市の職員をしていた人が30%弱、県議会議員が約20%と続きます。

こうしたデータをみると、市議や県議として政治経験を積むか、あるいは現場スタッフとして行政の実務経験を積むことが、市長になるための近道といえそうです。

なお、まったく政治家としてのキャリアがない状態でいきなり市長に就く場合、経験豊富な元市議などを秘書として雇い、実務をサポートしてもらうケースが一般的です。

市長の資格・難易度

市長選挙に立候補するための資格は、「満25歳以上の日本国民であること」、これだけです。

あとは法務局に供託金を納めれば、市長選に出馬することができます。

必要な供託金は、政令指定都市の場合は240万円、それ以外の市は100万円です(令和3年度)。

制度として義務付けられている資格はこれだけですが、実際には、これらに加えて市長選を戦うための選挙資金も必要になります。

選挙資金の目安としては「人口30万人の市で1000万円程度」といわれており、政令指定都市の場合は2000万円~3000万円ほどかかるケースもあるようです。

また、厳しい選挙戦を勝ち抜くには、自身の政治的理念に賛同し、バックアップしてくれる支援団体も必要ですし、浮動票(とくに支持者のいない有権者の票)を取り込むための知名度もある程度は必要です。

経験、金、人脈、知名度など、市長になるには数多くのものが求められます。

市長になるための学校の種類

市長は基本的に学歴不問の職業であり、選挙の出馬資格をみても、学歴に関する条件はありません。

とはいえ、市長には「自治体の長」としてふさわしい幅広い専門知識・深い見識が求められますので、大半の市長は4年制大学卒以上の学歴を有しているのが実情です。

とくに政令指定都市ともなると、東大、京大、慶應、早稲田など、名だたる有名大の出身者が目立ちます。

学歴不問とはいえ、市長を目指すなら、できる限り難関大に進学し、政治や経済、法律などを専門的に学ぶ必要があるといえそうです。

なお、市議や県議を経由せず、いきなり市長を目指す人については、政治の実務を学ぶため、知り合いの議員事務所でボランティアスタッフなどとして一定期間働くケースもよく見られます。

こういった議員事務所や、各政党が主催している政治塾などが、実質的な「政治家の学校」としての役割を果たしている側面もあります。

市長に向いている人

市長には、たくさんのスキルが求められます。

リーダーシップ、広い視野、先見性、政策立案能力、アイディア力、実行力、交渉術など、あげていけばキリがありません。

ひとついえるのは、市長職に就いている誰もが、生まれつきそれらの能力を備えているわけではなく、普段から地道な努力をコツコツと重ねることによって、徐々に身に付けてきたということです。

そういう意味からいえば、市長に向いているのは、勉強熱心で、自分を磨く努力を続けられる「向上心」のある人だといえるでしょう。

いうまでもなく、たくさんの人の上に立つのは大変です。

実際の市長をみても、就任前・就任後に関係なく、さまざまな勉強会や研修、会合などに参加し、日々絶え間ない自己研鑽に努めているようです。

市長のキャリアプラン・キャリアパス

市長のキャリアパスとしてもっとも望ましいのは、2選、3選と何度も再当選を果たし、長期政権を築くことでしょう。

あるいは、都道府県知事になったり国会議員になってキャリアアップするというのも、理想的なプランといえるかもしれません。

ただ、これらのキャリアはどれも選挙で勝つことが前提となっていますが、「勝負は時の運」という言葉もあるとおり、絶対に選挙で勝てるという保証はありません。

つまり、極論すれば、市長のキャリアパスは自分で選択できるわけではなく、結局のところ「選挙次第」ということになります。

落選した場合のキャリアパスについて述べれば、再出馬して返り咲きを狙うか、諦めて別の職に就くかという2つの道に分かれます。

前者の場合は、所属する政党の職員や議員秘書などとして働き、政界に身を置いて次回の選挙を待つケースが多いようです。

後者の場合は、市長になる前の職に戻るケースや、民間のシンクタンクなどに転職するケース、大学で教鞭を取るケースなどが見られます。

市長を目指せる年齢は?

市長の年齢制限についてみると、上述のとおり下限は25歳であり、上限についてとくに定めはありません。

ただ、実際のところ、市長になるには豊富な経験や人脈が必要であり、20代はもちろん、30代で市長に当選する人もきわめてまれです。

市長の平均年齢は50代後半くらいですので、制度上可能とはいえ、若いうちから市長を目指すのはかなりハードルが高いでしょう。

これから市長になりたいという人は、いきなり市長を目指すよりも、まずは公務員試験の合格を目指したり、市議会議員を目指したほうが現実的かもしれません。

市長は女性でもなれる?

全国に800ほどある市のなかで、女性が市長を務めている自治体は約20、割合にしてわずか2~3%ほどです。

有権者の男女比が半々であることを考えると、こうした現状とはとても民主的とはいえません。

こうした男女比の偏りは、高齢者ほど旧態依然とした考え方をもっている人が多いこと、そして選挙で投票に行くのがその高齢者割合が高いことが要因として挙げられます。

少なくとも現状では、女性が市長になるのは、男性よりもハードルが高いといわざるをえないでしょう。

ただ、こうした状況は年々改善されつつあり、女性候補者が多く出馬した自治体もありました。

世代交代が進むにつれ、女性の市長もどんどん増加していくものと思われます。