獣医師のつらいこと・大変なこと・苦労
獣医師のつらいこと・大変なこと
根気・体力・精神力が求められる
獣医師は、人間のように言葉を話したりできない動物を毎日相手にしているため、根気と体力と精神力が求められる大変な仕事です。
たとえば「様子がおかしい」と動物病院へ飼い主がペットを連れてきても、自分で「ここが痛い」といえない動物の異常を見つけ出すのは簡単ではありません。
また適切な治療をしようとしても、何をされるかわからない動物たちは、怖がって暴れたり、噛みついたりします。
小型犬や猫ならともかく、大きな馬や牛などと接する獣医師の場合は、下手をすれば自分が大怪我をしてしまう可能性もあるため、慎重に進めなければいけません。
人間相手であれば「こういう治療をします」と丁寧に説明することで、簡単に治療が済むことでも、動物を相手にする場合は毎回思いとおりにいかないことは日常茶飯事です。
動物の死に直面する
獣医師がどれだけ懸命に動物の治療を行っても、残念ながら助からないこともあります。
何度経験しても動物の死はつらいものです。
動物医療の世界は日進月歩で、新しい治療法や医療機器が生まれ、昔に比べれば動物もずいぶんと長生きできるようになりました。
とはいえ人間と同様、命あるものには最後が訪れるため、「あのときこうしていればよかったかもしれない」と考え、自分を責めそうになることもあるのです。
また大切にしていたペットを失った飼い主の心のケアも、獣医師の大変なことのひとつです。
飼い主が泣け叫ぶ姿を目の当たりにすると、決して自分が悪いわけではないとわかっていても、ひどくつらい気持ちになり、自分まで落ち込んでしまいそうになることがあります。
獣医師はこうした面まで受け止め、真剣に動物の命と向き合っていく覚悟が求められる仕事です。
時間外診療や繁忙期が忙しい
動物病院で臨床にあたる獣医師の場合、緊急手術で休みがつぶれてしまったり、時間外診療で帰宅時間が遅くなったりする日も多く、大変に感じることがあります。
忙しい動物病院に勤務している場合には、次々と診察を行わなければ、飼い主から「待ち時間が長すぎる」とクレームもおきかねません。
病院の規模によっては少人数で回さなくてはいけないため、休憩も取れずに診察をこなさなくてはいけない日もあるでしょう。
とくに狂犬病やフィラリアの予防接種の時期は繁忙期となりやすく、いつも以上に忙しく、精神的にも体力的にもつらく感じてしまう人もいます。
忙しさは勤務する職場環境にもよるため、心配な人は就職前に様子を調べたり聞いておくとよいでしょう。
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獣医師の悩み
獣医師の悩みは、休日でも自分が診察している動物たちについて「大丈夫にしているかな」と考えたり、心配になってしまうことでしょう。
また道を歩いている犬などを見るたびに、つい皮膚や歩き方や足に異常がないかなど、観察してしまう獣医師もいます。
気づいたときには獣医師の目線で視診していることに、純粋に動物を「かわいい」と楽しみたいと思ってしまうこともあるようです。
しかしこうした観察は、普段の診療でも役立たせることができるため、日々事例を集め、専門知識を高めているともいえるでしょう。
また、獣医師が抱えがちな体の悩みとしては、腰痛が挙げられます。
診察するときに動物を診察台に持ち上げるのは一苦労です。
とくに飼い主が抱っこしきれない大型犬や肥満犬は、獣医師でも持ち上げるのが大変で、腰への負担が容赦なくかかってきます。
怖がって診察台から飛び降りようとする犬を受け止めようとするときにも、腰に大きな負担がかかってしまいます。
獣医師を辞める理由で多いものは?
獣医師の仕事に挫折してしまう人が抱えている悩みの一つは、動物の死がつらく感じることです。
動物たちの命を救いたくて獣医師になったのに、救えない命や、命を奪ってしまったことに落ち込み、心が折れてしまう人もいます。
なかにはペットの死が受け入れられない飼い主が、獣医師にクレームをいうこともあり、精神的にすり減ってしまう人もいます。
また、とくに動物病院で働く臨床獣医師は労働時間が長くなりがちなため、体力が持たずに、獣医師が続けられなくなってしまうケースもあります。
新人時代は雑用ばかり任されることが多く、厳しさに耐えられず、わずか1年や2年程度で現場を離れてしまう人も少なくありません。
せっかく時間とお金をかけて獣医師になったにも関わらず、この道を進み続けることをあきらめるのはもったいないことです。
最初の数年間は厳しいのが当たり前だという覚悟を持っておくと、理想と現実のギャップが少なく、続けやすいかもしれません。