外交官の英語力のレベルはどれくらい必要? 英語以外で必要な「研修語」とは

外交官に必要な語学力

国際的な場での交渉や対外的な政策に関わる外交官にとって、なくてはならない力の一つが、語学力です。

英語を始めとし、様々な言語を操りながら仕事を進めていくことが求められます。

英語はできて当たり前

国家公務員総合職(いわゆるキャリア外交官)を目指す人の場合は、入省の時点で高い英語力を求められます。

英語は外交の世界では必須の仕事道具のようなものなので、使いこなせなければ仕事になりません。

外務省専門職員の場合は、高い英語力に加え、もうひとつの専門言語にある程度通じている必要があります。特定地域の担当となり、在外公館を担当する領事業務や、国際交流業務をこなしていくためです。

一般職で入省したとしても、事務方として扱う業務は国際関係ですから、英語の読み書きは必要なスキルです。

英語の資格は必要か

帰国子女や海外留学経験のある外交官は少なくありませんが、たとえば英米圏の大学を卒業したというのであれば、それだけで英語能力の証明にはなるでしょう。

そういった経験がない人には、TOEFLや国連英検が英語の資格としてはおすすめです。

TOEFLは海外留学をする際に、英語の授業に付いていくための能力を測る試験です。

国連英検は、外務省後援で、その名の通り国際協力の仕事をする際に必要な英語能力を問うものです。

両試験に共通するのが、出題分野の広さです。

文系・理系を問わずさまざまな分野から出題されます。

そのため、外交官として幅広い問題に取り組むための、英語力の適切な目安になるといえます。

一般的に、TOEFLであればiBT100、PBT600のスコアがあれば、英語ネイティブの授業に問題なく付いていけるレベルとされます。

国連英検では、最高レベルである特A級を目指したいところです。

英語以外の語学が必須

採用試験に合格し外務省に入省すると、外交官として勤務するために、外務省より「研修語」が指定され、これをマスターしなければなりません。

この研修語は、総合職であれば7言語の中から、専門職であれば40ヶ国語の中から指定され、個人の希望が通ることもあれば、希望外の言語の習得が求められることもあります。

中にはアラビア語などのように、日本人にはあまり馴染みがなく難解な言語が指定されることもありますが、難易度とは関係なく業務で使用できるレベルにまで取得することが必須です。

そのためどのような言語が当たったとしても、身につけようとする高いモチベーションが必須といえるでしょう。

外務省の語学研修は充実している

英語やその他の言語を、外交ツールとして更に磨いていくために、総合職と外務専門職には、外務省入省後に語学研修を兼ねた海外派遣制度が用意されています。

期間はおよそ2-3年間で、総合職の場合は英米圏に、外務省専門職の場合は専門言語を母国語とする国に派遣されるケースが多いようです。

しかし語学力はひとつのツールに過ぎません。外交官としては、コミュニケーション能力と調整能力を絶え間なく研鑽していくことが求められます。

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語学以外にも、政治・経済・国際情勢・法律の知識が必要

国際世界の中で、日本の国益を守る、つまり諸外国との政治や経済関係などを友好に保つことが、外交官の主な仕事となります。

そのため、基本的な政治や経済の知識は身に着けておく必要があるほか、国際情勢なども知っておくことがとても大切です。

また国の機関として働くことになるので、憲法や国際法などの法律知識も求められます。

なお、これらの知識は採用試験に含まれるので、基本的な知識とは、外交官試験を突破できるだけの知識ということになるでしょう。

赴任先ごとに一から勉強

在外勤務の場合、研修語を使用する国以外に赴任することや、以前勤務した国とは別の国に赴任しなければならない場合も多くあります。

そのため赴任地ごとに政治や経済状況を一から学ぶほか、その地特有の風習や文化、宗教、歴史なども広く学習し、知識を身につける必要があります。

また、赴任地が周辺諸国と密接な関係がある場合は、周辺諸国や地域情勢も含めて勉強をし、知識とキャリアを蓄える必要もあります。