ネットワークエンジニアの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ネットワークエンジニア」とは
ネットワークインフラのシステムの設計・構築から運用管理全般を担当するIT技術者。
ネットワークエンジニアは、パソコンやインターネットを使う基盤となる「ネットワークインフラ」のシステム設計・構築や運用管理をするIT技術者の一種です。
ネットワークエンジニアの仕事内容は大きく「設計」「構築」「運用」「保守」の4つに分かれ、どの業務でもOSやミドルウェア、ストレージ、ネットワーク機器などの幅広いIT知識が必要とされます。
他のIT技術者と同様、経験やスキルによって収入差が出やすく、ベテランになると年収1000万円以上を得ている人もいます。
誰もがITを使うようになり、重要なデータのやり取りや金銭のやり取りさえもネットワーク上で行われるようになった現代社会において、ネットワークを整えるエンジニアの重要性は大きくなるばかりです。
今後は、クラウドやAI、IoTといった先端IT分野の専門性をもつ優秀なネットワークエンジニアは、ますます需要が高まっていくと考えられています。
「ネットワークエンジニア」の仕事紹介
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークを整え、安全で快適にITが使えるようにする
ネットワークエンジニアとは、「ネットワークインフラ」のシステム設計・構築・運用管理を専門とするIT技術者の一種です。
現代社会では、身の回りの多様なサービスがITを使ったネットワークによって動いています。
ネットワークが正しく動かないと、銀行ATMが使えなくなったり、交通機関の予約システムが稼働しなくなったりと、大きな社会問題にもつながりかねません。
また、昨今は一般企業のオフィスでも複数の人たちがコンピュータを同時に利用しており、各職場において、複雑かつ膨大なネットワーク環境を適切に整備する必要性があります。
そうした環境を整えるのが、ネットワークエンジニアの大きな役割です。
ネットワークエンジニアの仕事内容は、大きく以下の4つに分けられます。
設計
目的や用途に応じたネットワーク全体の構成を考え、提案します。
構築
設計内容に基づいて、サーバーやネットワーク機器を触りながら、実際にネットワーク環境を作り上げます。
運用
構築したネットワークシステムを維持し、必要に応じて設定変更や構成変更を行います。
保守
ネットワークシステムに異常がないかを監視し、障害発生時には速やかに問題解決に努めます。
このほか、配属される部門によってはネットワークにおけるセキュリティ対策も業務内容に含まれることがあります。
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ネットワークエンジニアになるには
意欲があればITの勉強をしていない人でも目指せる
ネットワークエンジニアは、ネットワークシステムの構築を手掛けるIT企業を中心に、さまざまな活躍の場があります。
新卒採用を行っている企業はたくさんあり、各企業が独自の応募資格や採用基準を設けています。
学歴不問で応募できる企業もありますが、大手IT企業を目指すのであれば、大学に進学するほうが有利です。
「情報学部」「情報科学科」「情報工学コース」といった情報系の学部・学科で学べば、ネットワークエンジニアなってからも役立つIT知識の基本が習得できます。
一方、ITを専門的に学んだことのない人や、文系学部からでも、熱意があればネットワークエンジニアになることは可能です。
ネットワークエンジニアのキャリアパス
新人のネットワークエンジニアは、まず「運用」や「監視」など「下流」といわれる仕事から経験していきます。
その後、スキルアップするに応じて「構築」「設計」といった「上流」の仕事に携わっていくことができます。
ネットワークエンジニアになる時点で、特別なスキルや資格は求められない場合が多いです。
ただし、IT業界には技術者としての専門的な知識・技術を評価する多様な資格が存在します。
ネットワークエンジニアも、キャリアを築くなかで「シスコ技術者認定」「ネットワークスペシャリスト」など、さまざまなIT系資格の取得を目指しながらステップアップしていくのが一般的な流れです。
ネットワークエンジニアの学校・学費
学歴不問でも目指せるが、情報系の学校への進学がおすすめ
ネットワークエンジニアとして活躍する人の学歴はさまざまです。
就職後の主体的な学習姿勢や、実務を通して知識・技術を習得していく意欲のほうが重要視される職業といえるでしょう。
学歴不問で就職できるケースも多々ありますが、学生時代にITの基本的な勉強をしておくと業務にも役立ちます。
ネットワークエンジニアを目指す人におすすめの学校は、大学の情報系学部・学科です。
とくに大手IT企業は大卒でないと応募できない場合があるため、大手志向が強い人は大学に進学しておくとよいでしょう。
中小IT企業やベンチャーIT企業では、専門学校卒や短大卒、高卒の人なども活躍しています。
ネットワークエンジニアの資格・試験の難易度
資格取得は必須ではないが、自身のスキルアップにも役立つ
ネットワークエンジニアは、特別な資格を持っていなければなれない職業ではありません。
しかし、ネットワークエンジニアのようなIT技術者は、どれだけ現場で使える専門的な知識・技術を備えているかが「評価」の大きなポイントとなります。
IT関連の資格も多々存在するため、自身のスキルアップのため、あるいは就職・転職活動でアピールするために、さまざまな資格取得を目指す人は多いです。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格
ネットワークエンジニアが企業から評価されやすい資格の一例が「情報処理技術者試験」や「シスコ技術者認定」などです。
基本情報処理技術者試験は、IT技術者としてまず身につけておきたい基本的な知識を備えていることを証明でき、入社後に取得を奨励されるケースも多いです。
その上位資格である「応用情報技術者試験」も有名です。
「シスコ技術者認定」は米シスコシステムズ社が認定する資格制度で、ネットワークエンジニア向けの問題が出題されます。
さらに難易度が高めなのが「ネットワークスペシャリスト試験」で、何年もネットワークエンジニアとして経験を積んだ人が取得を目指します。
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ネットワークエンジニアの給料・年収
大手IT企業の給与水準は高めで、福利厚生も充実
ネットワークエンジニアは、IT技術者のなかでも需要が大きな職種であること、また専門的な知識・技術で勝負できることから、比較的よい収入が望めます。
民間求人サービス各社の調査データを見ると、平均年収は450万円~550万円ほどと考えられますが、実際の給料・年収は人によって幅があります。
企業規模による収入差も出やすく、大手IT企業では、従業員の平均年収が800万円以上というところもあります。
福利厚生面でも大手は非常に充実しており、安定した生活が送りやすいでしょう。
高度なスキルを習得する、社内で役職を上げていくなどすると、年収1000万円以上を得ることも可能です。
ネットワークエンジニアが収入アップを目指すには
ネットワークエンジニアのようなIT技術者は、保有する資格によって別途手当が付くことが多いです。
難易度の高いIT系資格を取得することで、給料が月に数万円程度の上乗せとなることも十分に考えられます。
なお、ある程度スキルを身につけていけば、正社員として働く以外に派遣社員や契約社員、あるいはフリーランスなど多様な働き方を選ぶこともできます。
IT技術者は個々の「実績」や「スキル」で評価されやすいため、経験豊富で優秀な人は、正社員以外でも高額な収入を得られる可能性があります。
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ネットワークエンジニアの現状と将来性・今後の見通し
社会のITネットワークを支える存在として安定した需要がある
世の中のありとあらゆるシーンでITやコンピュータが日常的に使われるようになった現代において、ネットワークエンジニアの需要は増しています。
IT業界の仕事のなかには、コストを抑える目的で海外へ業務を委託するケースもありますが、ネットワークエンジニアの仕事はその性質柄、海外の企業へ委託するといったことが難しいとされており、求人状況も安定しています。
いったんネットワークの設計・構築を行っても、運用・保守は継続的に行う必要があるため、今後もネットワークエンジニアの一定のニーズは保たれると考えておいてよいでしょう。
クラウドやAI、IoT、ビッグデーターなど先端IT分野に明るいネットワークエンジニアは、とくに市場価値が高い人材として評価されやすくなっています。
ネットワークエンジニアの今後の活躍の場は?
最近ではIT以外の業界でも、社内にITやネットワーク管理部門を専門的に置くケースが増えています。
したがって、今後のネットワークエンジニアは、IT業界以外で活躍するケースが増えていくでしょう。
各社の正社員としてオフィスに出社するだけでなく、リモートワークやフリーランスで働くなど、多様な働き方も可能です。
ネットワークエンジニアの就職先・活躍の場
大手IT企業を中心に、多様な活躍の場がある
ネットワークエンジニアの主な就職先は、「SI(システムインテグレーション)」を行っているSI会社です。
「NTTデータ」「日本IBM」「日本ユニシス」などの大手企業もいくつかあり、数多くのネットワークエンジニアが活躍しています。
大手以外のさまざまなIT企業でも、ネットワークエンジニアのニーズはあります。
さらに、近年はIT業界以外でも社内に専任の技術者を置き、自社のネットワーク管理を行うケースが増えています。
ネットワークエンジニアの働き方を大きく分けると、自社内のネットワーク環境の構築・運用等に携わる人と、お客さまとなる他社に出向き、そこでネットワーク環境を整える人がいます。
企業には所属せず、フリーランスで活躍する人もいます。
自分の希望やキャリアプランに応じた、多様な勤務先や働き方が選択できる職種です。
ネットワークエンジニアの1日
プロジェクトや担当業務によって異なる動きとなる
ネットワークエンジニアの1日の過ごし方は、勤務先や担当プロジェクト、担当業務によってさまざまです。
ルーティンワークもありますが、突発的なトラブルへの対応など、状況に応じて臨機応変な動きが必要になることもあります。
担当業務によっては出張や夜勤となる可能性もあります。
ここでは、ネットワークの構築業務に携わるネットワークエンジニアのある1日の流れを紹介します。
関連記事ネットワークエンジニアの1日のスケジュール・勤務時間や残業、休日についても解説
ネットワークエンジニアのやりがい、楽しさ
社会を支える大規模プロジェクトに参加できることも
ネットワークエンジニアのやりがいのひとつは、経験を重ねるごとにスキルアップし、難易度の高い仕事に携われるようになることです。
専門的な仕事であるため主体的な学習姿勢は不可欠ですが、学び続ければ、確実に自分自身の市場価値を高めることができます。
また、官公庁など大規模なネットワークの設計・構築においては、数億円単位の大きなプロジェクトに携わる機会にも恵まれます。
プロジェクトの規模が大きくなればなるほど関わる人の数も多くなり、その経験を通して、また自分自身を成長させられるでしょう。
とくにネットワークエンジニアは、社会の「基盤」となるITインフラに深く関わるため、世の中の役に立っている実感も味わいやすいです。
ネットワークエンジニアのつらいこと、大変なこと
突発的なトラブル対応に焦ることも
ネットワークエンジニアの仕事でとくに大変なことは、突発的な障害への対応です。
万が一、ネットワーク上でトラブルが発生すれば、ITで動いているサービスが停止したり、取引ができなくなったりと大きな問題につながりかねません。
迅速な対処が必要となるため、長時間の残業をしてでも解決しなくてはならない場合があります。
なかなか問題が解決せず、冷や汗をかくようなシーンもあるでしょう。
また日常的な保守業務では深夜に作業を行うことが多いため、担当業務によっては夜勤が多くなって不規則な勤務体系になります。
関連記事ネットワークエンジニアのつらいこと・大変なこと・苦労
ネットワークエンジニアに向いている人・適性
ネットワーク分野への強い興味関心と、向上心
ネットワークエンジニアに向いているのは、IT全般への関心があることは当然として、とくにネットワーク分野を学ぶことが楽しいと思える人です。
わたしたちの身近なところでいえば、Wi-Fiやルーター、モデムといった通信機器のしくみにワクワクするような人は、適性があるかもしれません。
同じIT技術者ではあっても、たとえば「プログラマー」と「ネットワークエンジニア」では、仕事内容も専門知識も大きく異なります。
ネットワークに関連する専門的な用語もたくさん覚えなくてはならないため、まずはそこに関心を持てるかどうかは非常に大切です。
また、コツコツとした地道な作業も多いため、忍耐力や細かな作業が得意なことも、ネットワークエンジニアの適性の一部といえるでしょう。
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ネットワークエンジニア志望動機・目指すきっかけ
「ネットワーク」分野に関心をもった理由が大切
ネットワークエンジニアを目指す志望動機は人によってさまざまですが、「IT業界への関心」や「IT技術者として成長したい」という思いがきっかけになる人が多いようです。
しかし、IT業界の職種や仕事はたくさんあるため、そのなかで「なぜ、ネットワークエンジニアなのか」を明確にすることが大切になってきます。
大学で情報工学を学ぶうちにネットワーク分野に興味を抱くようになった、社会に不可欠なITの基盤を支える役割を担いたいなど、自分がネットワークに少なからず興味をもった理由を考えてみましょう。
ネットワークエンジニアとして5年後、10年後の目指す姿までイメージできると、より説得力のある志望動機になるはずです。
関連記事ネットワークエンジニアの志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
ネットワークエンジニアの雇用形態・働き方
派遣やフリーランスという選択肢もある
ネットワークエンジニアの雇用形態としては、特定のIT企業に所属する正社員や契約社員が多いです。
正社員は最も安定した働き方が可能で、長期的にキャリアを築いていきやすい形態となっています。
そのほか、インフラエンジニアは派遣社員としてのニーズも比較的高めです。
派遣は正社員のように長期雇用を前提とされている形態ではないため、やや不安定な働き方といえます。
しかし、十分な経験を積んでスキルが高い人だと、時給だけで見れば正社員よりも高収入を得られることがあります。
なかにはフリーランスとして独立し、企業と契約を結んで個人で案件を請ける人もいます。
独立すると収入の不安定さは大きくなりますが、一つの案件が終わったら、次はまったく別の会社の案件に関わるなど、比較的自由にIT業界を渡り歩けるのが魅力です。
ネットワークエンジニアの勤務時間・休日・生活
担当業務によっては不規則な勤務体系となる
ネットワークエンジニアの勤務時間は、担当業務によって異なります。
「設計」や「構築」を担当する場合は、一般的な日勤の人と同様の時間帯に勤務します。
それに対し、「監視」「運用」「保守」をメインに担当する場合には、24時間動き続けるネットワークの管理をする必要があるため、シフト制勤務になることが多いです。
日によっては夜勤が入るなど、不規則な勤務体系になる可能性が高いでしょう。
休日は週休2日が基本ですが、障害が起きた場合は突発的な勤務が発生することもあります。
やや多忙な時期もありますが、業務に支障のない範囲で、フレックスタイム制の活用など柔軟な働き方ができる企業もあります。
ネットワークエンジニアの求人・就職状況・需要
大手IT企業を中心に、多様な企業が募集している
ネットワークエンジニアの需要は安定しています。
「NTTデータ」や「日本IBM」のような大手SI会社、また「日立製作所」「NEC」「富士通」などの大手メーカーなどで、ネットワークエンジニアは募集されています。
そのほか中小のIT企業、また最近ではIT業界以外でもネットワークの知識・技術を持ったIT技術者が募集されることが増えているため、活躍できるチャンスは広がっています。
新卒採用においては大学の情報系学部出身者はもちろん、熱意次第ではITを学んでこなかった人でもネットワークエンジニアとして採用され、一から仕事を覚えていけます。
なお、ネットワークエンジニアの働き方を大きく分けると、顧客先に常駐する「社外勤務」と、自社内のネットワークを扱う「社内勤務」の2タイプがあります。
ネットワークエンジニアの求人を出す企業は多々あるため、どのような働き方をしたいのかをよく考えて、就職先を決めるとよいでしょう。
ネットワークエンジニアの転職状況・未経験採用
自主的に学習する意欲があれば未経験からでも目指せる
ネットワークエンジニアをはじめとするIT技術者は、まだ人材不足の状態が続いています。
そのため中途採用は積極的に行われており、業界経験者はもちろん、未経験からでも意欲次第では目指せる職業といえます。
「手に職となるスキルが欲しい」「将来性のある業界・業種で働きたい」などの理由で、サービス業などIT業界以外からネットワークエンジニアへの転身を目指す人も増えています。
学歴・資格不問で挑戦できる業界ではありますが、いざネットワークエンジニアになってからは、他のIT技術者と同様、自主的な学習姿勢が不可欠です。
IT業界での経験やスキルがない人ほど、ネットワークエンジニアに転職する際の年齢は若いほうが有利です。