ピアニストの需要・現状と将来性

ピアニストの現状

ピアニストの中で、コンサートの演奏だけで生計を立てられる人はごくわずかです。

ハイレベルな演奏者の集まるコンクールで優勝するなど、世界を舞台にした、厳しい競争に勝たなければいけません。

「ピアノを弾く」だけで生活できるのは、どんなに才能があっても簡単なことではないのが現状です。

それはクラシックであっても、その他のジャンルでも同じです。

スタジオミュージシャンの場合も、それだけで生活していくためには相当な才能があり、業界内で高い評価を得ている必要があります。

そのためには演奏技術の高さはもちろんのこと、初見ですぐに弾けること、要求に即座にこたえられる柔軟性など、幅広い才能が求められます。

このような状況があるため、生活のため他の仕事とかけ持ちしているピアニストは少なくありません。

例えばレストランやバーで演奏する仕事や、音楽教室で教える仕事、または音楽とはまったく関係のない副業をする人もいます。

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ピアニストの需要

音楽家としてのピアニストの需要は常にありますが、ピアニストを目指すすべての人が生活できるほどの需要はありません。

一方、同じピアノのプロの中でも、「教えるプロ」の需要は演奏するプロに比べれば多いので、多くのピアニストは講師としての副業を持っています。

経験やスキルを生かして、生徒にピアノを教えながら、自分自身の演奏活動を行います。

リサイタルを開けるようなピアニストであっても、講師をしていることは珍しくありません。

音大を卒業した人でも、いずれ演奏からはなれ、教える仕事に落ち着く人が多いようです。

ただし、あきらめずに自分の演奏も続けていれば、コンサートや、さまざまなイベントなどでピアノを弾く機会は得られますし、講師としての人気にもつながります。

ピアニストの将来性

現代は変化の激しい時代ではありますが、ピアニストの需要は今後もそれほど変化しない可能性が高いと考えられます。

とくにクラシックは、何百年も前の曲を、その時代のピアニストが演奏しつづけています。

今後もピアニストの演奏が人々の心を打つことでしょう。

一方でピアノを教えることを仕事とするには、今のままの営業形態では厳しくなっていく可能性があります。

というのも、従来のピアノ教室は、ピアノを始める子どもを対象としたものや、音大受験を目指す中高生のためのものが中心でした。

しかし、少子化の流れを受け、これらの教室の対象となる人口は減少しつつあります。

これに対して最近生じてきているニーズに、生涯学習や趣味としてのピアノ教室ニーズがあります。

定年退職後時間のある世代や、社会人としての本業以外に何か趣味を持ちたいと考えた若い世代が、大人になってから新たにピアノを始めるというニーズです。

これは、働きかた改革の影響や高齢化の影響を受け、今後さらにニーズが拡大していく可能性があります。

子どもに教えるのと大人に教えるのでは、同じ「教える」といってもノウハウや技術が異なります。

今後大きくなっていくと考えられる成人教育のニーズに応えて、この分野の専門性を身につけサービスを提供していくことは、ピアニストとして生き残っていくためのひとつの選択肢と言えるかもしれません。

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ピアニストの今後の活躍の場

このような流れから、今後のピアニストの活躍の場は、従来にはなかった方向へ広がっていく可能性が十分に考えられます。

演奏・音楽教室・大人向けレッスンのほか、これまでになかった新しい分野も考えられます。

例えば、最近はインターネットを利用して個人がレッスンや演奏の配信を行うという取り組みも増えてきました。

ピアノを教えるという選択肢の中にも、オンラインレッスンを中心にする講師も出てくることでしょう。

また、アプリやソフトを利用してのピアノ練習ができたり、あるいはピアノがなくてもピアノの練習ができるようなサービスも生まれ始めています。

このような仕組みやサービスの開発に、ピアノの専門家として関わることもできるかもしれません。

少子化や音楽ニーズの低下など、逆風と感じられるような状況もありますが、追い風になるような動きもあります。

これからのピアニストは、テクノロジーの向上や新しい価値観の創出など、時代の流れに敏感に対応していくことで、全く新しい活躍の場を見出すことができるかもしれません。