翻訳者(翻訳家)の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
翻訳者の仕事とは
翻訳者とは、外国語の文章を日本語に訳したり、日本語の文章を外国語に訳したりすることを専門とする人です。
翻訳の分野は、大きく分けて「文芸翻訳」「実務翻訳(または産業翻訳)」「映像翻訳」の3つがあります。
・小説やノンフィクションなどの文芸作品を翻訳する「文芸翻訳」
・企業や研究者が利用するための翻訳をする「実務翻訳(または産業翻訳)」
・映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの翻訳する「映像翻訳」
翻訳者として働くときに必須となる資格はありませんが、意味を正確に、そして自然に訳すための語学力は不可欠です。
近年は英語だけでなく、中国語など経済発展が著しい新興国の翻訳の需要も高まってきています。
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翻訳者の業務の内容
翻訳者の仕事は、ひとことで言えば外国語の文章を日本語に訳すこと、または、日本語の文章を外国語に訳すことです。
翻訳には大きく分けて、3つのジャンルがあります。
文芸翻訳
文芸翻訳は、海外の書籍や雑誌、歌詞など、さまざまな文芸作品の翻訳をする作業です。
文芸作品の翻訳の際には正確さだけでなく、前後の文脈や作品の世界観を伝えることも必要で、外国語の能力に加え、高い日本語能力が求められます。
文芸翻訳を専門に行う人の働き方はさまざまです。
たとえば、翻訳会社のトライアルに合格してエージェントとして所属し、仕事をあっせんしてもらうケース、個人で出版社の人間との知り合いなどで注文を受けるケース、あるいは研究者など該当分野に専門知識があり、本業の合間に頼まれて翻訳を行うケースなどがあります。
最初にクライアントと契約や打ち合わせを行い、進捗を報告しながら自宅で自分のプランに基づいて仕上げていくやり方が一般的です。
昨今はパソコンやネットを使って作業を進められるため、営業活動から打ち合わせ、納品まですべて自宅で行うこともあります。
実務翻訳(産業翻訳)
実務翻訳(産業翻訳)は、ビジネス用の文書、学術書、マニュアル、契約書など、企業や研究者がビジネスや研究で利用するものを扱う翻訳です。
医療、金融、ITなどに関する専門的な知識が求められやすく、海外の学術論文や重要文献を翻訳することもあります。
医学や物理や生物学といった理系の論文は、英語での執筆が必要になるケースがほとんとです。
そのため、実務翻訳の翻訳者はクライアントから依頼を受けて、国際的な雑誌に掲載するための翻訳や英文のチェックを行ったり、海外の学術論文や重要文献を翻訳したりします。
あるいは海外に輸出する日本製品の英文の説明書や書類の作成や、貿易会社で英文の契約書の翻訳をするケースもあります。
また、広告やIT機器やソフトウェアの日本語化、特許関係の書類の翻訳、海外への発注や連絡などのメールのやりとりといったことにも携わります。
こういった実務関連の翻訳では、会社側が普段から優秀な人材を確保しておきたいために、翻訳者を社員として雇うことも多いです。
ハローワーク等では「テクニカル翻訳」や「産業翻訳」などの分野で求人が出ている場合があります。
映像翻訳
映像翻訳は、海外の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの翻訳をし、字幕や吹替原稿をつくる仕事です。
字幕の翻訳では、人が文字を読む速度には限界があるため、限られた字数内にまとめることが重要なポイントになります。
また、その国の文化、風習やスラング、時事まで理解していないと正確に翻訳することができないため、センスも要求されます。
映像翻訳分野を専門にする場合、個人で活動する人のほか、配給会社や制作会社に所属して翻訳作業を行うケースも多いとされます。
複数のチームで練り上げたり、仕上げた字幕は会社側であらためて推敲したりと、さまざまな観点から複数の目でチェックされます。
翻訳者の役割
言語のプロフェッショナルである翻訳者の、社会や現場における役割は大きく2つあります。
国と国との橋渡し役
翻訳者の役割として非常に大きいのが、国と国との「仲介者」となることです。
日本は古来より、海外の文化や学問の輸入に積極的な国です。
鎖国していた時代のイメージが強い人にとっては意外でしょうが、昔から諸外国の文化や文芸・芸術を取り入れてきました。
現代においても、海外の最先端の学術の動向を把握し、国内へ伝え広めていくことは重要な意味を持ちます。
また、文化・学問の輸入だけではなく、現在では日本の文化や学問を海外に紹介することも非常に重要ですし、ビジネスにおいても海外との取引なくしては成り立たない時代になっています。
こうした状況のなかで、翻訳者は、日本という国を越えていわば国と国との「橋渡し役」を担います。
異文化間の翻訳者
相手の国のことを学ぶ際に、その背景となる文化理解は不可欠です。
国際交流が深まっている昨今ではとくに無視できませんが、古来から、世界中で外国文化の影響は重要視されていました。
それが刺激となって自国に新しい文化が生まれたり、融合して新しい展開が生まれたりすることも多かったからです。
ですが、文化が違い、言葉が異なれば誤解も生まれやすくなります。
翻訳者の訳し方、紹介の仕方で、外国文化の理解のされ方も大きく変わってしまいます。
ですから、翻訳者は文化や言葉の違いを深い部分で理解し、言葉のプロとして適切な言葉で翻訳しなければなりません。
そのためには、日頃から双方の国の文化や価値観を理解する努力が必要となります。
ビジネスや学問、文化に至るまで、国と国との相互理解に欠かせない役割を持つのが翻訳者です。
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翻訳者の勤務先の種類
翻訳者のおもな勤務先には、翻訳会社、新聞社、学術機関、機器製造(ハードウェア・ソフトウェア)会社、映画配給会社、商社、法律事務所などがあります。
こうした企業に就職し、社員として翻訳業務に携わっていれば収入は安定しやすいでしょう。
しかし、翻訳者は会社勤めの人よりは、フリーランスとして個人で活動する人のほうが多いといわれています。
フリーランスになった場合、翻訳会社や派遣会社、クラウドソーシングなどに登録し、さまざまな翻訳の仕事を請け負います。
どうしても実績や実力のある人に仕事が集中しやすいため、新人の翻訳者は小さな仕事から地道に経験を積んでいく努力が求められます。
会社員の翻訳者に比べると収入が不安定になりやすいこともあり、ほかに仕事を持ち、副業として行っている人が多いのも現状です。
翻訳者の仕事の流れ
ここでは、翻訳者の仕事の流れを、あるフリーランスの文芸翻訳者を例に挙げて紹介します。
まず、書籍の著者から委任を受けた著作権エージェントから、出版社や編集プロダクションに翻訳依頼が出されます。
企画会議や出版の決定、著作権取得などのプロジェクト管理が進められ、訳者の選出と翻訳依頼の段階に入ります。
ここで、翻訳者は仕事を条件や内容、納期などさまざまな契約内容をもとに請け、翻訳作業を行っていきます。
編集や校正の時間を含め、プロジェクト自体に時間の余裕がある場合や、タイトな時間の中で進められる案件などさまざまですので、フリーランスの翻訳者は同時に複数の仕事を抱えている場合の時間調整が重要になってきます。
翻訳内容はもちろんですが、「納期を守る」ということも翻訳者にとって大切な仕事のひとつです。
一方、会社員である翻訳者は、会社のプロジェクトに沿って仕事を進めることができるため、一般の企業に勤める会社員と同様の流れで翻訳業務に携わります。
翻訳者と関連した職業
翻訳者と関連した職業として「通訳」が挙げられます。
通訳は、文字としての言語を扱う翻訳者と異なり「話すことば」、つまり異なる言語をお互いの国の言葉にその場で訳す仕事です。
通訳の仕事の種類には、国際会議での通訳を行う「会議通訳」、商談などのビジネスの話で通訳をする「ビジネス通訳」、スポーツ選手や来日する芸能人の通訳を担当する「スポーツ・芸能通訳」、日本への観光客を案内する「通訳案内業」などがあります。
ひとくちに通訳といっても、話し手の言葉を聞くと同時に訳す「同時通訳」や、ひと呼吸置いて話をまとめる「逐次通訳」などいくつかの手法があります。
また、通訳をするためには、その分野に精通していることが必要になるため、語学のスキルだけでなく下知識をしっかり身に付けて通訳の場に臨まなければなりません。
通訳案内業以外でとくに資格は必要ありませんが、専門的なスキルが必要になるため、通訳の養成スクールで訓練しておいたほうがよいでしょう。
また、医学や法律など、特定の専門分野に強みがあると重宝され、待遇面でも優遇されます。