国際公務員になるには
国際公務員になるまでの道のり
国連ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)に応募する
「国連ヤングプロフェッショナル・プログラム(YPP)」は、国連本部が1年に一度実施する試験で、その国出身の専門職職員の人数が少ない国の者を対象として行われます。
日本でも実施されており、国際公務員になるためのほとんどの試験で職務経験が求められるのに対し、このプログラムは未経験者でも応募することが可能です。(2020年現在)
基本的な応募資格は以下の通りです。
1. 参加国の国籍を有していること
2. 応募対象の試験分野で、少なくとも学士号に相当する大学の学位を取得していること
3. 試験年度において32歳以下であること
4. 英語またはフランス語に堪能であること
この試験に合格すると、事務局の専門職員として当初2年間の契約がオファーされます。
2年間で満足な実績を上げた職員には、継続契約が認められる可能性があります。
JPO派遣制度に応募する
以前は「アソシエート・エキスパート選考試験」といわれていたものに該当するのが、「JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー」派遣制度です。
JPO派遣制度は、外務省が派遣取決めを結んでいる国際機関に対し、原則として2年間、日本人を派遣する制度です。
JPOに選ばれた人は、派遣先国際機関と雇用契約を結び、1年間勤務します。
その後、派遣先からの要請があれば雇用期間は1年間更新され、原則として合計2年間働きながら、正規職員を目指します。
基本的な応募資格は以下の通りです。
1. 応募年度の4月1日現在、35歳以下であること
2. 以下の両方を満たすこと
(ア)国際機関の業務に関連する分野において修士号を取得(あるいは取得見込み)していること
(イ)国際機関の業務に関連する分野において2年以上の職務経験を有すること(アルバイト、インターンを除く)
3. 英語での職務遂行が可能なこと
4. 将来にわたって国際機関で働く意思があること
5. 日本国籍を有すること
その他の方法
上記のほか、現地採用や欠員補充の公募に応募し、いわゆる中途採用のルートから国際公務員になる道もあります。
しかし、いずれの方法を選んだとしても、合格は決して簡単なことではありません。
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国際公務員になるための学校の種類
国際公務員の募集区分は大きく「一般職」と「専門職」の2つに分けられます。
一般職の場合は学歴を問わなかったり、学士号でも応募できたりする職種もあります。
一方、専門職を目指すのであれば、経済・会計・法律・政治・行政・農業・広報・開発・ロジステクス・ITといった、国際機関で求められる分野の学位、とくに博士号まで求められます。
最低でも大学、また大学院まで進まなくては応募できない場合もあるため、将来的に国際公務員を目指したいと考えているのであれば、それを見据えて進路を考えていくことが重要になってきます。
とくに語学については、さまざまな国籍を持つ職員と一緒に仕事をするため、共通語として英語もしくはフランス語の能力が必要で、海外留学を経験し、そのまま現地でインターンシップの募集を見つける人もいます。
国際公務員として働くには、「それまでに学んだことや、仕事で経験してきたことを、国際公務員としてどのように生かせるか」が重要なポイントとなってきます。
高い専門性を証明するために、大学院在学中に専門分野の論文を発表したりするのも有効です。
どういった分野を専門にしていきたいのかも、できるだけ早いうちに考えておくとよいでしょう。
国際公務員になるためにはどんな学校に行けばいい?(出身大学・学部)
国際公務員の資格・難易度
国際公務員になるために、基本的に資格というものは必要ありません。
特定の免許がなくては仕事ができない職種ではなく、公募への応募や国連が実施する試験、外務省の派遣制度などに合格すれば、国際公務員として働く機会を得ることができます。
国際公務員として、一般的に最低限必要とされるのは、語学力と学位、その学位の専門性で「資格」というよりは、「条件」ととらえたほうがよいでしょう。
とくに問題解決を望まれる世界各地のフィールド(現地)で勤務することが多いため、語学力は必要不可欠になります。
「英語またはフランス語に堪能であり職務遂行が可能であること」とされており、応募条件として資格が掲げられているわけではありませんが、語学に関する資格は取得しておいた方がよいでしょう。
ちなみに国連の公用語は、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、アラビア語、中国語とされています。
求められる英語力は?
国際公務員は、常用語として英語とフランス語を用いて仕事をすることになります。
英語力については、下記程度のレベルが推奨されています。
・TOEIC:860点以上
・国際連合公用語英語検定試験:特A級
・TOEFL iBT:100点以上
国際機関では、ある事柄について文書で細かくやりとりすることも多いために、リスニングやスピーキングはもちろん、リーディングやライティングについても高いレベルを備えておくことが大事です。
世界的な時事問題を英語で理解するためにも、『ニューヨーク・タイムズ紙』などを日ごろから読んでおくこともよいとされています。
英語以外の語学スキル
国際公務員として働くには、フランス語も使えるようになる必要があります。
さらに、ロシア語、スペイン語、中国語なども使えると有利になるでしょう。
実際には現場で英語を用いることが多いようですが、加えてフランス語、そしてそれ以外にもビジネスレベル以上の語学力を備えている職員がほとんどです。
ただし、語学力はあくまでも他国籍の人と一緒に業務を遂行するために必要なツールであり、語学力だけではなく、各分野における高い専門性が求められるため、双方を高めていく必要があります。
国際公務員に有利な資格は?
国際公務員として有利なのは、資格というよりも実績にあります。
国際機関の多くは、開発途上国の経済的な開発援助などの活動が中心となっているため、とくに経済学、開発学関係の専門性は高く評価されます。
大学または大学院時代に論文を書いたり、企業や公務員として実績を上げ評価されたりすることがアピールポイントとなるでしょう。
ただし、採用は一般的に書面審査と面接によって行われるため、まず書面審査を突破するには、高度な資格を取得していたり専門性を高め実績を上げていることをアピールすることが大切です。
国際連合事務局(UN)のホームページなどでは、資格のリストを作成していますので、参考にしてみるのもよいでしょう。
20代で正社員への就職・転職
国際公務員に向いている人
国際公務員に向いているのは、向上心の強い人、そして志を熱く持っている人です。
国際公務員として就職するには、専門分野に関する経験や知識も求められます。
何を専門にするかは人や派遣先によってそれぞれ異なりますが、追及していきたいテーマを見つけ、主体的に努力できるような人は国際公務員としての適性があるといえるでしょう。
国際公務員のキャリアプラン・キャリアパス
即戦力で働く
国連をはじめとする国際機関では、一人ひとりの職員が責任を持って職務を遂行するという執行体制となっているため、基本的に、採用後ただちに第一線で活躍することが求められます。
日本の一般的な企業のように、入社後に時間をかけて教育を行っていくということはあまりなく、その点は国際公務員の厳しさといえるでしょう。
転職も多い
国際公務員になるルートはいくつかありますが、専門職を目指すのであれば、職務経験が求められてくることが多くなっています。
いわゆる転職、つまり次のキャリアとして国際公務員になる人も少なくありません。
たとえば「JPO派遣制度」では、応募条件のひとつとして「外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野で2年以上の職務経験を有すること」とあります。
そのため一度は民間企業などで働き、ある分野の専門知識や技術を備えてから応募することが一般的です。
このほか、現地採用や欠員補充の公募に応募し、いわゆる中途採用のルートから国際公務員になる道もあります。
国際公務員を目指せる年齢は?
国際公務員を目指す際には、年齢制限があるため注意が必要です。
国連ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)に応募する場合は32歳以下、JPO派遣制度に応募する場合は35歳以下という年齢制限があります。
それ以外の方法で国際公務員になる場合は年齢を問われないこともありますが、一般的な職業に比べるとハードルは非常に高いです。
出来るだけ早いうちから進路やキャリアについて考えておいた方がいいでしょう。