キャリア外交官と外務省専門職員の違い

キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員の仕事内容の違い

海外の国を飛び回り、外交を主な仕事として活躍する外務省の職員のなかには、「総合職」として採用された職員と「専門職」として採用された職員がいます。

キャリア外交官(総合職)

「総合職」の職員は、いわゆる「キャリア外交官」と呼ばれる人たちで、一般的には将来の大使や幹部候補生です。

さまざまな国での経験を経て総合的な能力を身につけて、いずれは大使や公使、さらには事務次官という重要なポストに就きます。

語学力はもちろんのこと、世界全体の情勢を把握する能力や、高い交渉術などが求められるのが総合職の特徴です。

外務省専門職員

一方で、「外務省専門職」の職員は、高い語学能力を武器に、関連する地域の社会、文化、歴史等に通じた地域の専門家として活躍します。

経済、安保、国連、経済協力、条約等さまざまな分野の専門家として活躍することが期待される職種で、外務省および在外公館で外交領事業務もしくはそれに関連する事務を行います。

「外務省専門職」は「総合職」以上の専門的な語学力が求められる仕事ともいえるでしょう。

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キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員になる方法・資格の違い

「総合職」として入省したい場合、他省庁と共通の国家公務員総合職試験を受験しますが、「外務省専門職」では、外務省独自の試験を受験します。

しかしどちらの職種も、国家公務員であることに変わりはありません。

外務省専門職試験の一次試験は、憲法、国際法、経済学などの専門試験や基礎能力試験、時事論文試験、外国語試験です。

この試験を突破した人は二次試験で、面接での外国語試験や人物試験、身体検査を受けることになります。

すべての試験に合格すると、「外務省専門職員採用候補者名簿」に記載され、試験実施の翌年4月に外務事務官として外務省に採用されます。

採用後は一カ月間の国内研修を受け、引き続き外務本省に勤務したのち、研修語を履修するのに適した国にある在外公館に外交官補として配属になります。

この研修期間は2〜3年ほどです。

キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員の資格・必要なスキルの違い

外務省において、総合職員と外務省専門職員は、求められている役割が異なります。

総合職員は将来的に主要国の大使や外務省の幹部職員となることを期待されています。

そのため、様々な国や地域に配属されたり、本省でも様々な部署に割り当てられ、幅広い経験を積むことを期待されています。

これに対して外務省専門職員は語学や文化に関する知識を元に、特定の国や地域のスペシャリストとして活躍することを期待されます。

原則入省時に選択した専門地域に派遣され、その地域の言語や文化、情勢などに対する理解を深めます。

また、現地における人脈づくりや交渉の下地づくりなど、地域の専門家ならではの深いレベルでの外交も期待されています。

本省と在外公館を行き来しながらキャリアを形成するという点は共通ですが、その内容は大きく異なっているのです。

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キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員の試験の違い

いずれの職種の場合も、外交官になるには試験に合格する必要があります。

総合職の場合は国家公務員総合試験を受験し、合格する必要があるのに対し、外務省専門職員の場合、そのための専用の試験に合格する必要があります。

外務省専門職員の試験には次のような科目があります。

・専門試験:国際法(必須)・憲法・経済から2科目
・時事論文試験:外交や国際情勢に関するテーマとなることがほとんど
・基礎能力試験:数的処理や社会科学、人文科学など
・外国語試験:英語を含むいくつかの選択肢から言語を選択して受験
・人物試験:面接、グループ討議など

外交官としてのスペシャリストを採用するための試験ですから、総合職に比べ、国際分野に特化した出題傾向となります。

キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員の給料・待遇の違い

総合職でも外務省専門職員でも国家公務員ですから、待遇は基本的に国に定められた内容となります。

そのため、入省時点では大きな違いはありません。

月ごとの基本の給与とボーナスの他、在外公館勤務の場合は勤務先により赴任手当が支給されます。

その他、住居手当など様々な手当が設定されており、条件に従って支給されます。

これも、職種によって大きく異なるということはありません。

しかし、総合職は将来的にキャリアアップし、幹部や主要国大使を任される可能性が高い職種です。

これらの役職になった場合、年収は大きく上がります。

そのため総合職と外務省専門職員では、最終的な年収には数百万円の差が出る可能性もあります。

キャリア外交官(総合職)と外務省専門職員はどっちがおすすめ?

職種の違いは、すなわち役割の違いということです。

求められる役割が異なりますから、一概にどちらの方がお勧めということはできません。

外交の仕事において総合的な知識と経験を持ち、省内での重要なポストを担ったり、官僚として社会的地位を得たいと考える場合は、総合職での入省がおすすめです。

日本の外交を冷静に見て、全体的に関わることができるのも、この職種の特徴です。

一方、特定の国や地域においてより深く、スペシャリストとして活躍したいと考えるのであれば、外務省専門職員がおすすめです。

外務省専門職員の場合、その地域との外交に特化した人材となることが求められており、総合職よりもさらに専門性や語学力を伸ばすことができる働き方が用意されています。