医療事務の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
通常、経験が浅い段階ではそこまで高収入が得られませんが、専門性を磨いてベテランになることで収入を上げていく人もいます。
この記事では、医療事務の年収・給料事情について、統計データも見ながら解説しています。
医療事務の平均年収・給料の統計データ
医療事務は非正規雇用で働く人も多く、民間会社員の平均年収と比較するとやや低めの水準です。
ただし、医療事務はレセプト作成などの専門的な知識・スキルが求められる仕事であり、豊富な経験をもつ人は、よい待遇で採用されることもあります。
以下で、給料に関する各種データをもとに、医療事務の詳しい給料・年収を紹介します。
医療事務の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、医療事務の平均年収は、43.5歳で478万円ほどとなっています。
※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
医療事務 (Indeed) |
2,654,617円 | 時給 1,267円 |
日給15,819円 | ||
月給 187,951円 | ||
医療事務 (求人ボックス) |
338万円(正社員) | 平均時給 |
派遣社員:1,344円 | ||
アルバイト・パート:1,064円 | ||
医療事務 (転職ステーション) |
322万円 | - |
医療事務 (転職会議) |
281万円 | 20代前半:276万円 |
20代後半:284万円 | ||
30代:285万円 | ||
40代以上:282万円 | ||
最高:2400万円 | ||
最低:150万円 | ||
医療事務(スタッフ・管理職) (マイナビエージェント) |
310万円 | 20代:290万円(男性 351万円、女性 283万円) |
30代:364万円(男性 436万円、女性 312万円) | ||
医療事務 (DODA) |
291万円 | 男性:377万円 |
女性:283万円 | ||
20代:276万円 | ||
30代:306万円 | ||
40代:320万円 | ||
50代:347万円 | ||
生涯賃金:1億4019万円 |
求人サービス各社の統計データから、医療事務の平均年収は260万円~330万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。
これは一般的な会社員の平均年収と比較すると低めの水準です。
医療事務はアルバイト・パートなど非正規雇用で働く人も多いことや、比較的年齢が若い人が短期間だけ職に就くケースも多いことなどが理由として考えられます。
ただし、医療事務のなかでも長期にわたって経験を積んでベテランの域に達している人は、年収400万~500万円以上を得ています。
医療事務の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
年収300万円で正社員として働く医療事務の場合、社会保険料や税金などを差し引いた手取り月収は、およそ20万円になるでしょう。
ただし、これはボーナス支給がない場合を想定しており、もし年収がボーナスを含む場合には、手取りはもう少し低くなります。
実際には、医療事務の勤務先となる医療機関は全国に数多くあり、各職場で給料や待遇には大きく異なります。
ただ、とくに経験年数が少ないときは、あまり多くの手取りが得られないと考えておいたほうがいかもしれません。
なお、パート勤務などで勤務先で社会保険に加入しない場合は働いた分のお金がそのまま手元に入ってきますが、そこから自分で国民年金保険料や国民健康保険料などを支払う必要があります。
医療事務の初任給はどれくらい?
医療事務になるためのルートはいくつもあり、医療事務になる人の年齢や学歴、スキル、保有資格などもまちまちです。
そのため、初任給はケースによって異なりますが、未経験者の場合、正社員としての初任給は月給15万円~18万円ほどになることが多いようです。
職場によっては、最初はパートや契約社員からのスタートになることもあり、その場合はもう少し低い月給になることもあります。
医療事務の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
医療事務の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める医療事務の平均年収は417万円、100〜999人規模は435万円、1,000人以上の規模では544万円、10人以上規模の事業所平均は478万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
医療事務の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
医療事務の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の566万円です。
全年代の平均年収は478万円となっています。
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医療事務の給料・年収の特徴
ここでは、医療事務の給料・年収の特徴を紹介します。
勤務する医療機関や地域によって給料に差が出やすい
医療事務の給料は、おのおののスキルや経験、働き方、また勤務先の病院・クリニックの規模などによって違いが出やすいです。
平均月収は10万円台後半から25万円程度と考えられますが、地域差が出やすく、地方病院の場合はフルタイムで働いても月収10万円から15万円くらいと、都市部の医療機関勤務の場合に比べてやや低めの水準といわれています。
また、勤務先が大学病院なのか、それとも個人経営の小規模なクリニックなのかなど、病院の規模や種類によっても給料には差が出ることが多いです。
ボーナスや諸手当など待遇面も職場によって事情が大きく異なるため、同じくらいの経験を積んだ医療事務であっても、人によって年収が100万円以上変わることも十分にあり得ます。
需要はあるが高収入を得るのは難しい
医療事務の仕事では専門的な知識・スキルが求められますが、一般事務と比べても、そこまで高い収入は得にくい仕事です。
というのも、医療事務の職場環境は一般企業に勤務する正社員のように「昇進」のシステムが整っていないことが多く、どこかで給料が頭打ちになりやすいからです。
もちろん経験・スキルを高めていくことで多少は昇給しますし、なかには役職制度を導入して医療事務のリーダー的なポジションが用意され、キャリアアップすると給料が跳ね上がることもあります。
それでも一部の人を除き、年収1000万円ほどの高収入を望むのは難しいと考えておいたほうがよさそうです。
とはいえ、医療事務は医療機関にとって不可欠な職業であり、また日本全国どこでも一定の需要があります。
比較的時間の融通がききやすいパートや派遣社員の求人も多く出ているため、手に職をつけつつ、自由なライフスタイルも実現させたい人には魅力が大きいと感じられるでしょう。
医療事務の福利厚生の特徴
医療事務の主要な勤務先である医療機関は、福利厚生が充実しているところが多いです。
正社員に対してのよくある待遇は、各種社会保険完備、交通費支給、時間外手当(残業代)、有給休暇、制服貸与などです。
また、医療機関によっては、医療事務関連の資格を取得している人を対象とした資格手当の支給もあります。
医療事務は女性が多く活躍しているため、産前産後休業・育児休業・介護休業などの制度を充実させているところも目立ちます。
基本給がそこまで高くなくても、福利厚生が充実していれば安心して長く働けるかもしれません。
20代で正社員への就職・転職
医療事務の正社員以外の給料・年収
医療事務は、正社員以外の雇用形態で働く人も多いです。
以下で、派遣社員やパート・アルバイトの給料・年収の特徴を紹介します。
派遣社員
医療事務は、正社員だけでなく派遣社員のニーズも大きな仕事です。
派遣社員を求める医療機関は、基本的に「即戦力」として活躍できる人を募集します。
したがって、医療事務としての経験豊富でスキルが高い人ほど、よい条件で働ける職場を紹介してもらいやすいです。
ただし、なかには未経験者でも研修を受けて働ける場合もあります。
給料は「時給制」になることが一般的で、地域にもよりますが、時給1,000円~1,500円程度が相場とされています。
派遣の場合、通常は事前に定められた契約期間だけ働きます。
しかし、働きぶりが認められれば派遣から直接雇用へ切り替えとなったり、紹介予定派遣といって、3か月程度の派遣期間を経たのち正社員として採用されたりするケースもあります。
アルバイト・パート
医療事務のアルバイト・パートの給料は、たいていは派遣社員と同じように「時給制」です。
時給には地域差がありますが、900円~1,100円くらいが相場とされています。
なお、診療時間が長い病院ではシフト制の勤務体系となっており、深夜帯でのアルバイト・パート募集もあります。
深夜時間の時給については深夜料金が加算(25%)されるため、日勤よりも高収入が得られます。
なお、同じ医療事務としてのアルバイト・パート募集でも、求められる役割や担当業務は医療機関によって異なります。
高いスキルをもつ人は第一線で活躍できることが多いですが、なかには受付や雑用メインの仕事を任される場合もあるため、給料・待遇と合わせて仕事内容をよく確認しておくほうがよいでしょう。
医療事務が収入を上げるためには?
現状、医療事務の平均年収はそこまで高いものとはいえません。
しかしながら、長年働いて手早く業務をこなせるベテランになると、医療機関側も「この人には長く活躍してほしい」との思いから、よい待遇で採用されるチャンスが増えます。
したがって、地道に実務経験を積んでスキルを磨くことは大前提として、自信がついたら昇給の交渉をしたり、転職をきっかけに収入アップを目指したりするのもよいでしょう。
医療事務の大きなメリットは、資格を生かして長く勤務しやすい点です。
一度取得した医療事務関連の資格は全国どこでも有効なため、何かの理由で一度現場を離れてしまっても、職場復帰しやすいという特徴があります。
そのため、医療事務はとくに女性から人気があり、10年以上と長く勤務している人も多くいます。
なお、医療事務の仕事は残業や早出はあまりありませんが、月末になると行うレセプト請求期間は事務処理が増えるため、残業が発生する場合があります。
この場合、きちんと残業手当が支給される職場で働いていれば、その分だけ給料は高くなります。
医療事務の待遇は病院によってだいぶ異なるため、とくに収入重視で働きたい人は、基本給以外の待遇面にも注目して勤務先を選ぶことをおすすめします。
「医療事務の年収・給料」まとめ
医療事務は、非正規雇用で働く人も多いことから、平均年収はそこまで高いわけではありません。
しかしながら、長くキャリアを重ねてスキルアップすると、収入が上がることもあります。
また、医療機関は待遇が比較的充実しているところも多いため、勤務先を探す際には、基本給以外の福利厚生・労働条件などもよくチェックしておくとよいでしょう。