女性の電気工事士のキャリアパス・結婚後の生活
女性の電気工事士の現状
電気工事士は、世間一般のイメージ通り、男性が圧倒的多数を占めている職業です。
電気工事士の仕事は、体力を要する肉体労働が多く、また感電や漏電によるケガのリスクもあり、女性が憧れるような「きれいさ」や「華やかさ」とは、ちょうど対極にあるといえます。
こういった背景もあって、女性の電気工事士は非常にまれな存在であり、職場に女性電気工事士が1人もいないという工事会社もざらです。
しかし、それはあくまで電気工事士を目指す女性が少ないというだけであり、やる気さえあれば、女性でも電気工事士になることは十分可能です。
電気工事会社も、男女によって採用を区別しているわけではありませんし、女性電気工事士のなかには第一種電気工事士資格まで取得して、管理職に就いている人もいます。
昨今は、さまざまな職業で女性の社会進出が盛んになっていますので、今後、少しずつ電気工事士の女性割合も高まっていくものと思われます。
参考:電気技術者試験センター 電気工事の最前線に立つ責任とやりがい
20代で正社員への就職・転職
女性の電気工事士の強み・弱み
電気工事士は、家庭用電気配線の増設や修理、エアコン設置工事などで、一般家庭にあがって作業することも頻繁にあります。
高齢者や、単身で暮らす女性のお客さまは、屈強な男性電気工事士が家に入ることに抵抗を覚える人もいます。
そういった場合、電気工事士が女性であるということ自体が、依頼者に安心感を与えるのに役に立ちます。
また、電気工事は事故を防ぐために安全に作業することがきわめて重要ですから、女性ならではの丁寧さやきめ細やかさ、慎重さが業務に役立つことも多々あるでしょう。
反対に、女性電気工事士の弱みとしては、やはり体力面で劣るという点が真っ先に挙げられます。
電気工事士は、重い資材や道具類を持ち運びながら、朝から晩までほぼ丸1日立ちっぱなしで作業し続ける仕事です。
女性の場合、男性よりも体力的に厳しいと感じることが多いかもしれません。
ただし、アスリートのように生まれ持った高い身体能力が求められるというわけではなく、厳しさに耐えるだけの覚悟があれば、体力はやがて自然とついてくるでしょう。
結婚後の働き方
電気工事士には、さまざまな仕事内容・勤務形態の職場があり、結婚後も独身時代と同じように働き続けられるかどうかは、勤め先による部分がかなり大きいといえます。
一般家庭の電気工事を手掛ける場合、基本的に日勤の仕事となり、年度末や年始といった繁忙期を除けば、そこまで残業がかさむこともありませんので、家庭生活と両立させることは十分可能です。
しかし、商業施設やビルなどの工事を行う場合は、営業時間の都合で夜遅くの工事になることや、スケジュール次第では深夜帯まで作業することもあります。
また、ビル管理会社に勤める場合は、たいていは夜勤を含むシフト制の勤務となります。
日によってはほぼ家にいないということもあり、配偶者の理解と協力は不可欠です。
アルバイトやパートとして時間を区切って働くという選択肢もありますが、フルタイムで働きたい場合は、相手の仕事の都合や家事の分担など、結婚前によく話し合っておく必要があるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
電気工事士は子育てしながら働ける?
電気工事士の職場は、電力会社傘下などの一部の大手企業を除けば、ほとんどがスタッフ数人~数十人規模の中小企業です。
一人でも抜けると現場がまわらなくなりますし、男性主体の職場が大半であることから、出産や育児に対して、なかなか理解されないことがあります。
実際、職場自体に産休や育休制度がない、あるいはあっても利用できないというケースが目立ちます。
このため、電気工事士が子育てしながら働くことは、現状は難しい状況です。
昨今は、政府主導の「働き方改革」によって、あらゆる業界で女性の社会進出が積極化していますが、建設業界や工事業界は、そうした取り組みが遅れている筆頭格といえます。
電気工事士の仕事と育児を両立させるには、融通の利く私立の保育所を利用する、配偶者や両親を頼る、パートとして働く、独立してフリーランスになるなど、なんらかの手段を講じることが必要になるでしょう。
電気工事士は女性が一生働ける仕事?
現状、ライフイベントの多い女性が、仕事を続けていくうえで最も障壁となっているのは、職場内における理解の欠如であるといえます。
電気工事士は、どうしても男性社会であるために、そうした理解がなかなか進まず、環境も昔から変わらず女性はさまざまな面で苦労しやすいでしょう。
とくに出産、育児期間については、キャリアを継続させることは困難です。
しかし、電気工事士は国家資格が必要になる専門職であり、ある程度の実務経験を備えた人は優遇されるため、多少のブランクがあっても再就職先を見つけることは容易です。
また、自身の腕を頼りにして、独立開業するという道を選ぶこともできます。
途中でキャリアを中断させたり、雇用形態を変えるなど臨機応変な姿勢で臨めば、女性であっても、電気工事士の仕事を一生続けていくことは十分に可能といえるでしょう。