市議会議員の需要・現状と将来性
市議会議員の現状
市議会議員を取りまく現状としては、「投票率の低下」と「なり手不足」という2つのキーワードが挙げられます。
近年は若者を中心に政治離れが進んでおり、地方選挙の投票率は下落傾向が続いています。
全国市議会議長会の調査によると、市区議会議員選挙の直近の投票率は50%を下回って推移しており、市民の「市政に対する無関心」が鮮明になっているといえます。
そうした影響もあってか、市議会議員になりたいと立候補する人も減少し続けており、議員定数に対する立候補者数は約1.2倍程度と、出馬した人の8割が当選する状況となっています。
投票する人も、投票される人も減っていくという状況は、いうまでもなく歓迎されるものではありません。
このままいけば、そう遠くない将来に地方自治は衰退し、機能不全に陥っていくかもしれません。
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市議会議員の需要
市議会議員の議員定数についてみると、市区町村によりますが、年々減っています。
この背景には、行政改革の一環として市町村合併が相次いだこと、そして財政負担を軽減するために議員定数の削減が実施されたことなどが挙げられます。
今後についても、人口減少に伴って議員定数は削減され続けていく見通しであり、市議会議員の需要は一貫して減少していく方向にあるといえます。
とくに過疎化の著しい地方の市ほど、急ピッチで議員定数が削減されていくでしょう。
そうなると、市議会議員はやがて「狭き門」となっていく可能性もあります。
市議会議員の将来性
市議会議員の将来性については、自治体によってかなり明暗が分かれるといえます。
3大都市圏をはじめとした人口密集エリアや、地方の中枢都市、政令指定都市などは、少なくとも当面の間は心配ないでしょう。
受け取ることのできる議員報酬も、市議会議員全体の月額平均値が40万円弱であることを勘案すれば、生活していくのに困るということはないはずです。
その一方、地方の市については、先行きは不透明といわざるを得ません。
政府はさまざまな政策を打ち出して地方分権を推し進めてはいますが、とてもうまくいっているとはいえず、現役世代を中心として、都市部への流入に歯止めがかからない状況です。
地方の自治体は、現役世代、つまり税金を納める人が少ない関係上、議員への配分も少なく、月の議員報酬が20万円を切る自治体も散見されます。
薄給なうえに、市町村合併や定数削減で競争も激しくなっていく一方となれば、市議会議員はこの先何十年と続けていける職業とはとてもいえません。
よほど地元に愛着があり、己を犠牲にする覚悟があるというのなら話は別ですが、将来性という観点でいうなら、地方で市議会議員になるのは非常にリスクが高いといえるでしょう。
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市議会議員の今後の活躍の場
市議会議員の活躍の場は、今後もそれぞれの自治体が中心となることは変わりありません。
しかし、その役割についてみれば、より「少数精鋭化」が進む見通しです。
市が厳しい財政状況に直面していることもあって、これまでのように市長の提出した議案の内容を審議するだけの市議は、もうそれほど多くの人数は必要とされないでしょう。
これからも市議を続けていけるのは、「税金で高い議員報酬を払ってもよい」と有権者に思ってもらえるだけの価値を示せる人だけです。
そのためには、何よりも「政策立案能力」が必要となります。
これから市議会議員を目指す人については、大学の政治経済学部や政策関連学部などで、政策について専門的に学ぶことをおすすめします。