作詞家になるには
作詞家になるまでの道のり
音楽系の専門学校に進学する
音楽系の専門学校には、作詞家を目指すためのコースがあります。
専門的な知識を身につけて作詞家を目指しますが、作詞家には免許も資格も必要なく、進学したからといって必ずしも作詞家になれるわけではありません。
コンテストやコンペに応募する
作詞家として継続してヒット作に恵まれる人はほとんどいません。
そのため、レコード会社などでは常に新しい才能を求めてコンテストやコンペを開催しています。
作品を応募して、入賞したり選ばれたりすることで、作詞家の業界に足を踏み入れるのです。
基本的にはJポップが中心で、親しみやすく作詞がしやすいものが多いですが、曲にのせて歌入れを済ませたデモテープを用意する必要があります。
知り合いのアーティストに歌ってもらったり、自分で歌入れをしたりしなければならず、録音についてもある程度の知識が必要となります。
自分で音楽活動をする
作詞家になるためには、音楽業界に精通していることも重要です。
たとえば自分でバンドをしていたり、楽曲制作をしていたりすることで発表の場を広げていき、レコード会社から声をかけてもらう方法があります。
ミュージシャンとして活動していた人が、歌詞の才能を認められそのまま作詞家になるといったことも多くあります。
現在は少なくなりましたが、作詞家へ弟子入りをして多くの制作を経験していく方法、さらには業界の知人などを通じて直接レコード会社へ売り込む方法などもあります。
しかし、これは特殊なルートであり、実践することは簡単ではありません。
近年では、売り込みを専門にしている有料のプロダクションなども多くありますので、作詞家を目指すのであれば積極的に利用していくことが必要でしょう。
音楽系の求人に応募する
音楽出版社の求人
音楽系の雑誌などにコンペの情報が掲載されることがあります。
出版社を通してコンペに応募し、勝ち抜いて作詞家デビューが決まった場合、その曲については著作権契約に出版社がからみ、数%配分されるようです。
ほとんどの場合その後の活動は、フリーランスとしてや作家事務所・音楽事務所などに所属して行います。
音楽系事務所の求人
作家事務所・音楽事務所などでは、常に人材発掘を行っています。
才能豊かな人材が現れればコンペに勝つ可能性も高まるためです。
事務所を通して作詞家デビューとなった場合は、その後の仕事も事務所を通して請けるケースが多いようです。
主な応募資格としては、
・これまでに作詞を担当した音源をプロフィールとして提出できる人
・締切日を守れる人
・課題に合ったサンプル歌詞を提出できる人
・仮歌を録音して提出できる人
などで、年齢、性別、国籍、学歴、経験はほとんど問われません。
デモテープ審査や面接などに合格した人は事務所に登録でき、コンペ情報の取得や事務所のバックアップを受けることができます。
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作詞家になるための学校の種類
学歴は問われない
作詞家には免許も資格も必要なく、学歴もまったく問われません。
中卒や高校中退の人であっても、音楽大学を出た人であってもまったく平等であり、実力勝負の世界だといえます。
実際、現在活躍している作詞家の中で専門の教育を受けた経験がある人はごく一部です。
ただし、詩を書くのが趣味だったり文章力に自信があったりしても、基礎的な知識がなければ作詞家になるのは難しいです。
基礎を身につけることができ、同じ目標を持った生徒と作品を比べたりしてお互いに高め合うことができるのは大きなメリットでしょう。
音楽系の大学・専門学校
音楽的な知識や技術は作詞家にとってなくてはならないスキルですが、作詞家だけの専門コースを設けているところは非常に少ないのが現状です。
作詞家に特化せず、シンガーソングライターとしての技術や、音楽プロデューサーとして音楽マネジメント、音楽ビジネスの知識を身に付け、培ったノウハウを作詞にも生かしていくのが一般的です。
音楽業界で広く、長く活躍したいと考える人に向いているでしょう。
文学系大学・専門学校
作詞家にとって必要不可欠な文章力を学ぶことができるのが文学系のスクールです。
とくにコピーライターなどを目指すための広告表現、プランニング、コミュニケーションなどに関する学びは作詞をする上でも大いに役立ちます。
作詞をはじめ文筆業のスキルをつけたい人に向いているでしょう。
民間の作詞講座
通信教育などで作詞が学べる民間主催の講座も存在しています。
現役作詞家の添削を受けることができるなど、より実践に近いプログラムであることが多く、実践的なノウハウを学びたいという人に向いています。
作詞家に向いている人
作曲家には、何よりも表現力が求められます。
そのためには文章力や語彙に関するボキャブラリーなど、さまざまな知識やセンスを身につけなければなりません。
どんなに自分でいい曲ができたと思っても、歌詞にこめたメッセージやテーマが聞き手に伝わらなければ、楽曲が世に出ない可能性もあります。
そのためには作詞家は常に努力を欠かさず、良い詩を書くために一生勉強を続けなくてはならないのです。
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作詞家のキャリアプラン・キャリアパス
作詞家の登竜門「コンペ」
タレントや文筆業などで知名度の高い人や音楽業界に人脈がある人を除き、多くの場合、作詞家デビューは「コンペ」と呼ばれるオーディションを勝ち抜くことからはじまります。
まずアーティスト、その所属事務所、レコード会社などにより新曲の企画やコンセプトが決定し、それにそって作曲が行われます。
その後、作詞を依頼するにあたっては懇意にしている作詞家やイメージに合った著名な作詞家が選ばれることが一般的ですが、広く新しい才能を求めてコンペが行われることも多いです。
コンペの開催が決定すると、音楽出版社・作家事務所・音楽事務所などに情報がわたり、
さらに登録している新人作詞家・作詞家志望者へとわたります。
ただし、近年は素人でもハイクオリティな楽曲が安価で制作できるようになっているため、レコード会社などではクオリティが低いものには見向きもされない場合も非常に多いです。
音楽業界での活躍
作詞家のなかには、シンガーソングライターやバンドのメンバーとして自分でも音楽活動をし、作詞家の仕事と両立している人もいます。
自ら音楽づくりの現場を体験することで、よりアーティストの気持ちも理解することができますし、作詞をする際にも生かすことができるでしょう。
作詞家を目指せる年齢は?
音楽業界に定年はなく、歳を重ねても作曲家として活躍している人は非常に多くいます。
しかしいままで作詞に携わらなかった人が、まったくの未経験から作曲家を目指すのは現実として非常に難しいです。
作詞で生計を立てていくと考えるのであれば、趣味として作詞をはじめたり、音楽活動をしたりなどのバックボーンが必要なため、できるだけ早いうちに行動に移す必要があるでしょう。
作詞家の事務所・プロダクション
作詞家の事務所とは
作詞家のほとんどは会社員ではなく、音楽系事務所などに所属しているか、フリーランスの個人事業主です。
事務所に所属する場合とフリーランスの違いは、仕事のチャンスを得やすいことです。
新人作詞家の登竜門「作詞コンペ」は、アーティストの新曲のメロディをデモテープなどで聞き、そこに歌詞をつけていきます。
このコンペの情報は主に音楽出版社や音楽系の事務所に流されるため、事務所に所属している人の方がチャンスを得る確率は高いといえます。
事務所による特徴の違い
プロダクション
主にアーティストやプレーヤー(演奏家)が所属しているマネージメント会社で、専業の作詞家を直接所属させるということはほとんどありません。
しかし、お抱えアーティストの指名の場合や、太いパイプのある作曲家・編曲家のブレーンの場合、もしくはコメンテーターなどでメディアに露出している作詞家の場合はプロダクションへ所属している人もいます。
音楽出版社
レコード会社や楽曲制作会社、音楽出版社で所属の作詞家を抱えるケースはごくわずかです。
作詞家を所属させるよりも、1曲単位で個人事務所や作家事務所に所属している作詞家に仕事を依頼するケースが主流になります。
作家事務所
いわゆるエージェントで、作詞家に限らず作曲家、編曲家などの音楽クリエイターが多数所属しています。
その規模や営業力は事務所によって大きな差があります。
事務所内の所属クリエイター同士でデモテープをつくり、アーティストやレコード会社に売り込むスタイルが多くなっているようです。
その他
作詞だけで生活が成り立っている作詞家はごく少数で、放送作家やコピーライターなどの職業を兼ねる人も多く存在します。
そういった兼業作詞家の場合は、それぞれメインになる仕事の会社や事務所に所属し、イレギュラーで作詞の依頼を受ける形が多いようです。
事務所に所属するには
こうした事務所で仕事をするには、面接やオーディションを経て所属することが多いようです。
多くの事務所では、新人を発掘するために、さまざまな応募条件を設けています。
既に他の事務所と契約していないこと、作詞に必要な一定のスキルがあること、作詞のための環境が整っていることなどが条件にされることが多く、基本的にはメールや封書で自身の経歴をまとめ応募します。
その後、面接やオーディションが行われます。
ここでは一般的な面接だけでなく、実際の作詞のスキルが問われることが多く、既存のデモテープに歌詞をつけたり、一定のテーマを与えられその場で作詞をしたりすることが多いようです。
晴れて合格すると作家契約や著作権契約を結び、仕事ができるようになります。
事務所に所属した場合、仕事のチャンスは大きく増えますが、印税の30~50%ほどは事務所に納めなければならないことが多く、手取りが大きく減ってしまいます。
そのため、一定の経験を積むとフリーランスとなったり、個人事務所を構えたりする作詞家が多いようです。