落語家の年収はいくら? 真打ち・二つ目の収入も詳しく解説
芸人としてのランクや実力、知名度などによっても収入は変動しやすい職業です。
この記事では、落語家の年収の特徴について、詳しく解説します。
落語家の給料・年収の特徴
落語家が寄席で得られるギャラのことを「割り(わり」といいます。
基本的に落語家の割りは、一般には公開されていません。
金額は落語家のランクや仕事内容によっても変わるため、給料や年収の平均を出すのは難しいです。
割り(出演料)の相場
落語家の割りは、興行収入をただ分けるだけではありません。
基本的には、落語家一人ひとりの客一人当たりの給金×有料入場者数で計算されます。
そのため多くの落語家は、実際に高座に上がるまで自分がいくらもらえるのかわからないことが大半です。
お客さまが少ない高座の場合は、硬貨しか入っていないこともあるといい、「割に合わない」という言葉はここから生まれたといわれています。
しかし現在では、落語家の階級に合わせた最低限度の保障はされることがほとんどで、極端に集客が悪い場合は寄席側か協会側が負担するようになっています。
国立演芸場も、かつては割り制度でしたが、現在では割りを全廃しており、規定で定められた一定の出演料が支払われるしくみとなっています。
ちなみに割りは、基本的に現金で手渡されるため、落語家自身か代理人が直接出向いて取りに行かなくてはなりません。
二つ目の収入
前座の次の階級である「二つ目」の出演料の相場は2万円から15万円程度です。
二つ目に昇進すると、師匠宅でも寄席でも雑用を行わないため、見習いや前座のような小遣いはいっさいもらえなくなります。
また、定席の高座に上がる機会は非常に限られ、自分で仕事を探す必要があります。
そのため人気や実力に比例して出演料にも差があるようです。
3時間司会を務めたあとに落語を1席もうけるような仕事は、拘束時間が長いことになり、依頼するほうとしてはそれなりの金額を用意しなければなりません。
しかしそれほどの仕事量でなければ、基本的には10万円以下、東京在住の落語家が都内で仕事を行うのであれば5万円以下でも引き受けるのが一般的です。
ただし、見習いや前座のように毎日寄席に通うわけではありませんから、仕事の本数によっても収入にはばらつきがあると考えられます。
人気や実力次第ですが、平均すると月収45万円(年収550万円)程度になると想定されます。
真打の収入
「真打」の出演料の相場は、5万円から100万円以上と開きがあります。
ただし100万円以上の落語家は東京でも数人いるかいないかで、全体を平均すると10万円程度のようです。
大まかな目安としては、日本テレビ系演芸番組「笑点」の出演者で数十万円程度といわれています。
そのほか東京在住の落語家で、都内の仕事であれば、真打でも5万円以下で引き受けるという人も珍しくありません。
二つ目同様、まさに人気、実力次第ですが、平均すると月収50〜300万円(年収600〜3600万円)程度で推移すると考えられるでしょう。
芸人や色物の収入
テレビタレントとしても人気があるような落語家の出演料は「時価」ということになります。
ただし、1000万円を超えるような人はほとんどいないと考えられます。
また、寄席には落語家だけでなく、「色物(いろもの)」と呼ばれる、落語と講談以外とくに音曲(おんぎょく)などを演じる芸人も高座に上がります。
その出演料も、一般には公開されておらず不明となっています。
東京都と関西の違い
割りの制度は現在では東京のみで行われており、関西ではこの制度はありません。
関西では伝統的に月給制が定番となっており、予め合意した額の出演料が支払われことが大半です。
20代で正社員への就職・転職
落語家の初任給はどれくらい?
いわゆる落語家の新人である「前座」の出演料の相場は5,000円から3万円程度といわれています。
ただし5,000円特別安くした場合で、東京では最低1万円、地方でも最低2万円ほどとされています。
前座の場合、ふだんは師匠が高座に上がる定席(じょうせき/常設)の寄席(よせ/演芸場)に楽屋入りして、前座を務めるとともに雑用をおこない、そのぶんの小遣い(給金)をもらいます。
師匠と前座のセットでよそから仕事を依頼された際の相場が上記の金額ということになりますが、どれほどそういった依頼があるかは師匠によりまちまちでしょう。
目安として、もし仮に1日5000円で月に30日高座があるとすると、月収15万円(年収180万円)、1日1万円であれば月収30万円(年収360万円)です。
落語家の福利厚生
落語家は、会社に所属して働くわけではないため、芸能人やフリーランスで働く人と同じように福利厚生を受けることができません。
税金や保険に関した手続きも自分で行わなくてはならないのです。
20代で正社員への就職・転職
落語家が収入を上げるためには?
落語家が収入を上げるには、いくつかの方法があります。
ここでは、主な方法を紹介します。
階級を上げる
上方(近畿圏)では真打制度は消滅していますが、入門から4年目までが「前座」、その後の10年間が「二つ目」、それ以上が「真打」という目安です。
修業をして階級が上がれば、それだけ収入もアップするため、まずは階級を上げることを目標にするとよいでしょう。
仕事量を増やす
落語家の主な仕事は、お座敷と独演会です。
お座敷は落語家の収入の大半を占め、人気落語家は1日にいくつもお座敷をこなし、多くの収入を得ています。
また、独演会などホールや地方で行われる興行も重要な仕事です。
割りは東京などの大都市か地方か、あるいは拘束時間や1日何席行うかなどの仕事量、さらにはお酒の席か否かといった仕事場所による違いもあります。
積極的に仕事を受け仕事量を増やすことが収入アップにつながります。
またご贔屓からの「ご祝儀」も落語家の大事な収入のひとつです。
副業をする
副業に精を出す落語家もいます。
現在は落語ブームもあり仕事量が多いため、副業をする人は減ってきたようですが、結婚式や講演会の司会、声優、執筆業など落語家のスキルを活かした仕事を掛け持ちする人は珍しくありません。
またテレビやラジオなどのメディアに積極的に出演し、タレントとしても活躍する方法もあります。
「落語家の年収」まとめ
落語家の収入は、落語家としての階級や、実力・人気などによって大きく異なります。
新人時代は年収300万円台くらいであった落語家も、ベテランで人気が高まれば年収数千万円以上を得ることもあります。
寄席の出演だけではなく、イベントやメディア出演などを行うことで収入を増やすことが可能です。