トレーダーとファンドマネージャーの違い
トレーダーとファンドマネージャーの仕事内容の違い
セルサイドとバイサイドの違い
金融マーケットの世界には、「セルサイド」と「バイサイド」という言葉があり、マーケットに参加するすべての業者が、セルサイドとバイサイドのどちらかに分かれます。
セルサイドとは、株式や債券などの有価証券売買の仲介を行う証券会社や投資銀行のことです。
セルサイドの仕事は、バイサイドの機関投資家に対して情報提供をして、金融商品の売買による手数料を稼ぎます。
一方、バイサイドとは、巨額の資産を運用する機関投資家である会社を指します。
セルサイドを通じて有価証券をマーケットで売買し、顧客から預かった資産を運用して増やすのが彼らの仕事で、バイサイドである機関投資家は、セルサイドである証券会社から有価証券を買います。
たとえば投資信託委託会社や生命保険会社、信託銀行などの機関投資家がバイサイドにあてはまります。
証券会社で働くトレーダーはセルサイド
機関投資家であるファンドマネージャーは、資産を運用することが仕事ですが、運用して投資家に利益を還元するために、金融マーケットで有価証券の売買取引により収益をあげなければなりません。
しかし、ファンドマネージャーは、金融マーケットに直接注文を出して売買取引をすることができないのです。
わかりやすくたとえると、レストランの経営者がお客さまに提供する料理を作るために、野菜や肉などの材料を直接市場から買わずに八百屋さんや肉屋さんから仕入れることに似ているかもしれません。
そして、八百屋さんや肉屋さんは、市場から商品を仕入れてきます。
トレーダーは、ファンドマネージャーの注文を受けて、金融マーケットにおいてファンドマネージャーに代わり、有価証券売買の取引を執行するのが役目です。
トレーダーはパソコンや情報端末を見ながらタイミングを逃さず、ファンドマネージャーと密に連絡を取り合い、売買のタイミングを見極めます。
バイサイドでファンドマネージャーと共に働くトレーダーも
トレーダーの中には、バイサイドの企業に所属し、ファンドマネージャーの右腕となり、ファンドマネージャーの運用方針に沿った運用をアシストする人もいます。
バイサイドのトレーダーは、ファンドマネージャーにマーケットの流れを読みながら株価などの買い時・売り時を伝え、ファンドマネージャーからの執行のサインが出たら証券会社に売買を依頼します。
セルサイドのトレーダーのように営業をかけるわけではありませんが、証券会社とファンドマネージャーの架け橋的な役割となる重要な役割を果たします。
20代で正社員への就職・転職
トレーダーとファンドマネージャーのなる方法・資格の違い
上記の通り、セルサイドのトレーダーとバイサイドのファンドマネージャーでは働く会社が異なります。
そのため、ファンドマネージャーになりたいのであればバイサイドの企業に就職する必要がありますし、セルサイドのトレーダーになりたいのであれば証券会社に就職しなくてはいけません。
しかし、どちらも新卒で専用のコースなどがあるわけではなく、適性や本人の希望を見て配置されることが多いです。
とくに必須な資格などはありませんが、金融市場の理解を深めるということで「証券アナリスト」などの資格があると有利になる可能性が高いです。
トレーダーとファンドマネージャーの資格・必要なスキルの違い
トレーダーは、ただ有価証券の注文を受け付けることだけが仕事ではありません。
今後の相場の見通しについて、独自の相場観を交えながら、バイサイドであるファンドマネージャーなどのお客さまに対して最適なセールスをし、有価証券の売買取引をすることがトレーダーの仕事です。
トレーダーの仕事は、つきつめれば営業職といえるので、金融知識だけではなくコミュニケーション能力が必要になります。
一方ファンドマネージャーは、お客さまの大切な資産を預かり、うまく運用することにより運用益を得ることが役割です。
自分の運用するファンドに必要な情報を取捨選択し、冷静な判断ができる決断力と責任感が求められます。
20代で正社員への就職・転職
トレーダーとファンドマネージャーの学校・学費の違い
トレーダーもファンドマネージャーも、大手金融機関に就職することで目指すことができる職種ですが、まずは総合職として採用されるために大学は卒業しなくてはいけません。
多くの金融機関の総合職は大学卒業を条件にしていますし、このような金融機関には東大、早稲田、慶應など高学歴の人が集まるので、内定を獲得するためにもなるべく難関大学に入学することをおすすめします。
また、学部としての指定はとくにありませんが、金融全般の知識を得るために経済学部や商学部などを卒業している人が多いです。
最近の傾向としては、市場を動かす要因となる海外のニュースをスムーズに理解できる英語力が求められることが多いので、学生のうちにTOEICで高得点を取っておくと良いでしょう。
トレーダーとファンドマネージャーの給料・待遇の違い
トレーダーとファンドマネージャーは、どちらも実績により給料や待遇が大きく変わる職業なので、どちらが良いとは一概にはいえません。
また、所属する企業や担当する案件の規模などにもよります。
しかし、ファンドマネージャーはファンドの責任者として大きな責任があり、ファンドの運用に成功した時の会社に対する貢献度も高くなります。
ファンドマネージャーになるには、トレーダーやアナリストなどを経験していなければなれないケースもあるので、ファンドマネージャーの方が高い報酬水準にあるという傾向にあります。
トレーダーとファンドマネージャーはどっちがおすすめ?
ファンドマネージャーは自分の意思で金融商品の売買をできるのに対して、トレーダーはファンドマネージャーや機関投資家の意思に合わせて取引の執行をするので、期待される役割はかなり異なります。
そのため、責任は重くても自分の考えにより自分のタイミングで運用がしたいという人にはファンドマネージャーが向いています。
一方、「ファンドマネージャーがうまく運用するために自分の知識を生かしたい」というサポート的な役割をしたいという人にはトレーダーが向いているといえます。