産業カウンセラーになるための学校(大学・養成講座・通信講座)

産業カウンセラーになるための学校の種類

産業カウンセラーになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。

産業カウンセラーとして働き始める一般的なルートは、まず「日本産業カウンセラー協会」が認定する「産業カウンセラー資格試験」を受けて資格を取得し、その後、企業などへ就職する方法です。

この資格試験の受験要件は、大きく以下の2通りがあります。

(1)大学院で心理学や心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学を専攻し、協会が定める所定の単位を取得すること
(2)20歳以上で、協会が行う産業カウンセラー養成講座を受講・修了すること

1のルートを選択するのであれば、大学院まで進んで心理学などの知識を深めていく必要があります。

一方、2のルートであれば学歴不問で産業カウンセラーを目指せます。

産業カウンセラーになるには

なお、このほか「臨床心理士」や「公認心理師」など別の心理系資格を取得して、産業領域におけるカウンセラーとして活躍する人もいます。

臨床心理士の仕事

公認心理士の仕事

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産業カウンセラーになるための大学

かつては、大学で心理学や人間科学などを学び所定の科目を修了していれば、産業カウンセラー資格試験の受験要件を満たすことができました。

しかし、この「学士(大学卒業によって得られる学位)」による受験資格は、2016年度の試験をもって廃止されています。

2020年現在、いくら大学で心理学を専門に学んでも、それだけでは産業カウンセラー資格試験の受験要件になりません。

別途、産業カウンセラー養成講座を受講し、修了する必要があります。

もし学歴を生かしてこの資格試験を受けたい場合には、大学院で心理学等を専攻する必要があるため、注意が必要です。

とはいえ、大学で心理学を学んで身につけた知識は、将来的に産業カウンセラーとして働くうえで役立つところが多々あるでしょう。

「大卒」の学歴をもっておくことで、就職・転職の際に有利になる可能性も十分にあり得ます。

産業カウンセラーになるための養成講座

産業カウンセラー養成講座の概要

産業カウンセラー資格を取得した人の大半は、日本産業カウンセラー協会が行う「産業カウンセラー養成講座」を受講・修了しているようです。

この講座は大きく分けると「6か月コース(上期・下期)」と「10か月コース」があり、受講期間や受講料には違いがあります。(2020年11月時点)

講座期間は、以下の通りです。

・上期6か月コース/5月~10月
・下期6か月コース/11月~翌年4月
・10か月コース/1月~10月

いずれも講座内容は同じで、下期6か月コースや10か月コースは地域によっては開催されません。

理論に関する講義は基本的にe-Learningで受講し、2日間のみ通学で理論講義を受けます。

また、面接の体験学習はすべて通学で行われます。

さらに、e-Learningによる理解度確認テストや、実習に関する在宅課題をホームワークで行い、出席日数や理解度確認テストの正答率、課題の評価基準などを満たすと「修了」と認定されます。

受講料は297,000円(教材費、消費税込)で、教育訓練給付制度一般教育訓練指定講座にも指定されています。

養成講座で学習すること

産業カウンセラー養成講座では、カウンセリングの基礎や、傾聴の技法、こころとからだのメカニズム、精神医学の基本など、心理カウンセリングに携わる専門職として必要な理論を基礎から学びます。

さらに、産業カウンセラーならではの学習内容として、産業組織の心理学、職場におけるメンタルヘルス対策、労働法規、人事労務管理や人材マネジメントなど、産業や組織に関する専門知識も身につけていきます。

さらに、対面で面接(カウンセリング)実習の指導が行われるため、現場で生かせる実践力も磨けます。

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独学で産業カウンセラーになれる?

「産業カウンセラー」と名乗って仕事をしたいのであれば、産業カウンセラーの資格取得が必要です。

しかし、カウンセリング業務自体は無資格でも行えます。

極端なことを言ってしまえば、まったく資格を持たず独学のみで、進路に迷う学生や社会人、日常生活上の困りごとを抱える高齢者など、さまざまな立場の人の相談にのり、助言をしてその人たちをサポートしていくことも可能です。

しかし現実的には、どのような企業や施設でも、無資格で専門知識がなさそうな人を「カウンセラー」として採用することはめったにありません。

大学や大学院で心理学を専門的に学んでいるか、養成講座の受講後になんらかの心理系資格を取得していないと、カウンセラー業務に就くことは難しいでしょう。

ただし、冒頭でも挙げた通り、産業領域で活躍するカウンセラーのなり方はひとつではありませんし、産業カウンセラー以外の資格を取得している人も多いです。

カウンセラーは人の人生に大きな影響をおよぼす責任ある仕事に就くため、いずれの場合も、完全な独学でなるのは厳しいと考えておいたほうがよいでしょう。