僧侶(お坊さん)になるには? 資格や最短の修業年数についても解説

僧侶になるにはどうしたらよいのか?修業は最短で何年かかるのか?といった点は、僧侶を目指す人々にとって、これらの疑問は重要なポイントです。

また通信教育を利用することで僧侶の道に進むことができるのかも気になるところです。

この記事では、僧侶を目指すための基本的な情報や修業期間、通信教育の利用について解説します。

僧侶・坊さんになるには「得度」を受ける

中高生から僧侶・坊さんになるまでには、特定の進路が決まっているわけではありませんが、多くの人が仏教系の学部がある大学に進学しています。

ちなみに、僧侶と坊さんの違いは、僧侶を親しみを込めて呼ぶことを坊さんといい、両者は同じ職業を指しています。

僧侶・坊さんになるためには、特定の資格が必要ではありませんが、仏門に入るためには「得度(とくど)」という儀式を受ける必要があります。

この「得度」という儀式では、僧侶としての名前となる「法名(ほうみょう)・戒名(かいみょう)」をいただき、髪の毛を剃る「剃髪(ていはつ)」が行われます。

これはいわゆる「出家」と呼ばれるものです。

「得度」を受ける前には、まず自身が仏教への信仰を持ち、深い理解や知識を得るために努力する必要があります。

そのため、多くの人が仏教系の大学や学部に進学することを選んでいます。

もちろん、専門学校や通信教育でも僧侶・坊さんに関する学びをすることができます。

また、中学校や高校を卒業してから直接寺院を訪ねて師匠を見つけ、「得度」を受ける道もあります。

この場合は、大学に進学しないで僧侶・坊さんを目指すことができます。

ただし、この場合、修行の期間が変わってきます。

たとえば、曹洞宗では大卒の場合、最低1年の修行で済むところ、中卒の場合は5年、高卒の場合は2年かかることになります。

僧侶・坊さんになるまでのルート

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

僧侶に特別な資格は必要ない

僧侶・坊さんになるには、特別な資格は必要ありません。

仏教には多くの宗派がありますが、宗派ごとに仏門への入り方や修行方法、僧侶・坊さんとしての道筋などが異なるため、それぞれ確認しておくとよいでしょう。

一般的に、僧侶としての「得度」を受けるためには、まず大学で仏教の知識を深め、卒業後に仏門に入って修行する手順を踏むことが一般的です。

ただし、仏教系の学部を卒業しただけや寺院の家に生まれただけでは、僧侶として名乗ることはできません。

どのような経歴であっても、修行を積まなければなりません。

修行は寺院での生活を送りながら行われます。

外出の自由は制限され、肉や魚の料理は食べることができません。

厳しい修行を通じて俗世間から離れた生活を送ります。

修行に耐え抜いて初めて一人前の僧侶として認められるため、この道は困難でハードなものといえます。

僧侶(住職・坊さん)にはどんな資格が必要?

僧侶になるためには大学進学が一般的

僧侶・坊さんを目指すための学校としては、大学が一般的ですが、専門学校や通信講座も利用することができます。

日本には多くの仏教系大学が存在し、また総合大学でも仏教を専攻できる学部がある場合もあります。

進学の際には宗派や興味のある学問を学べるかどうかを確認することが重要です。

学費は初年度で約117万円から138万円程度です。

宗派別では、曹洞宗の場合には駒澤大学、浄土真宗の場合には龍谷大学、日蓮宗の場合には立正大学、真言宗の場合には高野山大学が有名で、仏教学部が設置されています。

なかには、インドでの研修や小中高校の教員免許の取得、僧侶以外の資格取得が可能な大学も存在します。

そのため、カリキュラムや取得できる資格についても検討することをおすすめします。

また専門学校も選択肢の一つです。

昼間だけでなく夜間部も設けている学校もありますので、働きながら通うことも可能です。

学費は約40万円から50万円程度で、大抵の場合修業年限は1年です。

通信講座では、大学の通信教育部や専門学校の通信講座を利用することができます。

これは働きながら学びたい人にとても適しています。

講座によって異なりますが、学費は年間4万円から始まり、修業年限は3年ほどとなっています。

僧侶(住職・坊さん)になるための学校と学費(大学・専門学校・通信)

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

最短で僧侶になるには通信教育や講座を受けるのが近道

僧侶になるためには、「得度」を受けなくてはなりません。

一人前の僧侶として実際に寺で働くためには数年の修行が必要ですが、通信講座などで知識や経験を深めて得度を得るという方法があります。

たとえば、私塾「東京国際仏教塾」(東京)では、通信教育や週末修行で1年間、仏教の基本を学ぶことができ、得度が得られます。

またある寺院では、半日の得度コースで僧籍(寺に登録された籍)を与えています。

僧侶としてどのレベルを目指すかにもよりますが、短期の講習などで得度を認める制度は年々増加傾向です。

人口減少や高齢化で檀家制度が崩れつつあるなかで、仏門へのハードルは下がりつつあるといえます。

僧侶に向いている人は信仰心がある人

僧侶・坊さんになるためには、仏教に興味や関心を持ち、信仰心を持つことが重要です。

各宗派によって教えは異なりますが、僧侶は仏陀の教えを信じ、後世に伝えていくという責務を果たしています。

そのため、時には一般の人にも分かりやすく説明する必要があり、人前でていねいに話をすることができる人は向いているでしょう。

また、厳しい修行に耐える忍耐力や、世俗から離れた精神的な強さも必要です。

実際に僧侶となると、葬儀や法事などでさまざまな相談を受けることもありますので、良い聞き手であることも重要です。

僧侶(住職・坊さん)に向いている人・適性・必要なスキル

僧侶は一生修行が続く

僧侶・坊さんとして一人前になるためのキャリアパスは、一般的には大学を卒業してから修行に入ることです。

まずは寺院で奉職し、約2年間の修行を行います。

修行の期間や得度の方法は宗派によって異なるため、希望する寺院がある場合は直接問い合わせてみると良いでしょう。

修行の間は見習いとして、他の僧侶・坊さんよりも早く起床し、身なりを整え、境内の清掃や食事の準備を率先して行います。

その中で時間を見つけてお経の覚えや唱え方の練習も行います。

また、葬儀や法事の際には住職と行動を共にし、その振る舞いや技術を学び、仏教に関する理解を深めるために勉強も欠かせません。

修行期間が終了すると、ついに僧侶として認められ、寺院での勤務が許可されます。

ただし、僧侶になったからと言ってゴールではありません。

一生涯にわたって修行が続くことが僧侶の使命です。

日々の修行は欠かせず、時間の余裕があるときには仏教に関する知識を深めるなどの努力を続けることで、僧階のランクアップや住職への昇進などの目標を追求することもできます。

しかし、それ以上に重要なのは仏教の教えを深め、経験を積むことです。

悩みを抱える人々を支えたり、故人を穏やかに成仏させる手助けをすることで、僧侶の喜びややりがいを感じることができるでしょう。

僧侶に年齢制限はない

僧侶・坊さんを目指す年齢には制限はありません。

年齢に関係なく、どの年齢でも仏教への関心や信仰心を持ち、真摯に修行に取り組むことが大切です。

一部の寺院では、若いうちに僧侶になることでより高い僧階を目指すことができるため、大学卒業後に僧侶を目指す人も多いです。

一方で、社会人経験を積んだ後に僧侶を目指す人もいます。

さまざまな人生経験を積んだ上での僧侶の道も意義深いものとされています。

最近では、60歳以上の方が退職後に僧侶を目指すケースも増えています。

第二の人生として出家し、仏教修行に取り組むことで新たな意味や充実感を見出す人もいます。

ただし、一部の寺院では僧侶見習いの募集に年齢制限が設けられている場合もあります。

例えば、40歳以下の応募者に限定されている場合があるため、寺院ごとに応募条件を確認することが重要です。

僧侶は高卒からでも目指せる

僧侶・坊さんは高卒からでも目指すことができます。

ただし、仏門に入門するためには「得度」と呼ばれる儀式を受ける必要があります。

高卒から僧侶を目指す場合、この得度の儀式を行ってくれるところを探す必要があります。

宗派によって得度の方法や要件が異なるため、具体的な情報を得るためにはお寺に直接問い合わせることが重要です。

得度を終えた後は修行に入りますが、一般的には高卒の場合、大卒よりも修行期間が長くなることが多いです。

そのため、多くの人は大学で仏教に関する知識を深めた後に得度を受けて修行に入ることを選択します。

仏教に関する知識や理解を深めるための大学での学びは、修行において重要な基盤となります。

僧侶は女性でもなれる

僧侶・坊さんは男性のイメージが強いですが、もちろん女性でも活躍することができ、仏教の教えを広める一翼を担うことができます。

宗派によっては女性の僧侶を受け入れる制度が整っており、男女平等の観点から女性僧侶も歓迎されています。

女性が僧侶・坊さんを目指す場合、男性と同様に仏教系の学部や専門学校で学び、寺院での修行を積みながら一人前の僧侶・坊さんを目指すことが一般的です。

実際に、母親や妻である女性僧侶が存在し、女性に特有の視点や気持ちに寄り添い、信頼される存在として活躍しています。

女性僧侶は多くの人々にとって心の支えとなり、相談に乗ってくれることで信頼を集めています。

女性の僧侶(住職・坊さん)のキャリアパス・結婚後の生活

僧侶の雇用形態はさまざま

僧侶の雇用形態は、主に以下の5つです。

僧侶としてデビューした後、どのように働くかは近年多様化しています。

一部の僧侶は修行を行った寺院に正社員として就職し、その寺院で僧侶としての活動を続けます。

また、一部の人は自分の生まれ育った実家の寺院の跡を継いだり、新たな寺院を建立したりすることもあります。

近年では、「僧侶派遣」と呼ばれるスタイルも人気を集めています。

これは、必要なときに寺院から僧侶を派遣してもらう形態であり、多くの僧侶が業務委託で派遣登録をしています。

さらに、一部の僧侶は空いている時間にアルバイトやパートをして収入を増やすこともあります。

また、寺を持たないフリーランスの僧侶として活動する人も増えています。

さまざまな雇用形態が存在し、サラリーマンや教員、公務員などの職業と兼業しながら僧侶活動を行う人もいます。

各々の働き方には特徴がありますので、自身の目標やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

僧侶の仕事と兼業することで、異なる分野での経験やスキルを活かすことができ、多角的な視点を持つことも可能です。

正社員の僧侶

正社員の僧侶は、一般的な企業に勤めるように、寺院に正社員として就職する働き方です。

主に規模の大きな寺院や複数の僧侶が所属している寺院で雇用されることが多いです。

具体的な仕事内容としては、境内の清掃や美化、寺院を訪れるお客さまへの接客、葬儀や法要でのお勤め、本堂での朝夕のお勤めなどがあります。

この働き方のメリットとしては、寺院によっては有給休暇や育児休暇、社会保険などの制度が整えられており、残業代も支払われるなど、働きやすい環境が整っていることが挙げられます。

一方で、僧侶が1人しかいないような小規模な寺院や家族経営のお寺では、正社員という形ではなく家族経営の自営となる場合もあります。

その場合は、お寺自体が僧侶の制度を整えることになります。

デメリットとしては、働く寺院によっては週の休みが1日だけだったり、勤務時間外の仕事もすべて「修行」ととらえられ、残業代が支払われない場合もあることです。

また、朝夕のお勤めについても、勤務時間内に行う寺院もあれば、就業時間外の「勤行(ごんぎょう)」として行うものの残業に該当しないととらえられる寺院もあります。

給料は寺院によって異なりますが、一般的には月給18万円から25万円程度であり、中には賞与が支給される寺院もあります。

寺院ごとに条件や待遇が異なるため、応募前によく比較検討することが重要です。

派遣の僧侶

派遣の僧侶の仕事内容は、葬儀や法事、祈祷などの依頼があった際に、寺院外の場所で供養や読経などを行うことです。

この働き方のメリットとしては、業務委託として登録しておくことで、依頼があった日の予定が空いていれば仕事を引き受けることができ、収入を増やすことが期待できます。

また、僧侶の派遣サービスは、一回の依頼ごとに明確な料金が設定されています。

そのため檀家制度に疑問を感じていたり、継続的な寄付が難しい状況にある人にとって利用しやすいサービスで、お寺の檀家に入っていない人や菩提寺がなくて困っている人にとっても役立つことがあります。

一方、デメリットとしては、派遣会社に仲介手数料が発生することが挙げられます。

派遣会社によっては30%〜50%を超える仲介手数料が必要となる場合もあります。

給料は、法事1回につき約1万円程度となることが一般的です。

派遣の僧侶の登録は、全国の各宗派で募集されていますが、定員に達すると応募が締め切られることもあります。

また、仕事が常に入ってくるわけではないことも覚えておく必要があります。

このように、派遣の僧侶の働き方にはメリットとデメリットがあり、具体的な条件や制約は派遣会社や寺院によって異なるため、詳細を確認しておくことが重要です。

アルバイト・パートの僧侶

アルバイト・パートの僧侶として働く場合、仕事内容は境内の清掃や葬儀・法要のお勤め、受付業務や電話対応などで、正社員の僧侶とほとんど変わらないことが多いです。

一部の寺院では、英語力が求められ、外国人観光客のガイドとして雇われることもあります。

この働き方のメリットは、週2〜3日からの募集が多いため、自分の空いた時間を活用して働くことができることです。

また、宗派にとらわれずに応募できる寺院もあり、さまざまな寺院での経験を積みたい人には適しています。

一方、デメリットとしては、アルバイト・パートの募集自体が少ないことが挙げられます。

また、一部の寺院では受付や事務作業のみの募集を行っている場合もあるため、仕事内容が限定される可能性もあります。

給料は、地域や寺院によって異なりますが、時給900円から1,700円程度が一般的で、試用期間中は給与が低く設定されている場合も多いです。

フリーランスの僧侶

フリーランスの僧侶は、派遣会社や葬儀屋、知人などからの依頼に応じて葬儀や法要の供養や読経などを行う仕事を主に行います。

また、お寺にとらわれずに他の活動にも積極的に取り組むことができます。

例えば、塾や寺カフェの運営、ライターやYouTuberなど、さまざまな形で僧侶として活躍しています。

この働き方のメリットは、寺を持たずに僧侶の仕事を行えることです。

従来の寺院運営には多くの檀家を抱え、年間1000万円以上の収入が必要とされてきましたが、近年は檀家制度の崩壊などにより、寺院の維持が難しくなってきています。

しかし、フリーランスの僧侶は、寺院を持たずに柔軟に働くことができます。

一方、デメリットとしては、個人で仕事を行っているため、派遣会社からの連絡が少ない場合や、依頼が重なってしまったり、断ってしまった場合に次の依頼が得られなくなるなど、不安定な要素が大きいことが挙げられます。

給料に関しては、僧侶によって大きな差があります。

年収200万円程度の方もいれば、年収1000万円以上の方も存在します。

フリーランスの僧侶は、個人のスキルやネットワーク構築などが重要な要素となり、依頼の数や条件にも個人差があるため、給与面については大きく異なることに留意する必要があります。

副業・在宅の僧侶

副業や在宅で働く僧侶の仕事内容には、葬儀や法要の供養や読経、境内の清掃などが含まれます。

特に地方や小規模の寺院では、僧侶が教員や公務員、サラリーマンと兼業するケースが多く見られます。

また、僧侶の仕事だけでは収入が不安定なため、仏教系の幼稚園の運営や墓地の維持管理、マンションや駐車場の経営など、別のビジネスにも取り組む人もいます。

この働き方のメリットは、副業によって収入を安定させることで、寺院の経営を維持できる点です。

副業や在宅での仕事によって、生活費や寺院の維持費を確保することができます。

一方、デメリットとしては、本業である僧侶の仕事だけでは十分な収入を得ることが難しく、副業が必要となる点です。

僧侶の仕事だけでは経済的に困窮してしまう場合があり、別の仕事を兼業する必要が出てくることがあります。

給料に関しては、副業や状況によって大きな差があり、年収200万円程度の方から、年収1000万円以上の方まで、手がける仕事や僧侶の活動状況によって異なります。

僧侶・坊さんになるにはのまとめ

僧侶になるには、修行が欠かせません。

修業期間は個人や宗派によって異なりますが、最短でも数年以上かかる場合があります。

また、通信教育を利用して僧侶を目指すことも可能です。

ただし、修行や実地経験の重要性は変わりません。

僧侶の道は精神的な修行を伴うため、自己の意識改革や道徳観の研鑽も求められます。

自身の目指す僧侶像や寺院での役割を明確にし、適切な教育や修行を積むことが大切です。