競輪選手の現状と将来性
競輪選手の現状
競輪は最盛期に比べると選手数や競輪場の数が大幅に減っており、人気も低迷して2000年代に入ってからは厳しい状況が続いていました。
競輪選手の数は2019年12月の時点で2325人(そのうち女性が135人)と、現在も日本のプロスポーツでは最も選手数が多い競技です。
しかし、1990年代には約4000人の選手が在籍していたことを考えれば減少幅は大きく、現在も選手数は減り続けています。
低迷の理由は日本経済がバブル崩壊後の1990年代から長い不況に入ったことや、若い人のギャンブル離れが進んだことにあり、売上も激減しています。
競輪だけでなく、競馬を除く公営ギャンブルは同じように人気の低迷に頭を抱えている状況です。
ピークの1991年には約2兆円あった競輪の売上は、2013年には6063億円まで減りました。
その間に多くの競輪場が赤字となり、主催自治体の財政を圧迫するところも増えています。
2000年以降でも、門司競輪場(北九州市主催)、西宮競輪場と甲子園競輪場(兵庫県市町競輪事務組合主催)、花月園競輪場(神奈川県競輪組合主催)、一宮競輪場(一宮市主催)と5ヵ所の競輪場が廃止されました。
レース数の減少や賞金額の低下も見受けられ、競輪人気をどのように回復させるかが課題となっています。
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競輪選手の今後の動向
近年、競輪界ではさまざまな改革を行っており、イメージガールに女優などを起用して宣伝活動を積極的に展開しています。
2011年には、通常のレースが終了したあとの21時から24時に開催する「ミッドナイト競輪」をスタートしました。
近隣にも配慮して観客は入れずにレースが実施され、レースの模様はテレビのCS放送やインターネット中継で視聴できます。
2012年からは、女性の競輪選手による「ガールズケイリン」も始まりました。
最大7車立てで1500〜1666メートルの距離で争われ、「顔より太もも」をキャッチフレーズに全国の競輪場を転戦しています。
こういった努力の成果が表れて、2014年から2019年までは6年連続で年間の売上増加が続いています。
ピークの約2兆円とはまだ大きな差がありますが、年々少しずつ売上は増加し、2019年には約6604億円に到達しました。
とくにインターネットによる車券の購入が好調で、競輪場に行くことなく自宅で楽しめる新しい時代の競輪のスタイルが今後の光となりつつあります。
競輪選手の将来性
競輪は2000年のシドニー五輪から「ケイリン」としてオリンピックの正式種目となり、柔道に次ぐ日本生まれの五輪種目となりました。
2008年の北京五輪では永井清史選手が銅メダルを獲得し、タイム・トライアルやスプリント競技でも日本の競輪選手がメダルを獲得して注目されました。
2012年のロンドン五輪からは女子ケイリンも正式種目に採用され、さらに注目度が高まっています。
競輪は公営ギャンブルだけに、売上が日本の経済状況に左右されるのは仕方ありません。
2000年代に入ってからの人気の衰退に歯止めをかけるためには、競輪界全体の認知度を上げる地道な取り組みを続けるしかありません。
オリンピックで競輪選手が注目されるのは、競輪界にとって喜ぶべきことです。
主催者、選手会、振興会らは人気復活のためにさまざまな努力をしていますが、オリンピック種目として世界的な知名度があることは競輪の強みであり、将来性の高さといえます。