外交官になるには? 必要な資格はある?
外交官になるまでの道のり
外交官になるまでの採用試験の流れを、ステップごとの時期と内容に分けて説明します。
外交官になるための試験の種類については次の項で説明しますが、ここでは国家公務員総合職の大卒者向け採用試験「教養区分以外」について説明します。
以下で紹介するスケジュールはあくまで一例ですので、実際には受験の際にしっかりと確認してください。
受験案内公示〜申込
毎年2月ごろに国家公務員総合職試験の受験案内が人事院ホームページに公示されます。この時点では外務省を目指す人もほかの省庁を目指す人も、共通の試験です。
4月上旬までは、インターネットによる受験申し込み期間です。
人事院の専用ページ上から申し込みをします。
受験
筆記試験は春から夏にかけて選考が行われ、1次試験は基礎能力試験と専門試験、2次試験は専門試験、政策論文試験が行われます。
1次試験は筆記試験のみで、4月下旬ごろに行われます。1次の合格発表は5月です。
2次試験は5月下旬〜6月上旬に行われ、6月下旬最終合格発表として、2次試験の結果が発表されます。
官庁訪問
「最終合格発表」での合格判定は、採用を意味するものではありません。
あくまで、国家公務員として働くための資格を得るというだけです。
実際に外交官として採用されるためには、官庁訪問を行い、採用面接を受ける必要があります。
ここで初めて、外交の仕事に特化した採用ステップとなるのです。
官庁訪問は、最終合格発表後の6月下旬から7月上旬に行います。
最終的には10月はじめごろに採用内定が出されます。
ここで晴れて外務省に採用されると、外交官としての一歩を踏み出せることになります。
国家公務員試験は筆記試験が超難関とされていますので、まずは筆記試験をクリアするために十分な対策を立てる必要があります。
20代で正社員への就職・転職
外交官の資格・難易度
外交官になるには、次の3つの試験のいずれかに合格することによって、外交官として働き始めることができるのです。
いずれの試験も大変人気のある試験で、倍率は低くはありません。
国家公務員総合職採用試験
いわゆる「キャリア」と呼ばれ幹部職員になることが期待されている、総合職の採用試験です。
将来的には、海外の大国に赴任し大使館のトップである「大使」を務めるなど、日本の外交を引っ張っていくリーダー役として活躍することが求められます。
試験はすべての省庁で共通の試験を受け、その後官庁訪問で面接を受けることになりますが、この共通の試験だけでも、倍率は5倍以上ともいわれています。
外務省専門職員採用試験
これは地域分野の専門家として活躍することが期待される人たちの採用試験です。
いわゆる「ノンキャリア」ではありますが、特定の地域の言語や文化に精通し、その知識や経験を生かして外交に大きく貢献する役割を果たします。
この試験に合格すると、外務省に就職することが決定となります。
そのため、ノンキャリアといっても大変人気が高い試験です。
国家公務員一般職採用試験
これは外務省本省や在外公館で会計、通信・文書管理担当、秘書などとして活躍することが期待される一般職の採用試験です。
この場合は外交を担当するわけではなく、補佐的な役割をすることになります。
とはいえ、国家公務員の安定性とキャリアとしての魅力から、一般職でも5倍弱の倍率となることも多いようです。
外交官になるための学校の種類
内定者の学歴は正式には公表されていませんが、一般的には東大や京大、有名私大などの難関大学の出身者でが多いようです。
語学力を求められる職業だということもあって文系学部の出身者が多く、国際法などの知識が生かせることからとくに法学部の出身者が多いのが特徴です。
大学院でより専門的な知識を学んできている人材も多くいます。
また、公務員試験に特化した予備校やスクールも存在しています。
大学卒業後、あるいは在学中にこのようなスクールに通い、公務員試験の合格を目指して勉強するという方法をとる人も少なくありません。
20代で正社員への就職・転職
外交官に向いている人
外交官の仕事は、日本を代表して対外折衝にあたることです。
そのため、コミュニケーション能力が高く、社交的な人が向いているということができます。
もちろん、コミュニケーション能力には英語をはじめとした語学力も含まれます。
自分が接している相手の気持ちを読み取るのが上手で、交渉ごとをうまく進められるという特技があれば、それは外交官として大きな強みになります。
また、国を代表するという重責をしっかりと受け止め、プレッシャーや業務量に負けないバイタリティも必要です。
外交官のキャリアプラン・キャリアパス
外交官のキャリアパスは、合格した採用試験の種類によって大きく異なります。
総合職の場合、様々な国・地域の在外公館や、国内でも様々な部署を経験し、外交の仕事を冷静かつ客観的にとらえる力を養います。
そうしてキャリアを積んで行き、最終的には日本にとって重要な位置を占める国の大使となったり、外務省内の役職を務めたりと、トップとして活躍することになります。
一方外務省専門職員の場合、外務省入省とほぼ同時に、自分の専門となる地域を決め、その地域の専門家として活躍することになります。
そのため、総合職のように見聞を広めたり、組織の上に立つ仕事をするということは多くありませんが、特定の分野のスペシャリストとして、外交における大変重要な仕事を請け負っていくことになります。
外交官を目指せる年齢は?
国家公務員の採用試験には、受験資格として年齢要件が設定されています。
それぞれの試験における年齢要件は以下のとおりです。
※ 年齢はいずれも第一次試験が行われる年度の4月1日時点での年齢です。
国家公務員総合職試験
・院卒者試験:30歳未満
・大卒程度試験:21歳以上30歳未満
※ 大学卒業・卒業見込みであれば、21歳未満でも受験可能
外務省専門職員採用試験
21歳以上30歳未満
※ 大学卒業・卒業見込みであれば、21歳未満でも受験可能
国家公務員一般職試験
・大卒程度試験:21歳以上30歳未満
※ 大学・短大・高専卒業あるいは卒業見込みであれば、21歳未満でも受験可能
・高卒者試験:高校卒業見込み、または卒業後2年以内
・社会人試験:40歳未満
外交官は高卒から目指せる?
国家公務員一般職試験は、高卒者から受験することが可能です。
一方、総合職と外務省専門職員については、大卒程度以上ですので、残念ながら高卒から目指すことはできません。
一般職についた場合、外交や在外公館の運営に関わる事務的な業務一般を担当することになります。
一般的に「外交官」といって想像するような、外交政策に関わる交渉や調整、要人とのコミュニケーションといった内容を経験することは難しいかもしれません。
しかし、在外公館に勤務することもあり、外交に間接的に関わる仕事といえます。