青年海外協力隊の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

青年海外協力隊の仕事とは

青年海外協力隊とは、日本国際協力機構(JICA)における海外協力隊事業のひとつです。

「JICA」は日本政府から、途上国援助(ODA)の運用を任されている独立行政法人です。

金銭面やインフラ面だけの支援ではなく、日本のもつ高度な技術を人的リソースから途上国に地域密着型で伝えることが、青年海外協力隊を含む海外協力隊の役割となります。

JICAの海外協力隊事業は、かつては「JICAボランティア」と呼ばれていましたが、2018年秋募集以降「海外協力隊」と呼称変更されました。

それと同時に、それまでの年齢による区分から、「一般案件」と「シニア案件」の2種類に分類される形へと変更されています。

幅広い職種で応募できる「一般案件」によって派遣される隊員のうち、20歳から45歳までの人が「青年海外協力隊/日系社会青年海外協力隊」と呼ばれます。

青年海外協力隊プログラムに参加する人は、長期は原則2年任期、短期は1年未満の任期で発展途上国に派遣され、地域社会に貢献します。

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青年海外協力隊の業務の内容

多岐にわたる仕事がある

青年海外協力隊の活動内容は多岐にわたり、さまざまな職種や業務経験をもつ人が活躍できるプログラムが用意されています。

代表的な業務の一例を挙げていきます。

国・地域づくりに関わるもの

コミュニティ開発、防災・災害対策、コンピュータ技術、行政サービスなど。

食べ物や自然に関わるもの

野菜栽培、水産開発、食用作物・稲作栽培、獣医・衛生、家畜飼育など。

ものづくりに関わるもの

自動車整備、木工、食品加工など。

教育やスポーツに関わるもの

青少年活動、小学校教育、幼児教育、日本語教育、体育、料理、家政・生活改善、環境教育、服飾、PCインストラクターなど。

保健や医療に関わるもの

看護師理学療法士作業療法士助産師、公衆衛生、感染症・エイズ対策など。

社会福祉に関わるもの

障害児・障害者支援、高齢者介護など。

生活サービスに関わるもの

土木、産廃物処理、水質検査など。

マーケティングや観光に関わるもの

観光、経営管理など。

エネルギーに関わるもの

再生可能・省エネルギーなど。

おのおのの経験や得意分野に合う仕事に従事する

JICA海外協力隊には、すべて合わせると120以上の職種があります。

また、一般的なビジネスだけではなく、スポーツや料理、ものづくりなどに関わる仕事もあります。

実際の募集職種は国によって異なりますが、コミュニティ開発、教員補助、スポーツ指導員、農業指導員などは比較的各国で共通して募集されている職種です。

最近ではIT分野の募集も増えてきており、何かしらの免許や資格を持っていなくても、「IT企業プログラマーを数年していた経験から派遣先のパソコン指導員として活躍する」といった例もあります。

仕事内容は国と業種によってさまざまですが、大学での専攻や、社会に出てからの経験分野を、応募の際のアピール材料にするとよいでしょう。

青年海外協力隊の役割

日本政府の予算で、開発途上国の支援を行う

青年海外協力隊を含む、JICAボランティア事業の目的は大きく以下の3つです。

  1. 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
  2. 異文化社会における相互理解の深化と共生
  3. ボランティア経験の社会還元

日本政府のODA予算によって、JICAが開発途上国からの要請(ニーズ)に基づき、それに見合った知識・技術・経験をもった人を当該諸国へ派遣します。

派遣されるのは、自ら「開発途上国の人々のために力を発揮したい」と望む人ばかりです。

青年海外協力隊の歴史

青年海外協力隊は、1965年に事業が発足してからすでに50年以上の長い歴史があります。

もともとは民間の青年団体が先導し、わずか7人のスタッフで始まった青年海外協力隊。

現在では、のべ4万人以上が参加する大きなプログラムへと成長しています。

発展途上国のニーズは多岐にわたっており、派遣者は現地のさまざまな課題解決のために力を尽くし、現地の人々と協力しながら解決方法を探していきます。

政府機関や大企業が行う大きな支援とは異なり、地域に根差した草の根の支援を行っていくのが、青年海外協力隊を含めたJICA海外協力隊の役割です。

日本の専門技術を途上国へ伝える

青年海外協力隊の創設当初は、井戸の設置や学校の建設のための人員など、ハード面に関する人材の募集が多くありました。

しかし現在は、日本で培った専門技術を、途上国の行政執行機関(県庁・市役所など)や各種学校で発揮する、専門性の高い人材募集が目立っています。

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青年海外協力隊の勤務先の種類

青年海外協力隊のおもな派遣先

青年海外協力隊員のおもな派遣地域は、北米・中南米地域、中東地域、アフリカ地域、東南アジアです。

基本的に発展途上国への支援を目的としたプログラムのため、たとえば対象地域の中にあっても、すでに先進国かそれに近い発展を遂げている国への派遣はまったくないか、あっても少数です。

言葉を変えれば、貧しく課題が多い国への派遣が多いといえます。

また、日本との関係性が深い国や、国交を強化したい国への派遣が多い傾向も見てとれます。

安全性は派遣先によってバラつきがある

派遣先によって、現地の治安の良し悪しは大きく異なってきます。

同じ職種で何ヵ国かの募集がある場合もあるため、こればかりは運としか言いようがありません。

中南米、中央アフリカの治安は良くないケースが多いといわれます。

同じエリア内でも、たとえば首都の治安は良くないものの、派遣先のへき地は安全という場合もあるそうです。

派遣先の希望は出せても、必ず通るとは限らない

応募に際しては希望の職種を書くことはできますが、派遣先の希望を書くことはできません。

また、面接時に希望の国と、その国に行きたい理由をアピールすることは可能ですが、100%希望が通るとは限りません。

そのため「特定の国に行きたい!」という強い希望があっても、実際決まってみると違う国だった、ということは多々あるようです。

また、たとえばベトナム語が話せるのでベトナムを希望したが、パナマに派遣が決まったというケースもあります。

派遣地域が決まると、変更希望が受け入れられることはないので、どうしてもその地域に行きたくないという場合、辞退することになります。

ただ、希望の地域とは違ったけれど参加してよかったという声が多く聞かれるのも事実です。

青年海外協力隊の仕事の流れ

現地のスタッフと連携をとって活動する

青年海外協力隊として現地に派遣されてからは、配属先の職場のスタッフと英語または現地言語でコミュニケーションを取りながら、期待されている役割をこなすことが求められます。

派遣されたボランティア人材が任期を終え帰国した後も、現地スタッフがボランティアから学んだ技術を継承していくことが目的です。

単独で発展途上国に赴き、慣れない言語を使って現地の同僚と2年間仕事をするとなると、かなりの精神力と体力が必要とされる場面も出てくるでしょう。

しかし、少しずつ現地の生活にも慣れていき、国内では得ることのできない新鮮な視点の獲得、海外で2年間仕事をしたという自信が身につくはずです。

派遣先によってはボディガードがつく

たとえばアフリカの治安のよくない地域に派遣される女性隊員の場合、現地でボディガードが付くこともあります。

ただ、これは極端な例で、たいていの場合は治安のよくないとされている地域でも、自己責任で行動するのが基本です。

日本とは異なる環境であることをしっかり頭に置いて、十分に気をつけて行動する必要があります。

治安の悪い派遣先ではホームステイ・タクシー移動

治安の悪い派遣先では、現地の裕福な家庭にホームステイをするのが慣習となっています。

たとえば中南米ではほとんどの隊員がホームステイを義務付けられています。

また、ホンジュラスの首都テグチガルパは治安が悪いことで有名で、昼間でも移動にはタクシーを使う隊員もいるとのことです。

ただ、タクシー移動はJICAから義務付けられているわけではないため、基本的に自腹になります。

青年海外協力隊と関連した職業

青年海外協力隊と近い領域で働く立場に、JICA職員がいます。

JICAとは「日本国際協力機構」のことをいい、国から供与されるODA(政府開発援助)を使用して、開発途上国を支援する独立行政法人です。

青年海外協力隊を含む海外協力隊事業は、JICAが手掛ける事業の柱のひとつです。

ただし、JICA職員は青年海外協力隊とは異なり、直接、発展途上国で支援活動を行うことは基本的にありません。

あくまでも開発途上国の支援プロジェクト計画を立てて、プロジェクトマネジメントに携わるのがJICA職員の役割です。

各分野の専門家や日本の省庁、援助先の政府関係機関といった関連機関との連絡や調整、交渉事などを行い、重要な海外協力プロジェクトを成功に導きます。

JICA職員の仕事内容

青年海外協力隊の短期ボランティア・JICAボランティアとは?

青年海外協力隊は、JICA海外協力隊(旧JICAボランティア)の一種

かつて、JICAの海外協力隊事業は「JICAボランティア事業」と呼ばれていましたが、2018年の秋募集以降「JICA海外協力隊事業」へ呼称変更されました。

背景には、JICAの海外協力プログラムをより公平性・透明性の高い事業にすることや、JICAの海外協力隊が単なる「ボランティア」を超えた、途上国における草の根の外交の担い手であることを、より適切に表す意図があるそうです。

この呼称変更によって、旧JICAボランティアは、従来の年齢による区分にも変更があります。

現在の海外協力隊プログラムでは、幅広い職種で応募可能な案件を「一般案件」、一定以上の経験・技能等が必要な案件を「シニア案件」としています。

海外協力隊には、日本国籍をもつ20歳から69歳までチャレンジできますが、一般案件へ参加する20歳から45歳までの人は「青年海外協力隊」として派遣されます。

青年海外協力隊の派遣期間には長期と短期がある

青年海外協力隊の派遣期間は、原則2年間となっています。

ただし、一部、短期の派遣プログラムもあります。

短期の派遣期間は短いもので1ヵ月ほど、長くても1年未満です。

派遣時期は要望調査票の記載通りで、要請によって異なります。

長期と短期の違いは他にもいくつかあります。

まず、一般案件は職種を最大3つまで選択でき、また選択した職種のなかから最大3つまでの要請が希望可能です。

一方、短期は1つの職種を選んだうえ、その職種の個別の要請を最大3つまで選んでの要請応募となります。

また長期の派遣では、派遣前に70日間程度の訓練が合宿形式で行われるのに対し、短期派遣の訓練は、協力隊経験の有無などによって最大5日間のみとなっています。

短期ボランティアのメリット・デメリットは?

海外協力隊の短期ボランティアには、短い期間で海外協力隊における経験を積みたい人や、どうしても仕事や家庭の都合で長期間の参加が難しい人などが応募するケースが多いようです。

2年間日本を離れるのが不安な人でも、1年未満の任期であれば、多少参加のハードルが下がるのではないでしょうか。

また、短期派遣では即戦力を求められる傾向が強く、長期に比べて過去の任務地や話せる言語をアピールしやすく、希望の国に派遣されやすいというメリットもあります。

長期と短期では待遇の一部も異なっています。

短期の場合、任期の短さが考慮され、長期派遣よりも生活費は多少多めに支給されるようです。

ただし、短期だと派遣前の研修時間が非常に短く、語学訓練もありません。

また長期のように、現地の生活や文化・習慣などを理解しながらじっくり活動を行うのは難しいため、腰を据えて海外協力を行いたい人は長期に参加するほうがよいでしょう。