鉄道会社の現状と将来性
鉄道会社の現状
日本の鉄道は世界各国と比較しても安全性・正確性ともにトップクラスです。
JR、私鉄、公共交通、第三セクター鉄道ともに安全性・正確性は保たれているため、交通手段として不可欠な存在です。
都市部ではメインの移動手段として活用されており、今後も利便性が高まることでしょう。
そうした観点から、鉄道会社の業績はおおむね堅調といわれています。
駅ビルや駅直結の商業施設開発、沿線の都市開発など鉄道以外の事業展開によって、自社路線の利用拡大を図るという事業展開もあります。
近年はインバウンド需要の増加や、新しくオープンしたレジャー施設への移動手段として列車を利用する機会も多く、相乗効果によって収益アップにつながっています。
一方、収益率の低い赤字路線は経営に苦しみ、廃線を余儀なくされるケースが増えているのも事実です。
特に第三セクター鉄道は顕著です。
全国63社ある第三セクター鉄道のうち、経常赤字は半数の35社(構成比55.5%)に上っており、厳しい経営状態がわかります。
利用者の増加は見込めないため、路線を存続させるには、沿線の観光地化など自治体などと協力して発掘していく必要があるでしょう。
参考:東京商工リサーチ 2015年度 全国第三セクター鉄道63社 経営動向調査
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鉄道会社の需要
鉄道会社は社会にとって不可欠ななので、需要が途切れることはありません。
鉄道以外の事業も積極的に展開している傾向にあり、企業の存在価値は高いといえます。
それに伴い求人ニーズも高くなっています。
企業によって呼び方は違いますが、大きく分けると「総合職」と「プロフェッショナル職」に区分されます。
「総合職」は鉄道事業はもちろん、不動産事業の企画やグループ企業で行う事業など、会社の経営に大きく関わる職種です。
「プロフェッショナル職」は運転士や車掌、車両整備や土木建築など、鉄道の運用に直接関わる職種です。
総合職の場合、新卒の採用人数はJR東日本で100人前後、東急電鉄で40人前後、小田急電鉄で20人前後という数字であり、企業規模からすると決して募集人数は多くないようです。
JRグループをはじめ、大手私鉄など鉄道業界は安定したイメージもあるため、倍率は高めでしょう。
「プロフェッショナル職」に関してですが、鉄道運用の現場が活躍するフィールドのため、ある程度の人数が募集されています。
JR東日本を例にすると、エリアも広いためか新卒で800人以上の採用(2021年4月入社)が予定されています。
東急電鉄で50~100人前後、小田急電鉄も100人前後となっており、総合職に比べればチャンスがあります。
鉄道会社の将来性
鉄道業界全体として安定したイメージがありますが、将来的にはあまり楽観視できない状態です。
要因の一つに人口減少が挙げられます。
人口減少による高齢化社会が進めば、通勤・通学で利用する人も、ビジネスやレジャーで使う人も減るでしょう。
鉄道は固定されている移動手段なので、人口の増減は収益に直結する大きな問題です。
各社独自のサービスを展開することで利用者が減少しても収益を確保する努力が求められています。
また、駅ビルなど商業施設の運営や不動産関連事業、保育や介護施設の運営など、鉄道以外の事業展開によって収益を上げる企業もあります。
沿線の街づくりを進めて利用者の増加によって収をは求めるのは民間企業として当然です。
鉄道会社は公共インフラをにない、地域の活性化と豊かな暮らしを実現する役割を持っています。
ビジネスとして大きなやりがいになるでしょう。
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鉄道会社社員の今後の活躍の場
鉄道以外の事業が鉄道会社の将来を左右する時代になっているため、総合職のような職種につく人は活躍が期待されています。
鉄道会社単体というよりもグループ全体で取り組む事業も多く、総合職の人は出向して仕事を行う機会も増えているようです。
IoT技術(モノのインターネット)やAI技術(人工知能)、ビッグデータの活用など、新技術を応用したサービス開発も進められており、利便性を高めるだけでなく企業価値を高める動きもあります。
それらに対応できる技術と知識を持っている人材も活躍の場が広がりつつあります。
また国内にとどまらず、海外で活躍するチャンスもあります。
日本の優れた鉄道システムは海外でも注目されており、現地でコンサルティングを手掛ける会社もあります。
鉄道会社単体ではありませんが、沿線の街づくり開発のノウハウを生かして海外の都市開発を手掛ける会社もあるなど、鉄道会社の社員として活躍する場はさらに広がりをみせていくでしょう。