診療情報管理士になるには? 必要な資格は?
診療情報管理士になるまでの道のり
診療情報管理士は、日本病院会と医療研修推進財団が認定する資格の名称です。
また、医療機関内で診療情報管理にあたる人を指す名称でもあります。
実は、医療機関内で診療情報管理業務をする際に、診療情報管理士資格は必須ではありません。
医療機関でのデータ管理能力がある人であれば、診療情報管理業務に当たることはできるのです。
診療情報管理士資格を持つ人材をひとり採用し、資格保有者が他のスタッフのデータ管理指導に当たる、という体制をとる医療機関もあります。
そのため、診療情報管理士になるには、2通りの方法があります。
ひとつめは、診療情報管理士の資格を取得し、最初から専門家として雇用されることです。
もうひとつは、医療事務など他の担当として医療機関に入職し、その後の業務を通して資質を見出され、診療情報管理の仕事を任される、という流れです。
20代で正社員への就職・転職
診療情報管理士の資格・難易度
診療情報管理士の資格を取り、医療機関に診療情報管理士として就職するとなると、まずは診療情報管理士の受験資格を得なければいけません。
教育機関の場合、日本病院会の指定校(短大と併せて大学が25大学、55専門学校)の所定の過程を修了、または必須科目の単位を取得することで、受験資格が得られます。
通信教育で受験資格を得る場合は、日本病院会主催の診療情報管理士通信教育(2年制)の修了が条件です。
受験資格を満たしたら、診療情報管理技能認定試験の基礎分野、専門分野、分類法の各試験を受験し、合格することで資格認定に至ります。
資格が取得できたら、医療機関の診療情報管理士のポストに応募し、採用されることで診療情報管理士になれます。
診療情報管理士になるための学校の種類
診療情報管理士の受験資格を得るための方法としては、主に通学で学ぶか、通信教育で学ぶという方法があります。
通学の場合は2年制ないし3年制の学校が多く、一般的な学校と同様に、毎日学校へ通い、所定のカリキュラムに即して学びます。
通信教育の場合、既に短期大学や専門学校以上の学歴を有している人を対象にしていることがほとんどですが、病院勤務経験がある場合、高卒でも可となっているものもあります。
いずれの場合も、専門の機関に置いて、定められた内容について修了していることが受験資格となっています。
20代で正社員への就職・転職
診療情報管理士に向いている人
診療情報管理士の仕事は、毎日膨大に入力されるデータについて、正確性と整合性を保つことができるよう仕組みづくりをしたり、正しく入力されているのかのチェックをおこなったりといった内容です。
1日のほとんどの時間は、PCの前に座り、データを相手に仕事をしているということになります。
診療情報管理士の扱うデータが万一誤っていた場合、診療報酬請求業務に滞りが出たり、医療行為がスムーズに行われなかったりします。
それくらい、病院に置いて重要な仕事なのです。
少しの誤りも見逃さない丁寧さと、膨大なデータを扱う情報処理能力に長けている人は、診療情報管理士に向いていると言えるでしょう。
診療情報管理士のキャリアプラン・キャリアパス
診療情報管理士は、病院経営において大変重要な専門職です。
残念ながら現在のところ、一般の事務職と同じように扱われている施設も少なくはありません。
しかし、診療情報管理者を設置すれば診療報酬が加算されるなど、制度づくりも行われており、その重要性は少しずつ認められてきています。
今後、医療機関で扱うデータはさらに膨大になっていくことが考えられます。
これらのデータを扱うプロフェッショナルとして、診療情報管理士の立場はより強固なものとなっていくことが予測されます。
日々の業務に追われ、事務作業だけを行うのではなく、データの扱いや正しい管理について自己学習をつづけ、専門性を磨き続けていくことが、キャリアを成長させていくため欠かすことができないポイントと言えるでしょう。
診療情報管理士を目指せる年齢は?
診療方法管理士を取得するための受験資格に、年齢要件はありません。
そのため、所定の過程を修了し、必要な知識と技能を身につけていれば、何歳でもチャレンジ可能です。
もちろん、資格取得後には実際にその資格を武器に就職活動を行う必要があります。
施設によっては、資格保持者であっても、高年齢の人材を雇用したがらない施設もあります。
しかし、高齢化の後押しもあり、現在日本において診療情報管理士を必要としている医療機関はたくさんあります。
特定の医療機関でなければ就職しない、ということでなければ、年齢に関わらず目指すことができる職業と言って良いでしょう。
診療情報管理士は高卒から目指せる?
前述したとおり、診療情報管理士の資格を取得するためには、指定の専門学校で学ぶか、通信教育の過程を修了する必要があります。
高卒から診療情報管理士を目指す場合、最も一般的な方法は、専門学校に入学することです。
通信教育の場合、受講資格として、専門学校や短大卒を求めていることがほとんどです。
ですが、病院など医療機関での勤務経験がある場合、高卒でも受講可能としていることもあります。
なんらかの理由で通学が難しい場合は、事務や助手など何かしらの職種で医療機関に勤務し、こちらの制度を利用して診療情報管理士を目指すこともできます。
診察情報管理士の働き方の種類・雇用形態
診療情報管理士の雇用形態
診療情報管理士の雇用形態はさまざま
一般的に、医療機関における事務方のスタッフの雇用形態としては、正社員・契約社員の他、派遣社員やパートなど、非正規雇用も多く見られます。
中には、リーダー職のみ正社員で、他のスタッフは全員パートという病院や、事務職は全員非正規雇用という施設もあります。
そのような状況の中でも、診療情報管理士に関しては正社員としての雇用が多い職種のひとつです。
その理由としては、診療情報管理士の仕事が専門的で深い知識を必要とすること、扱う情報が複雑かつ機密事項であることなどが挙げられるでしょう。
正社員・契約社員の診療情報管理士
診療情報管理士として資格を取得し、診療情報の責任者として勤務する場合、正社員として雇用されることがほとんどです。
資格手当がついたり、専任管理者として組織内で管理職的な扱いを受けることもあります。
施設によっては、診療情報管理部門に複数の診療情報管理士が所属し、分担して業務に当たっていることもあります。
その場合は、部門の責任者となる管理職者だけが正社員で、他のスタッフは契約社員ということもあります。
派遣社員・パートの診療情報管理士
診療情報管理士には正社員や契約社員が多いと述べましたが、非正規雇用の診療情報管理士も存在しています。
特に組織が大きくなり、診療情報管理部門にも複数のスタッフが所属している場合、部門の責任者以外は契約社員や派遣社員であることもあります。
また、医療機関の規模によっては、事務職者には正社員はいないということもあり得ます。
そのような施設の場合、診療情報の管理業務だけでなく、医療事務や医療秘書など、事務的な仕事を一手に引き受けることもあります。
診療情報管理士の働き方
診療情報管理士の勤務状況
病院や一部の診療所は基本的に24時間・365日体制で空いていますが、事務部門においては日中のみ勤務、土日祝日休みということがほとんどです。
診療情報管理士についても、基本的に朝から夕方までの勤務で、土日祝日は休日となる働き方が主流です。
決められた業務を決められた期間内に終えることができれば、残業や休日出勤はほとんど発生しません。
そのため、子育て中の人や家族の介護など家庭の事情がある場合でも、無理なく働き続けることができる仕事のひとつといえます。
また、診療情報管理士の業務内容には、主に次の2通りの働き方があります。
診療情報管理業務専任
規模が大きめの医療機関、病院などでは診療情報管理業務に特化した部門があることが少なくありません。
この部門では、日々新しく登録される診療情報について、正しく入力されているのかや、国が指定するフォーマットにのっとっているのかをチェックをしたり、不備があった場合、入力者に修正を依頼するなどの業務を行っています。
院内に電子カルテシステムを導入したり、新しいフォーマットへの対応などアップデートを行う際にも、担当者として中心的に進めていく役割を担うこともあります。
これらの部門が設置されている場合、そこに配属されれば、基本的に診療情報管理の業務のみを担当していきます。
周辺業務を含め、他の職域の業務まで割り当てられることは、ほとんどないと言えるでしょう。
部門に複数の診療情報管理士が配属されている場合、分担して業務にあたるため業務量の調整がしやすいほか、交代で休みを取ったり、お互いにサポートしあったりと、働き方の調整がつけやすいのも特徴といえます。
他の医療事務業務との兼任
中小規模の医療機関においては、診療情報管理に特化した部門がないこともあります。
中には事務方はひとりがすべて対応するという施設もあります。
その場合、診療情報管理士として採用されても、それ以外の周辺業務や事務作業一般を担当します。
例えば、窓口での患者対応や報酬請求のためのレセプト作成など、医療事務が担当しているような業務も担当します。
その場合、診療情報は内容を管理するだけでなく、実際の入力や運用も自分が行います。
そのため業務全体を見通して関われます。
一方、事務担当者の人数が少なかったり、自分しかいなかったりする場合、休みの調整がしにくいなどのデメリットも存在しています。
診療情報管理士の求人状況・就職先の選び方
診療情報管理士の就職先にはどんなところがある?
診療情報管理士の仕事は、医療機関における診療情報の管理・運用です。
そのため、就職先としては、診療情報を保有している医療機関ということになります。
具体的にいえば、病院や診療所などが主な就職先となるでしょう。
小さな診療所の場合、診療情報管理の仕事だけでなく、普段の診療に関わる事務業務(会計計算や患者対応、レセプト作成など)も含め、医療行為以外はすべて1人でこなさなければいけない、ということもあります。
一方総合病院など大きな施設になると、事務の仕事も細分化され、診療情報管理の仕事だけでも複数名の担当者がいることもあります。
診療情報管理士の求人の状況
2000年の診療報酬改定により、診療記録管理体制加算という新予算が設けられました。
これは一定の要件に当たる医療機関内に、1名以上の診療記録管理専任者が在籍していれば、患者1人あたりにつき所定の金額が支給されるという加算制度です。
そのため、2000年以降診療情報管理士を採用する医療機関が格段に増えました。
また、電子カルテの導入に伴い、医療業界においてもデータ管理や情報処理を専門的に行える人材が求められています。
しかし、現状では、「診療情報管理室に専任として採用」の募集条件は多くはありません。
求人サイトで「診療情報管理士」のキーワードで検索してみると気づくかと思いますが、診療情報の管理の他、窓口対応やレセプト作成など、医療事務の業務との兼任での募集が多いのが現状です。
診療情報管理士の就職先の選び方
診療情報管理士としての就職先を選ぶにあたって必ずチェックしておく必要があるのが、就職後担当することになる業務範囲についてです。
診療情報管理士の求人には、診療情報管理室専任のものと、医療事務との兼任の募集があります。
医療事務との兼任と聞くと、診療情報管理士の専門性を十分に生かせないのではないという考え方もあります。
一方で、医療事務との兼任ということは、診療情報の入力から運用まで、すべての過程を担当することになります。
つまり、診療情報についてより一層、全体的にとらえることができます。
これは、今後診療情報管理士としてキャリアアップを考える場合には、ひとつの武器となるという考え方もできます。
また、大きな施設では複数の診療情報管理士が業務を細分化して担当していることもありますが、小さな診療所の場合、医療行為以外はすべて自分の担当することができます。
小さな医院での業務範囲は広いですが、責任と裁量を持って働くことができます。
このように、施設によって診療情報管理士の働き方は様々です。
自分が希望する働き方や職務範囲、今後のキャリアについて検討し、それに見合った条件で勤務できる就職先を選択することをお勧めします。
診療情報管理士の志望動機・面接
診療情報管理士として医療機関で働く場合、志望動機については次の2点がポイントとなります。
(1)医療機関で働きたいと思った理由
(2)診療情報管理士という職業を志望した理由
医療機関は、一般企業などと比べると特殊な環境であり、特殊な役割を持った機関です。
そのため、一般企業ではなく、特に医療機関で働く職種を選んだ理由や、できればその職場で実現したい目標・使命感について言及できると良いでしょう。
また、医療機関で働く職種の中でも、医療職ではなく事務職である診療情報管理士という職種を選んだ理由についても、具体的に述べることができると良いです。
特に、診療情報の重要性や管理の必要性、この仕事に関する責任について理解し、尊重していることが正しく伝わるような志望動機を述べることができれば、そうでない場合に比べて好印象につながります。
診療情報管理士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
就職先はどのように探したらいい?
求人サイトで「診療情報管理士」というキーワードで検索すると、様々な求人がヒットします。
これらのサイトを利用すると、求人情報を詳細に確認したり、求人元である医療機関からのメッセージや求める人材像が見られたりと、サイトごとに分かりやすいよう作られています。
中には、医療系求人や医療事務の求人に特化したサイトもあります。
これらのサイトを利用して就職先を探すのが一般的な方法といえます。
また、ハローワークも求人が出ていることもあります。
費用の問題などで求人サイトや求人マガジンへの掲載を行っていない施設についても、ハローワークでは募集をしています。
あるいは、医療機関の公式サイトなどに求人情報が掲載されていることもあります。
特定の医療機関を志望する場合には、チェックしてみるとよいでしょう。