バイヤーの需要・現状と将来性
バイヤーの現状
不況で消費者の購買意欲の低下
最近の世の中は不景気で、「働いても年収が上がらない」「なかなか正社員になれない」「共働きじゃないと生活ができない」という世帯が増えています。
さらに、年々重くなる税負担や年金制度改革を不安に思い、消費者の間には商品を買い控える風潮が広がっています。
実際に、今日本でヒットしている商品の多くが、「ファストファッション」と呼ばれる低価格な衣服や、「プライベートブランド」と呼ばれるメーカーが独自に開発した低価格な食品です。
「高くても品質が良いもの」を購入できる余裕のあるお客さんは決して多くないと考えられています。
こうした時代の流れもあり、バイヤーはいつも厳しい環境のなかで勝負をしています。
買い物に対してお客さんの財布の紐が固くなればなるほど、売れる商品を見極める責任は重いです。
業界は二分化
物が売れない時代とはいえ、小売業界全体が不況にあえいでいるわけではありません。
かつて小売業界の代表格であった百貨店は、消費者の購買意欲の低下もあり、地方では廃業に追い込まれるほど苦戦しています。
その一方で、郊外の大型ショッピングモールやディスカウントストアは堅調な成長をみせています。
これらの企業はお客さまの目まぐるしく変化するニーズに対応したり、商品サイクルに小回りを利かせたり、どの層にも対応できる品揃えをすることで消費者の心を鷲掴みにしています。
小売業界は人件費比率が高い業界であり、業況が厳しくなると、バイヤー数を減らしたり、給与削減を行ったりします。
バイヤーを目指すのであれば、企業研究を行い、消費者ニーズに柔軟に対応していけるかどうかという将来性をみていく必要があります。
20代で正社員への就職・転職
バイヤーの需要
すぐにバイヤーにはなれない
小売業界においてバイヤーはなくてはならない職種です。
同時に企業の売上を支える責任あるポジションのため、バイヤーは企業内でも高い地位にあるということが多いです。
バイヤーは仕事ぶりが数字で評価されるため、評価がはっきりしやすく、結果が伴わない場合、バイヤー職をとかれることもあるなど厳しい世界です。
とくにアパレル業界などでは花形とされ、需要数より志望者が多い状態です。
しかし、就職して最初からバイヤーになれることは少なく、まずは販売スタッフとして現場経験を積み、商品や業界知識を学び、徐々に買い付けの仕事を任せてもらうというのが一般的です。
バイヤーは同業界からの引き抜きや中途採用もあるため、狭き門の職業ともいえます。
ECサイトのバイヤーの登場
現代はインターネットが普及し、家にいながら、また地方でも気軽に多種多様な商品を買うことができる時代です。
最近は実店舗をもたないECサイトでもバイヤーを雇うところもあります。
また自分のセンスを生かして雑貨や洋服、宝飾品などを仕入れ、ネット通販をする人も増えています。
バイヤーとして実績を積んだのち、メーカーや商品知識を生かし、会社を立ち上げる人も増えています。
バイヤーの活躍できる場所は、以前より増えているといえます。
バイヤーの将来性
AIの台頭リスク
AIが台頭し、バイヤーの仕事の大部分がAIにとってかわられるという報告もあります。
ですから、バイヤーとして生き残るには、AIにはできない感覚的な部分を磨いていくことが大切です。
たとえば、海外の動向やアート作品のチェックを行って仕事に生かす、売り場でのお客さまとのやりとりを研究する、などです。
対象とするマーケットがもつ潜在ニーズをくみ取り、柔軟に変化に対応できる人こそバイヤーとして生き残っていけるでしょう。
製造開発が仕事の主流になる
最近ではアパレル業界を中心に「SPA」という考え方をもつ企業が増加しています。
SPAとは、小売業者が製造過程にかかわり、自社のオリジナル商品をつくり、自社で販売する方法です。
中間コストの削減による高利益率が期待できるだけでなく、ライバル企業にはない商品をお店に並べることができ、差別化につながります。
今後はアパレル業界だけでなく、食品スーパーなどでもSPA化が広がるでしょう。
バイヤーは従来の単に買い付ける仕事ではなく、マーケティング能力や開発力などが重視されます。
ゼロから掛け合わせてイベントを企画したり、ECと繋げて新しいサービスをだしたりするなど、クリエイティブな要素が求められるでしょう。
将来的には仕事内容がかわり、バイヤーという名前自体なくなっていく企業もふえていくことが予想されます。
20代で正社員への就職・転職
バイヤーの今後の活躍の場
従来の企業に属するバイヤーだけでなく、個人で商品を仕入れ、お金を稼ぐ、いわゆる「個人バイヤー」と呼ばれる人たちが増えていくでしょう。
海外から個人輸入で洋服や雑貨などの商品を安く仕入れ、国内で高く売ることをビジネスとするバイヤーです。
いわゆる「転売ビジネス」といわれるものですが、最近では海外在住のバイヤーから世界中のブランド品を安く購入できる通販サイトも人気を集めており、今後もこうした形の個人バイヤーは増えていくものと思われます。
日本未上陸のブランド品を見つけ、仕入れることによって国内でも話題となれば、大きく稼ぐことも夢ではありません。