宇宙飛行士に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
宇宙飛行士に向いている性格・適性
知的好奇心に溢れる人
宇宙飛行士は、危険を顧みず、人類にとっての未知に挑戦し続ける、飽くなき探求者といえます。
そうした職業に就くにあたって、最も必要となる資質は、どれだけ知的好奇心があるかです。
これまで宇宙に飛び立っていった日本人宇宙飛行士も、航空力学や理化学、医学など、それぞれの分野をきわめた専門家たちでした。
宇宙飛行士になるには、豊かな教養と膨大な専門分野の知識が必要であり、選抜試験の受験資格を得るまででも、幼少の頃から人一倍勉強に励み続けなければならないでしょう。
そうした努力を生涯にわたって続けるには、忍耐力はもちろん、生来の知的好奇心が不可欠です。
知りたいことを知るためなら、何時間でも飽きることなく机に向かい続けられるという人は、宇宙飛行士に向いているでしょう。
冷静沈着な人
宇宙飛行士の仕事は、一般的な職業とは比べものにならないくらい、わずかなミスやトラブルが死に直結する危険性をはらんでいます。
自分の命を守るために、また、チームを危険にさらさないためには、不測の事態に見舞われても決してパニックに陥らず、適切な行動を選択できなければなりません。
そうした冷静沈着さは、生まれ持った性格といえるかもしれませんが、常日頃から意識的に暮らすことで少しずつ養うこともできます。
どんな状況でも、判断に迷うときがあったら一度深く深呼吸して周囲をよく観察し、現状を正確に把握するよう努め、今後起きる事態を頭の中でシミュレーションしてみましょう。
混乱しそうになる自分を意識しつつも、落ち着いて正確な判断能力を発揮できれば、宇宙飛行士としての適性があるといえるでしょう。
協調性のある人
宇宙飛行士は、自国や他国のクルー、地上にいる数多くのスタッフと協力し合いながら、任務を遂行します。
国籍や、年齢、性別、性格、生活習慣など、あらゆる要素が異なる多国籍な職場で働く宇宙飛行士は、協調性に優れていることが非常に重視されます。
自分がリーダーになれば、メンバーに的確な指示を出してチームを率い、自分以外の人がリーダーになれば、リーダーをサポートしてチーム活動を円滑にできる、その両方ともできることが大切です。
日常生活において、リーダーシップもとれるし、フォロワーシップもとれるという人は、宇宙飛行士に向いているでしょう。
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宇宙飛行士に必要なスキル・能力
語学力
宇宙飛行士にとって、語学力はあって当然の基礎的スキルといえます。
宇宙飛行士の講義や訓練は、基本的にすべて英語で行われます。
ネイティブと遜色ないレベルの語学力がなければ、課題をこなす以前に、そもそも内容を理解することさえ難しいでしょう。
また、宇宙飛行士はチームワークが生命線ですから、他国のクルーと積極的にコミュニケーションを図り、良好な人間関係を構築することも非常に重要です。
国際的な公用語である英語に加えて、ロシアの宇宙船ソユーズに搭乗する可能性も十分にあるため、ロシア語も習得しなければなりません。
日本人で初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長になった若田光一さんによれば、「相手と議論して打ち負かせるレベル」の語学力が必要とのことです。
泳力
宇宙飛行士には、ある程度の泳力も必要です。
その理由のひとつは、無重力空間を移動する感覚が、水中で泳ぐ感覚に近いことです。
宇宙飛行士の訓練のひとつとして、宇宙服を着て巨大プールの中で作業するものも実施されています。
このほか、宇宙から地球上に帰還する際は海上に着水することになるため、迎えが到着するまで泳げるだけの泳力がないと、命の危険があるからです。
宇宙飛行士選抜試験では、10分間立ち泳ぎし続ける課題が出され、必要最低限の泳力を備えているかテストされます。
宇宙飛行士に向いていないのはどんな人?
狭い場所が苦手な人
宇宙飛行士は、船内やISSの施設内という非常に限られた空間で長期間暮らすことになりますが、そうした環境は、想像以上にストレスがかかります。
宇宙飛行士選抜試験や、選抜試験合格後の訓練においても、窓もない閉鎖された密室で数日間の集団生活を送り、共同作業や討論をして、精神状態を健全に保てるかどうかテストがなされます。
このため、閉所恐怖症の人はもちろん、狭い場所を苦手に感じる人は、宇宙飛行士の適性があるとはいえません。
体力に自信のない人
宇宙環境はきわめて過酷であり、また不測の事態も起こりやすいため、かつてNASAで宇宙飛行士に選ばれるのは、ほとんどが屈強な軍人でした。
現在では、科学技術の発展もあって軍人ほどの身体能力は求められなくなっているものの、それでも人並み以上の筋力や持久力は必要です。
宇宙飛行士の訓練のなかには、30Kgの荷物を背負ってロッキー山脈を縦断する山岳訓練もあります。
訓練中にけが人が出れば、チームで協力しあって、けが人やその荷物まで担いで移動しなければなりません。
勉強は得意だけれど、体を動かすのは苦手という人は、宇宙飛行士に向いているとはいえないため、学生のうちから、精力的にスポーツに励むことが望ましいでしょう。