国会図書館職員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「国会図書館職員」とは

国会図書館職員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

立法府に所属する国会図書館のスタッフとして、司書業務や一般事務などを担当する人。

国会図書館職員は、立法府に所属する国会図書館のスタッフとして、国会議員からの依頼を受けて国政審議に関連した依頼調査や、国会での議題を予測して調べる「調査業務」、国内外から集めた資料の整理や国会図書館利用者の資料探しの手伝いをする「司書業務」、国会図書館の方針案のまとめや人事、建物の管理といった「一般事務」に携わる仕事です。

この仕事に就くには、国会図書館職員採用試験に合格し、採用される必要があります。

国会図書館職員は特別職の国家公務員ですが、勤務条件などは一般職国家公務員とほぼ同様になっています。

国会図書館の必要性は認められているものの、近年、厳しい財政状態の中で国会図書館職員の定員は削減されており、目指す人にとっては狭き門となるでしょう。

「国会図書館職員」の仕事紹介

国会図書館職員の仕事内容

立法府に所属する国会図書館の職員には、3つの業務があります。

調査業務

国会議員からの依頼を受けて取り組む、国政審議に関連した依頼調査や、国会での議題を予測して事前に調べる予測調査を行います。

司書業務

国内外から集めた資料を整理して、蔵書検索システムを通じて公開したり、国会図書館利用者の資料探しの手伝いを行います。

また、国内の図書館に向けた資料検索サービスや電子情報提供サービスの運用などにより国内の図書館業務の向上を促します。

一般事務

国会図書館の方針案をまとめたり、建物の管理、人事にかかわる事務、関係機関や国会などとの連携といったことを行います。

総じて、国会図書館職員の仕事は、議員活動の補佐、国民全体、及び後世への情報提供といえます。

国会図書館職員になるには

職員になるには、国会図書館職員採用試験に合格しなければなりません。

試験には受験者の政策立案力を問う「総合職試験」と事務処理能力を見る「一般職試験」があります。

これらのうち、一般職試験は試験に必要な学力レベルにより、さらに「大卒程度」「高卒程度」に分かれます。

これら3種類の試験のいずれかに受かれば、職員に採用されます。

受験資格は、基本的に総合職と一般職(大卒程度)は21歳以上30歳未満であること、一般職(高卒程度)は18歳以上24歳未満で高校・短大・高等専門学校などの卒業生、もしくは卒業見込みの者となっています。

受験するのに司書の資格は不要ですし、大卒者でなくても一般職(大卒程度)を受験できます。

しかし倍率が数十倍〜100倍以上になるなど、競争は厳しいため、合格のために併願受験をする人が多くいます。

国会図書館職員の給料・年収

国立国会図書館が国会に属しているので、職員は、特別職の国家公務員である国会職員となります。

したがって、給料は、国会職員の給与などに関する規程に基づいて支払われます。

給料のほかに、勤務地の民間企業の賃金水準に合わせて支払われる「地域手当」、ボーナスに当たる「期末手当」や「勤勉手当」、「住居手当」、「通勤手当」などが支給されます。

参考までに初任給(平成26年度実績)を見てみると、総合職試験で採用された場合181,200円、一般職試験(大卒程度)では174,200円。

これに、それぞれ東京都特別区内に勤務する場合の地域手当を加えると、総合職は213,816円、一般職(大卒程度)は205,556円になります。

さまざまな手当が加算されて、最終的に大体民間企業と同等の給料になるようです。

なお、東京には独身者用の寮、京都には宿舎があります。

国会図書館職員の現状と将来性・今後の見通し

国会図書館の主な役割は、国会議員の立法活動を補佐したり、多様な資料や情報を国の資産として収集・保存・公開したりすることです。

その活動ぶりは一定の評価を得ているようで、平成27年には衆参両議院で関西館の書庫増設工事が了承されました。

しかし一方で、国会図書館職員はとかく批判されがちな国家公務員です。

平成17年4月、職員定員は938名でしたが、10年後の平成27年4月現在、定員は50名減って888名になっています。

公務員改革の一環で人件費削減が求められた結果です。

日本の厳しい財政状態からすると、今後も、社会では公務員の人数と給与削減を求める声が根強く続いていくでしょう。

国会図書館の必要性は認められていますが、職員は少数精鋭しか必要とされないもの。

これから国会図書館職員になるには、より狭き門に挑むことになりそうです。

国会図書館職員に向いている人・適性

国会図書館職員の第一の適性として、読書好きな人が挙げられます。

職員の重要な仕事の一つが、一般の人から国会議員までいろいろな人々の依頼を受け、本などの資料やインターネットなどを使って調べものを手助けすることです。

読書で新しいことを知るのが好きなら、調べものを通じて知識を得られることにも喜びを感じるでしょう。

ただし、得たい資料や情報がカンタンに見つかるとは限りません。とくに国会議員の要望に沿って行う調査は難しいものが少なくありません。

したがって、職員には必要な情報を得られるまで粘り強く仕事を続ける忍耐力、プレッシャーに強い精神力も必要です。

さらには、いずれも人のため、国政のために行う調べものなので、人や社会の役に立てるのが嬉しいと感じられるなら、国会図書館職員の仕事にやりがいを持てると考えられます。

国会図書館職員の勤務時間・休日・生活

国会図書館職員は特別職の国家公務員ですが、勤務条件などは一般職国家公務員とほぼ同様になっています。

基本的に勤務時間は、平日の9:00〜17:45、休日は土曜・日曜日、国民の祝日・休日、年末年始、休暇は年次休暇などがあります。

部署や時期によっては残業があります。とくに調査業務を行う部署では、職員は日頃から担当分野に関連した勉強や情報収集が不可欠といいます。

国や地方の各種機関への出向、国外の大学院への留学機会などもあるため、職員には必要に応じた知識の修得など積極的な自己研鑽が求められます。

一方で、男性・女性職員がほぼ同数在籍しており、女性管理職も多いため、産休、育休、介護休業を取りやすい職場との声が聞かれます。

国会図書館職員は自助努力の割合が高い仕事ですが、ワークライフバランスはいいようです。

国会図書館職員の求人・就職状況・需要

国立国会図書館には、「東京本館(東京)」、「関西館(京都)」、児童書を専門に扱う「国際子ども図書館(東京)」の3つの施設があり、これらが連携して業務を行っています。

国会図書館職員採用試験に最終合格すれば、常勤職員として必ず採用され、いずれかの施設で勤務することになります。

各施設間での転勤もありますが、配属先は、本人の希望、適性や業務上の都合などを踏まえて決定されます。

また、個々の職員の仕事も、本人の希望、業務上の都合などで決まりますが、基本的に特定の業務に偏らず、調査業務、司書業務、一般事務を経験することになっています。

なお、国会図書館では、一般の職員の他に非常勤職員なども雇用しています。

処遇は国家公務員と同等で、必要に応じ募集され、業務により必要な資格は異なります。