潜水士になるには

潜水士になるまでの道のり

潜水士は、潜水業務を行う会社や組織に就職して働くことが一般的ですが、そのような場において潜水士としての仕事をするには、「潜水士免許」の取得が必要となります。

しかし、たとえ筆記試験をクリアして潜水士免許を取得できても、潜水の技能を身につけなければ実際に仕事としてやっていくのは難しいといえます。

というのも、潜水士はただ潜るだけでなく、潜ったうえで建設作業や船舶の修理、撮影、海底調査など、さまざまな業務をこなさなくてはならないからです。

また、水中という私たちが日常生活を送る陸上とは異なる環境に身をさらすことから、リスクも背負う仕事です。

潜水士として一人前になるまでには、最低でも10年はかかるといわれることもあります。

自分の命を守るためにも、まずは潜水に関する正しい技能を身につけておく必要があります。

こうしたことから、ほとんどの民間の潜水会社では免許取得に加え、先輩から教わりながら訓練を続けて潜水技能を高めていくという流れをとっているようです。

潜水士になるまでのルート

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潜水士に必要な資格・免許

潜水士資格の取得

潜水士として水中に潜って業務を行うためには、「潜水士免許」の取得が必須です。

潜水士免許は国家試験であり、厚生労働省が所轄する労働安全衛生法に基づいた「潜水士免許試験」に合格することで得られます。

潜水士免許に受験資格はなく、本人確認証明書の添付さえ行えば誰でも受験することが可能です。

試験内容は「潜水業務」「送気、潜降及び浮上」「高気圧障害」「関係法令」の4科目から成る筆記試験のみとなっており、実技試験は行われません。

専門的な試験ではありますが、合格率も70~80%前後となることがほとんどで、事前にきちんと試験勉強をしておけば合格自体はさほど難しいものではありません。

なお、潜水士免許はレジャーで海などに潜る際に必要とされるものではありません。

ダイビングライセンスとは異なり、あくまでも仕事として潜水作業に従事する労働者に必要とされる免許です。

潜水士におすすめの資格は?

仕事内容に応じた資格取得

潜水士の資格を取っただけでは、水中での業務を行うのは難しいです。

潜水士は一般的に、海底調査や護岸工事といった水中土木、作業ダイバーとしての水中溶接、あるいは海上保安庁や海上自衛隊の潜水員などとして仕事を行います。

そのため、それぞれの潜水業務に応じた資格や技能を身につけていかなくてはなりません。

必要とされる資格は勤務先や携わる業務内容によって異なりますが、水中での作業に携わる場合、基本的に潜水士の免許だけでは仕事ができないということは知っておく必要があるでしょう。

玉掛け

港湾構築や海底トンネルなどの海洋土木分野で、資材・鋼材やブロックなどをクレーンにかけはずしする際に必要な資格です。

玉掛け作業を行う際、この資格がなくては作業ができません。

玉掛けには2種類の区分があり、吊上荷重1t以上を含めた全てのクレーンで玉掛けができる「技能講習と、吊上荷重1t未満のクレーンで玉掛けができる「特別講習」があります。

技能講習、特別教育ともに制限はなく、誰でも取得できます。

アーク溶接

「アーク溶接」とは、空気中の放電現象を利用して同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接方法で、水中で溶接するためにも使われます。

アーク溶接作業者になるためには、労働安全衛生法にもとづくアーク溶接特別教育の講習を受け、修了証の交付を受けることが必要です。

講習と実技だけで試験などがないため、初心者でも比較的容易に取得できます。

ガス溶接

鋼材の加工や切断のための「ガス溶接」は、満18歳以上で、技能講習を修了すると作業ができるようになります。

講習は職業能力開発校などの職業訓練施設、また社会人向けにはメーカーの教習所でも実施されている場合があります。

そのほかの資格

そのほか、潜水士の資格と同時に生かせるものとしては「小型移動式クレーン」「小型船舶免許」「送気員」など、作業の種類によってさまざまな資格が存在します。

多くの資格を取得していれば、それだけ活躍の場が増えるでしょう。

潜水士になるための学校の種類

潜水士になるために、特別な学歴は必要ありません。

資格取得にも受験資格はないため、高卒で資格を取得する人が多いようです。

なお、岩手県立種市高等学校は潜水士を養成する海洋開発科がある国内唯一の高校です。

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潜水士に向いている人

潜水士はとにかく体力勝負の仕事であるため、体力があり強靭な肉体を備えている人に向いています。

また、資格を取得したからといってすぐに活躍できる仕事ではないため、こつこつと努力を重ねていける人でなくては長く続けるのは難しいでしょう。

潜水士に向いている人・適性・必要なスキル

潜水士のキャリアプラン・キャリアパス

潜水士の就職先としては、まず海洋関係会社、建設会社、水産会社、ダイビングショップなどの民間企業が挙げられます。

就職先によって、海洋での建設作業に携わったり、水質調査や海底調査を行ったりと業務内容は異なります。

なお、この免許は各企業の採用試験時には必要とされないことも珍しくなく、入社後に潜水士免許を取得して仕事にあたる人も少なくありません。

このほか、警察などの公的な団体で働く潜水士も多く、とくに海上保安庁、海上自衛隊では多くの潜水士(潜水員)が活躍していることで有名です。

これらの組織で働くには、まず警察なら警察、海上自衛隊なら海上自衛隊の採用試験に合格し、職員として採用されなくてはなりません。

そのうえで、潜水士になるための試験や訓練を受け、選ばれた人だけが潜水士としての活動をすることが許されます。

なかにはフリーで活動する潜水士もいますが、かなりの技能と経験がなければ独立することは難しいでしょう

潜水士を目指せる年齢は?

潜水士を目指すのであれば、出来るだけ早いうちがよいでしょう。

潜水士の仕事は非常に体力や集中力が求められるため、どうしても若手の方が歓迎されやすいのです。

また海上保安庁で潜水士になるには、海上保安大学校や海上保安学校を卒業し海上保安官になるのが前提ですが、潜水士になるための選抜には年齢制限が設けられており、研修実施年度の4月1日時点で30歳以下でなければなりません。

特に、海上保安庁や海上自衛隊の潜水士は20~30代が中心であり、若手でなければ活躍のチャンスが巡ってこないこともあり得るため注意が必要です。

潜水士は女性でもなれる?

女性では潜水士になれないというわけではありません。

しかし、体力が必要な仕事であるから男性のほうが興味関心を抱きやすく、活躍しやすい職業であるといえるでしょう。

数は少ないながらも女性潜水士も活躍しており、女性だから潜水士にはなれないというわけではありません。

女性の潜水士のキャリアパス・結婚後の生活