作曲家の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

作曲家の仕事とは

作曲家とは音楽を作曲し、曲をアーティストやクライアント(依頼主)に提供することを生業にしている人です。

作曲家が関わる仕事は多岐に渡り、Jポップをはじめとするヒット曲業界、映画音楽やゲームミュージック、CMソング(サウンドロゴ)、クラシック、合唱団やブラスバンドのための楽曲、社歌や校歌など、音楽が必要とされる所にはニーズがあるのです。

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作曲家の業務の内容

アーティストへの楽曲提供

世間一般に知られている作曲家はこのタイプでしょう。

TVに出演しているような有名アーティストから、インディーズバンド、アイドルなどへ自分の作った曲を提供しています。

アーティスト事務所からコンセプト(イメージや方向性の案)を提示されることがほとんどで、そのイメージに合う楽曲を制作します。

自分の作った曲が大勢の耳に触れ、名前が広く知れ渡れば作曲家としての大きな地位を確立することができます。

CM・劇伴・映画音楽などの作曲

テレビやラジオなどで流れているCMには必ず音楽が流れています。

このような曲や、ドラマや演劇の舞台などに使う曲(劇伴)を作曲する人がこのタイプです。

事務所に所属している場合は、そこの事務所と契約している制作会社からのオファーが来ることがあり、基本的にはクライアントからの指示で作曲していきます。

CMであれば、商品や企業イメージに合ったもの、ドラマなどの劇伴であればその情景やシーンに合わせ雰囲気がより出るように作曲を行っていきます。

クライアント側から漠然としたイメージや抽象的な依頼もあるため想像力が必要になる一方、映像を見ながら絵の動きと音楽をシンクロさせる高度なテクニックが必要な場合もあります。

ゲーム・BGM・効果音などの作曲

近年はスマートフォンのアプリやゲームのBGMを会社内で制作することが増えてきており、会社に所属して働きます。

勤めている会社の自社製品であるゲームで使用するため、SEと言われる効果音を作ったり、シミュレーション・ゲームでキャラクターのイメージにあった音楽を作曲したりしています。

制作会社で作ったゲーム自体がヒットして、楽曲が素晴らしいと評価を受ければ、フリーランスに活動の場を移すこともあります。

直接依頼を受けて作曲

クラシックの作曲家の多くは、自分が好きなように作曲するのではなく「委嘱(いしょく)」と呼ばれる作曲をクライアントから直接依頼されて仕事をします。

委嘱の場合、クライアントから使用目的やイメージ、編成や時間などを聞き、それを納期までに作曲していきます。

クライアントが企業や自治体の場合は、報酬(作曲料)や契約もしっかり行いますが、個人間の委嘱の場合、はじめは低賃金での仕事になることもあります。

また委嘱の場合、「買い取り」と言って著作権も依頼主が持つ場合がほとんどで、作曲家として安定して働くためには、作曲家の権利を守ってくれるJASRAC(ジャスラック)という仕組みを知っておく必要があります。

作曲家の役割

作曲家の役割は基本的には曲をつくることです。

かつては曲の中心となる主旋律をつくるだけで、編曲家に楽曲を渡してアレンジしたり、作詞家が歌詞をつけたり、演奏家が演奏したりしていました。

しかし近年では、自ら編曲をしたり演奏したりする作曲家が非常に増えており、楽曲づくりにおける作曲家の役割は非常に大きくなっています。

これはインターネットやパソコンなどの環境向上により誰でも作曲ができるようになったことで、作曲に対するハードルが低くなったこと、編曲や演奏を自分で手掛ける人が増えてきたことが原因です。

実際に音楽づくりの現場でも、作曲家がすべてのディレクションをすることも増えてきています。

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作曲家の勤務先の種類

プロダクションに所属して活動する

芸能プロダクションや音楽事務所に契約して活動している作曲家は、事務所からのオーダー(依頼)で仕事をします。

基本的には実力主義ですが、事務所が取ってきてくれる仕事が主になるので、フリーランスと比較すると仕事の供給量は安定しています。

契約は、固定給の場合もあれば出来高制もあり、基本給+出来高や印税といった方式もあります。

フリーランスとして活動する

フリーランスの作曲家は実力が認められ、仕事を発注してくれる会社や仲間とのつながりがある人のみです。

そのため、以前はプロダクションで作曲家やアーティストとして活躍していた人やネット動画などで実力を認められた人が大半です。

クラシックの世界では、大きなコンクールでの優勝でその実力を認められて、フリーランスの世界に入っていく人もいます。

作曲家の仕事の流れ

作曲のスタイルは、それぞれの作家によって千差万別です。

たとえばアイドル用の楽曲の場合、まずアイドルの所属するレコード会社やプロダクションのディレクターやプロデューサーから作曲の依頼を受けます。

イメージや方向性を綿密に打ち合わせしてから、作曲に入ります。

最近はコンペといって、アーティストのために何百曲も楽曲を集めその中から選ぶという方法も増えてきています。

近年、パソコン内で作曲が出来るソフトのクオリティも上がり、ほとんどの作曲家がパソコンで作曲しています。

クラシック系の作曲の場合、楽譜をつくればすべての作業が終わりますが、Jポップなどの場合は実際の完成曲のイメージを伝えるために、作曲家自らがパソコンに打ち込んで音にしたり、楽器を演奏したり、仮歌を入れる場合も多くあります。

作曲家と関連した職業

作曲家と作詞家

Jポップなど歌のある作曲では、作曲家は作詞のことも考えなければなりません。

自分で作詞をしてしまう作曲家もいますが、多くは、作詞家に歌詞を書いてもらいます。

「歌もの」(歌詞のついたメロディー)の作曲家を目指すなら、文法や発音、表現方法など言葉の勉強も必要です。

作曲が先か作詞が先か?

最近のヒット曲は、圧倒的に「作曲が先」が多く、作曲家が歌詞のないメロディーだけのデモテープを作り、それに作詞家が歌詞を乗せます。

これをメロ先(めろせん)あるいは曲先(きょくせん)と呼びます。

作曲家はメロディーとサウンドだけに集中してデモテープを作るため、作詞家の力量が問われます。

メロディーのリズムや高低に合わせて、アクセントなどの違和感がないように、言葉をメロディーにはめ込まなければいけません。

一方、作詞家が先に歌詞を作り、それに作曲家がメロディーを乗せる方式を、詞先(しせん)と呼びます。

この場合、作曲家は言葉が違和感なく聞き手に届くようなメロディーを考えなければなりません。

言葉の句切り、アクセント、ニュアンスなどに気をつけながら、美しく自然なメロディーを作るのです。

メロディーの世界感や雰囲気を合わせなくてはならないため、熟練のテクニックと感性が必要な作曲法です。

作曲と編曲の違い

メロディーとそれ以外

作曲は、基本的にメロディーのみを作るのが仕事です。

それに対し編曲は、歌のメロディー以外の伴奏部分を作るのが仕事です。

ボーカルが歌う部分をつくるのが作曲家であれば、それ以外のすべてのパート(ギターやドラム、管楽器や弦楽器など)を考えるのが編曲家の仕事です。

編曲家は「アレンジ」、「サウンド・プロデュース」と呼ばれることもあります。

編曲家には作曲家と同様、音楽的な力量や知識、経験値が必要です。

楽譜も書けなければなりませんし、アレンジのためにはPCや音楽編集ソフトなどデジタルのノウハウも必須です。

作曲家と編曲家の違い

印税の違い

作曲家と編曲家の大きな違いとしては、印税があります。

編曲家には、作曲家がもらえる印税収入はありません。

編曲の場合はその多くが「一曲いくら」という買い取り方式になっており、編曲した楽曲が大ヒットしたり、映画やドラマの主題歌になったりしても、編曲家の収入はアップしません。

ただし近年ではCDがあまり売れないため、作曲家が受け取る印税よりも、編曲家が受け取る報酬のほうが多いという逆転現象も起こっているようです。

クレジットの違い

編曲家は、基本的に表舞台に出ることはありません。

テレビでアイドルやアーティストが楽曲を披露しても、作詞・作曲はクレジットされますが、編曲者の名前が出てくることはごくまれです。

編曲は楽曲を作る上では非常に重要な部分ですが、作詞・作曲に比べると目立たないという現状があります。

クラシックの世界

クラシックでは、作曲家が作曲も編曲も同時に行います。

そのためクラシックの作曲家になろうという場合、音楽大学や専門学校での高度な教育を受けておく必要があります。

オーケストラ用の曲を仕上げる場合など、何十という楽器の音色や個性、演奏法を熟知して、スコアと呼ばれる何十段もある大きな楽譜にすべての楽器のメロディーを書き込んでいきます。

その際に、高度な音楽的理論や記譜(楽譜を書くこと)の知識が必要となり、感覚や感性のみではクラシックの作曲家はつとまりません。

ヒット業界での作曲と編曲

最近では、作曲家がデモテープの段階でほとんど完成品といってよいほどの音源を作ります。

メロディーも重要ですが、編曲がカッコ良くなければコンペでデモテープが採用されないからです。

そのため昔と違ってメロディーのみしか作ることができない作曲家は淘汰され、人の心を惹きつける新しいサウンドを構築できる「編曲力」がとても重要視されるようになってきました。

かつては高価な専門機材がなくては編曲ができませんでしたが、近年では低価格で簡単にアレンジができる音楽ソフトも増えつつあり、プロでなくても編曲を楽しめるようになりました。

コンペに提出される楽曲も、既に編曲がなされた高レベルなものが多いため、今後は作曲家にも一定の編曲力が求められ、編曲に対する知識やスキルも必要とされていくと考えられます。