美容部員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「美容部員」とは
高度なメイクテクニックや接客スキルを持つ、化粧品販売のプロフェッショナル。
美容部員は、百貨店の化粧品売り場やドラッグストアなどで、化粧品の販売をする仕事です。
来店したお客さまの肌や髪に関する悩みのカウンセリングを行いながら、その方に適した商品をお薦めし、できるだけ多くの商品を販売して売上に貢献します。
なるために特別な学歴や資格は必要とされませんが、美容部員のカウンセリング能力やメイクのテクニックは、自社の売上を左右する大きな要因となります。
このため、ヘアメイクの専門学校で学んでおくと、就職時に有利になることも多いです。
ドラッグストアや雑貨店など化粧品を扱う店舗の種類が増え、美容部員の活躍の場は広がっています。
しかし正社員としての求人は決して多くないため、雇用の安定性や自身のライフプランをよく考えて、就職先を探す必要があるでしょう。
「美容部員」の仕事紹介
美容部員の仕事内容
お客さまの悩みやニーズに合わせた化粧品を販売する
美容部員とは、化粧品メーカーなどに所属する職種であり、化粧品に関する専門的な知識をもって、さまざまな化粧品の販売をする人のことです。
「ビューティアドバイザー(BA)」と呼ばれることもあります。
美容部員にとって最も重要なのは、お客さまの肌の悩みや好みを聞き出すための「カウンセリング」です。
その方のファッションや髪型、印象に合わせ、季節感や流行を取り入れながら最適な化粧品を紹介します。
あわせて、お客さまの魅力をより引き出すメイクアップを施しながら、化粧品を購入いただけるように提案し、勤務先の売上アップに貢献します。
店舗運営に関わる業務を担当することも
美容部員は、接客以外にも、商品の陳列や在庫確認、発注作業といった業務を広く担当します。
顧客を掴むための努力も必要で、新商品の入荷やセールの情報をお知らせするダイレクトメールの発送業務なども行います。
加えて、勤務する店舗の掃除や片付け、新人スタッフの教育なども担当し、見えないところでの雑務も数多くあります。
美容部員になるには
ヘアメイクを専門的に学んでから就職する人も
美容部員の多くは、化粧品メーカーやドラッグストアなどに勤務しています。
学校卒業後に各企業への就職を目指すことになりますが、就職の時点では、特別な知識や学歴、スキルが求められないこともあります。
ただし、実務では化粧品に関する知識やメイクのテクニック、接客スキルなどが求められるため、美容専門学校に進学するとスムーズに現場に入りやすいでしょう。
美容専門学校では、ヘアメイク全般について基礎から応用まで学ぶことができ、実践的なスキルを磨くための授業が多く用意されています。
こうした学校に通ってから就職を目指すと、より有利に就職活動を進められます。
年齢制限には注意
美容部員を目指す場合、学歴はさほど重要ではありませんが、年齢については気にしておいたほうがよいでしょう。
美容部員は年齢が若いほうが歓迎されることが多く、35歳を超えると就職が難しくなるケースが増えてきます。
年齢制限についてはメーカーやブランドによっても異なるため、志望先がある場合には、事前に調べておくことをおすすめします。
美容部員の学校・学費
美容に関する幅広い勉強ができる美容専門学校
美容部員に関連する勉強ができる学校として、美容専門学校が挙げられます。
美容部員向けの学科やコースとしては「ビューティーコンサルタント科」「美容学科」「トータルビューティー科」といったものがあり、美容の基礎からメイクテクニック、エステ技術、ホスピタリティなどまで幅広く学びます。
学費は年間100万円程度の学費がかかることが多いですが、各学校のカリキュラムによって差が出ます。
学校によっては、在学中に美容関連の資格取得を目指すことも可能です。
民間のスクールで学ぶ道も
民間のスクールや講座でも、美容部員に必要なメイクテクニックやカウンセリングスキルを学べるものがあります。
スクールは専門学校に比べると短期間のカリキュラムとなっているため、専門学校ほど深い学習ができない場合もあります。
また、一部の化粧品メーカーでは「専門学校卒以上」の学歴を採用条件とする場合もあるため、学校選びの際には気をつけてください。
関連記事美容部員になるためにはどんな学校にいけばいい?(専門学校・大学)
美容部員の資格・試験の難易度
メイクに関するさまざまな民間資格がある
美容部員になるために特別な資格は必要ありません。
ただし、この仕事ではメイクやスキンケアに関する幅広い知識や技術、接客スキル、カウンセリング方法などが求められます。
そうしたスキルの証明のために、さまざまな資格取得を目指す人もいます。
美容部員の仕事に関連する資格は、以下のようなものが挙げられます。
・メイクアップ技術検定試験
・IBF国際メイクアップアーティスト試験
・日本化粧品検定
・美容師免許
資格の種類によっては、所定の学校や講座で学ぶ必要があるため、興味がある方は詳しく調べてみてください。
資格そのものが就職・転職試験で評価されることもありますが、それ以上に資格を取るための勉強を通して自分の知識を深め、スキルを高めていくことに役立つでしょう。
美容部員の給料・年収
大手化粧品メーカーの正社員は安定した給与が見込める
美容部員の給料・年収は、勤務先や雇用形態によっても大きく異なりますが、全体的に見るとそれほど高いとはいえません。
平均年収は300万円~450万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。
大手化粧品メーカーの給与水準は比較的よく、正社員であれば初任給で18万円~21万円ほどが見込めます。
社内でキャリアアップし、役職につけば基本給が上がって手当も付くため、年収500万円以上を得ることも可能です。
一方、この仕事は契約社員や派遣社員、アルバイトなど非正規で働く人も比較的多く、その場合の給料は「時給制」が基本です。
正社員ほどの安定した収入は見込みづらく、長く働いても、あまり収入が上がらないケースも見られます。
売上成績に応じたインセンティブがつく職場もある
美容部員の職場は女性が中心であるため、女性にとって働きやすい制度や福利厚生を充実させている企業が目立ちます。
自己啓発に関する補助制度を設け、積極的にスキルアップできる環境が整っている企業もあります。
また、インセンティブ制度が設けられている職場では、個人の売上成績によって特別ボーナスのようなお金がもらえます。
実力勝負で仕事をしたい人には向いているでしょう。
美容部員の現状と将来性・今後の見通し
より高度な接客スキルが重視されるように
美容部員が活躍する化粧品業界では、いつの時代も人々の生活に不可欠な化粧品を扱うため、安定感があります。
最近では百貨店に加え、ドラッグストアや雑貨店など化粧品を扱う店舗の種類が増えており、さまざまな場で化粧品の知識やメイクテクニックをもつ美容部員が求められています。
しかし、美容部員は正社員としての雇用はあまり多くなく、不安定な働き方を余儀なくされる人もいます。
加えて、化粧品をオンライン中心で購入する人が増えており、従来型の対面販売をする美容部員の求人は、この先減ってくる可能性があります。
美容部員は、美容系の職業のなかでも資格が必要な「美容師」などと比べると、やや専門性に劣ると考えられています。
この職に就くことを目指すのであれば、各職場の雇用の安定性や将来性を考慮するだけでなく、付加価値を高いレベルで提供できる人材を目指す必要があるでしょう。
美容部員の就職先・活躍の場
化粧品を扱う百貨店や各種店舗で働く
美容部員のおもな活躍の場は、百貨店の化粧品売り場をはじめ、駅ビルや商業施設内の化粧品売り場、あるいはドラッグストアや雑貨店まで多岐にわたります。
働き方としては、化粧品メーカーの社員として各店舗で働く場合と、ドラッグストアなどの店舗自体の社員として働く場合の2種類があります。
前者の場合は自社ブランドの化粧品を専門に扱うのが特徴で、後者の場合には、その店舗で取り扱うさまざまなブランドの化粧品を販売します。
化粧品メーカーでは、美容部員にも「各ブランドらしさ」が強く求められやすく、接客スタイルも各社によってさまざまです。
どのような職場でも、正社員のほか、契約社員やアルバイト・パートなど、さまざまな雇用形態で働く人がいます。
美容部員の1日
勤務する店舗の営業時間に合わせて働く
美容部員は、百貨店や駅ビルなどの店舗で勤務するため、各店舗の営業時間に合わせた時間帯で働きます。
営業時間が長い職場では「早番」「遅番」などのシフト制勤務となることも多く、休みも複数のスタッフで交代しながら取得します。
ここでは、百貨店に勤務する美容部員のある1日を紹介します。
関連記事美容部員の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
美容部員のやりがい、楽しさ
大好きなメイクや化粧品に関わっていけること
美容部員の仕事の魅力のひとつは、いつも流行のメイクやスキンケアを追いかける楽しみを味わえることです。
仕事を通じてメイクやスキンケアのテクニックを習得し、上達させていけるため、「メイクをするのが大好き」「化粧品に興味がある」などの人にとっては、好きなことを仕事に直結させられる喜びを感じられるでしょう。
また、自分が好きなメイクや化粧品を通して、多くの女性に「美」を提供できることも魅力です。
お客さまからの信頼を集めると「この美容部員さんから商品を買いたい」と指名されることも増え、ますますやりがいを感じられます。
美容部員のつらいこと、大変なこと
華やかに見える裏では気苦労も多い
美容部員は、勤務する店舗や雇用形態によっては、個人に売上ノルマが課せられるケースがあります。
目標を達成できなくてもすぐに減給やクビになるわけではありませんが、チームの中で自分だけ売上に貢献できていないと、肩身の狭い思いをするかもしれません。
また、この仕事は華やかそうに見えて、じつは立ちっぱなしで体力勝負の一面もあります。
どんなに疲れていようと、体調が悪かろうと、お客さまの前では笑顔でいなくてはなりません。
美容部員自身が美しくいないと、お客さまの信用をなかなか集められないため、常に外見や身なりを意識しなくてはならないのも大変な一面です。
美容部員に向いている人・適性
人が好きで、美への探求心を持ち続けられる人
美容部員は、世の中の流行に敏感で、いつまでも美への探求心を持ち続けることができる人に向いている仕事です。
女性のファッションやヘアメイクの流行はめまぐるしく変化するものであり、トレンドをキャッチして、仕事に生かしていく姿勢が不可欠です。
また、この仕事では単にメイクアップの技術があるだけでは務まらず、どれだけ上手にお客さまとコミュニケーションがとれるかや、きめ細やかにカウンセリングができるかが、成果に表れてきます。
人との対話を大事にでき、相手が何を望んでいるのかを掴み取ることが得意な人も、美容部員には向いています。
関連記事美容部員に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
美容部員志望動機・目指すきっかけ
化粧品への興味関心に加え、接客業としての意識も求められる
美容部員を目指すのは「自分自身メイクをするのが好き」「美容全般に興味がある」「化粧品を集めるのが趣味」といった人ばかりです。
美容部員にとって、美容やメイクに強い関心があることは、非常に大切な要素といえます。
ただし、この仕事はあくまでも「化粧品販売のスペシャリスト」であり、お客さまに対するカウンセリング技術や高度なサービスのスキルも求められます。
志望動機を考える際には、美容や化粧品、メイクが好きなことは大前提として、人と接することが好きだったり、人にアドバイスをすることに喜びを感じられることを伝えましょう。
志望先の研究をしておくことも重要
美容部員の勤務先はさまざまですが、化粧品メーカーの美容部員を目指す場合には、各メーカーやブランドへの理解が求められます。
美容部員は、メーカーやブランドの顔でもあり、美容部員の対応がお客さまの印象を決定づけることもあるからです。
志望動機では、世の中に数々の化粧品があるなかで「なぜ、その企業やブランドを志望するのか」も明確に伝えられるように準備しましょう。
関連記事美容部員の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
美容部員の雇用形態・働き方
化粧品メーカーに勤めるか、特定の店舗に就職するか
美容部員の働き方は、大きく分けると「特定の化粧品メーカーに就職する」場合と、「百貨店や駅ビルやドラッグストアのような特定の店舗に就職する」場合の2種類があります。
どちらの場合も雇用形態はさまざまですが、正社員になれる人は少数で、契約社員やアルバイトでの採用が多くなっています。
とくに人気ブランドの採用基準は高く、化粧品や美容に関する興味関心の強さや、目的意識、接客業としての適性などが厳しく問われます。
非正規雇用でキャリアをスタートした場合でも、売上成績がよいと、正社員にステップアップできるチャンスが得られることがあります。
美容部員の勤務時間・休日・生活
店舗の営業時間に合わせて勤務する
美容部員の勤務時間は、百貨店や駅ビルなど、実際に勤務する店舗の営業時間によって決まってきます。
都心の百貨店やドラッグストアは遅い時間まで営業していることが多く、20時や21時頃まで店頭に立つ場合もあります。
休みは店舗の休業日を中心に取得します。
営業時間が長い店、また定休日がほとんどない店では、複数の美容部員が交代で働く「シフト制」となるのが一般的です。
基本的には定時で上がれますが、新商品の発売時期には商品の入れ替え作業などが増え、残業が発生することがあります。
美容部員の求人・就職状況・需要
正社員の採用は倍率が高くなる傾向
美容部員の求人は、都市部を中心に全国各地で出ています。
ただし正社員の募集は少なく、契約社員やアルバイトなど非正規雇用が多いことが特徴です。
美容業界は20代から30代の若い女性がメインの働き手となっているため、結婚や出産を理由に離職するケースが多く、常に新しい人を必要としています。
新しく美容部員を目指す人にもチャンスは多々ありますが、待遇がよい職場は競争率が厳しくなりやすいため、十分な準備が必要です。
なお、企業によっては美容部員を「ビューティーアドバイザー」や「ビューティーカウンセラー」などの名称で呼ぶこともあります。
美容部員の転職状況・未経験採用
中途採用を行う企業は多くある
美容部員は、新卒の正社員の求人はあまり多くありませんが、契約社員や派遣社員の中途採用の求人は、年間を通してよく見られます。
化粧品メーカーや店舗によって「経験者のみを募集する場合」と「過去の経験は一切問わない場合」のどちらの求人もあります。
年齢の上限は28歳から30歳くらいまでが多いですが、経験者の場合はその限りではなく、ブランドによっては40代以上で転職している人もいます。
未経験者の場合には、接客経験など、美容部員の仕事にプラスになる要素をアピールするとよいでしょう。
男性でも美容部員になれる?
メーカーやブランドによっては男性美容部員も活躍
美容部員は、圧倒的に女性の活躍が目立つ職業です。
やはり化粧品を日常的に使うのは女性が多いため、女性の美容部員が対応するほうが、お客さまに安心感を与え、共感を生みやすいのは事実です。
しかし、男性が美容部員になれないわけではありません。
化粧品メーカーやブランドによっては、男性の志望者も美容部員としての適性さえあれば積極的に採用しています。
近年はメンズコスメも普及し、男性がスキンケアやメイクをすることも、さほどめずらしくはなくなっています。
ダイバーシティー(多様性)の考え方が世の中に広まり、また、女性ばかりの化粧品売り場に抵抗を抱くお客さまも少なからずいるため、男性美容部員は今後増えていくことでしょう。