花屋の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
花屋の仕事とは
花屋は切り花、観葉植物、鉢花を販売するために、仕入れから花の管理、手入れまで幅広く行うのが仕事です。
花屋は切り花を中心に販売する商店のことで、「生花店」とも呼ばれています。
とても華やかに見える人気の仕事ですが、朝早くから市場へ花を仕入れに出かけ、花の鮮度を保つための「水揚げ」や「水換え」など地道な作業もたくさんあり、作業量が多いのが特徴です。
お客さまが購入したくなるような店舗ディスプレイや、花束やアレンジなどの商品製作をしながら接客し、繁忙期には配達業務も兼務することもあります。
実店舗での対面販売が中心になるものの、最近ではインターネットで注文を受けつけ、お客さまの家まで配達を行うオンラインショップも増えています。
花屋によっては結婚式場や葬儀場と提携し、装花を制作するところや、店舗やイベント会場に出向き、現場で装花を行うこともあり、町の花屋から大型フラワーショップなど規模や業務範囲はさまざまです。
全体的な傾向として仕事は多岐にわたり、体力勝負の作業が多いので、花を愛する気持ちとキビキビ体を動かせることが大切でしょう。
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花屋の業務の内容
花の仕入れ
生鮮品である花は、魚と同じように市場で取引されるので、朝一番で仕入れなければいけません。
およそ週に2〜3回、朝5時から6時ごろには市場に向かうことが多いので、花屋の朝はとても早いことで知られています。
花は鮮度が命なので、多く仕入れすぎて売れ残ってもいけません。
どの花をどれだけ仕入れるのか、お店の客層や需要、流行などを考えた上で買い付けることが大切です。
水揚げ作業
買い付けた花はそのまま店に持ち帰り、花の鮮度を保つのに欠かせない「水揚げ」という作業を行います。
花は生き物で、雑に扱うとすぐに鮮度が落ちてしまうので、茎を切りなおしたり、切り口に熱を加えたりと花の種類によってさまざまな水揚げ作業をしていくことが必要です。
花屋の店内に並ぶ花々が美しいのは、スタッフがきちんと手をかけて適切な管理をしているからこそで、水揚げ作業には知識と経験が求められます。
また、お客様がせっかく綺麗な花を買って帰っても、すぐに枯れてしまっては困るので、水揚げ以外の鮮度管理も大切な仕事です。
水をこまめに取り替えたり、温度管理を徹底するなど、丁寧なチェックをしていきます。
枯れかかっていたら思い切って捨てる判断をする「見切り」も必要で、経験が生かされるところです。
接客・販売促進
丁寧に管理した大切な花をたくさんのお客さまに届けるためには、花のよさを伝えるための接客技術も磨かなければいけません。
「おすすめはどれですか?」と聞かれたときに、お客さまの好みや用途に合わせて、アドバイスするのも大切な仕事です。
またお店が売りたい花を手に取ってもらえるよう、花の並べ方を工夫したり、ワークショップなどのイベントを企画することもあります。
ネットショップ
最近はインターネットを使って花を買うこともできるようになりました。
実店舗を持つ花屋がネットショップを合わせて運営するところもありますし、ネット専門の花屋も出てきているのが現状です。
この形態は今後も増えていくことが予想されており、ネットショップでは注文対応やサイトの更新なども仕事になります。
花屋の役割
花屋の役割は、人々の生活を彩り、花を通してたくさんの人に幸せを届けられることです。
花屋を訪れるお客さまは、年齢や性別もさまざまで、幅広い目的があります。
たとえば普段の食卓に飾るちょっとした花を買い求める主婦、妻の誕生日に贈る花束を探すサラリーマン、墓前に供える花束を買い求めるお年寄りもいるでしょう。
さらに母の日のカーネーションを買いに来る子ども、結婚式で使うブーケを選びに来るカップルなど、日常から人生の節目を演出する役割までも担っているのです。
お店を訪れる個人のお客さまだけでなく、企業に花を配達する仕事もあります。
普段はなかなか入ることができないホテルやレストランのロビー、テレビ局のスタジオ、式典やイベントなどの場を、花の力でさらに華やかに盛り上げる役割があるのも魅力といえるでしょう。
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花屋の勤務先の種類・企業
花屋の勤務先は、実はそれほど多いわけではありません。
日本全国どの都道府県にも花屋はありますが、ほとんどが個人経営の小規模な店舗です。
従業員が10人に満たないということも決して珍しくありませんし、花の仕入れから接客や配達まで、すべての作業を家族だけで行っている店舗もあります。
そのため勤務先によって違いはあるものの、一人ひとりに課せられる仕事の割合は大きく、雑用から仕入れ、花束の製作などひと通りの仕事をこなせる能力が求められるでしょう。
多くの花屋が未経験者を育てる時間と余裕がないといわれているので、即戦力として働ける人が重宝されます。
現実的に花屋で正社員として働く場合は、アルバイトやパートから始めて、仕事を覚えるのがよいでしょう。
また花屋で働くスタッフの多くが、独立開業して自分の店を持つことに憧れています。
おしゃれな街に実店舗を持つ従来のスタイルはもちろん、最近ではネット専門の花屋も人気を集めているため、花への愛情とアイディア次第で、経験や知識を活かせる機会は多くなっていくでしょう。
花屋の仕事の流れ
花屋の仕事の流れは、接客だけでなく、ほかにもさまざまな仕事を並行しておこなわなければけません。
朝一で花や鉢物の仕入れに行き、店舗に戻ったら仕入れた生花が元気で長持ちするように、茎などを切る水揚げ作業を行います。
ほかにもバケツの水換え、温度管理、傷んだ花を取り除いたりするなど、手入れやメンテナンスが大切です。
お店がオープンしたら、来店したお客さまの接客も行います。
予算や希望に合わせてオリジナルの花束や、フラワーアレンジメントなどの製作も行いますが、イメージに合わせて花やリボン、小物などを組み合わせるので、センスが問われる仕事です。
店舗によってはお客さまのご自宅、レストランなどの店舗、イベント会場、企業に配達することもあります。
またお客さまが落ちた葉っぱや濡れた床で滑らないように、店内の清掃や、ディスプレイを整えたりすることも欠かせません。
このほかにも事務作業など、花屋を運営する上で必要な業務をすべて少人数で行うため、豊富な知識や経験が求められる仕事です。
花屋と関連した職業
花屋とフラワーコーディネーターの違い
フラワーコーディネーターは、花をコーディネートするスペシャリストのことです。
パーティー会場やホテルのラウンジに花を飾ったり、母の日やクリスマスのフラワーギフトを作ったりします。
フラワーコーディネーターになるのに資格は必要なく、植物や花を美しく組み合わせることができるセンスがあれば、誰でも自由に活動することが可能です。
しかし花に関する資格として、日本フラワーデザイナー協会の「フラワーデザイナー」や、国家資格の「フラワー装飾技能士」を取得する人もいます。
参考:日本フラワーデザイナー協会 フラワーデザイナー資格について
これらの資格はフラワーコーディネーターと同様、花束やブーケを制作する知識をつけるために花屋で働く人も目指している人が多いので、どちらの職種にも役立つ共通の資格です。
フラワーコーディネーターの多くは花屋や園芸店などで働いているので、一緒に仕事をすることもありますし、花屋でフラワーコーディネーターとして活躍することもできるでしょう。
花屋と華道家の違い
華道家は、季節に応じた花々を、花器や花瓶などに美しく生けたり、空間全体を演出するプロフェッショナルのことです。
多くの人の目に触れる公共施設やコンサート会場などで花を飾ることが多く、「フラワーアーティスト」や「いけばな作家」とも呼ばれます。
華道は、花の晴らしさを伝える日本を代表する伝統芸能のひとつで、華道家になるには師範の免状を取ることが必要です。
いずれかの流派に入門し、弟子として5年〜10年ほど修行を積むか、専門学校で華道を学び、技術や作法を身につける必要があります。
現在では華道や茶道を習う人の減少に伴い、華道家が生花店や花材専門店に就職する場合もあるので、花屋として一緒に仕事をすることもあるかもしれません。