落語家が勉強すること、練習方法

滑舌・発声などの基礎

落語家は人前で落語を演じるわけですから、噺(はなし)そのものが聞き取りにくいようでは仕事になりません。

大きな声で、滑舌よく話をする必要があります。

そのための練習方法としては「寿限無」(じゅげむ)という前座噺が挙げられます。

日本一長い名前として知られていますが、早口言葉のように滑舌をよくするための訓練方法にしばしば用いられます。

実際に腹式呼吸で、舌を噛まないように大きな声を出すことが重要です。

また寄席(よせ)によっては前座だけマイクがないところがありますが、これは修業中の前座が発声の勉強をするためであると言われています。

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噺を覚える

口伝で師匠から教わる

その昔、実際の修業では師匠から落語を習うときに噺を3回聴くだけですべて覚えなければならなかったといわれています。

いわゆる「三遍稽古」(さんべんげいこ)です。

現在でもプロの現場では録音を禁止する師匠が多く、テキストはなく、噺は口伝で教わるのが一般的です。

師匠の許可があれば1回演じてもらう際に録音し、後で音源を聴いて文字に起こし、繰り返し覚えることもあるといいます。

また一門によって最初に習う噺は異なります。

「寿限無」が最初のところもあれば、「道灌」(どうかん)「八九升」「子ほめ」「元犬」(もといぬ)などさまざまです。

仕草を覚える

噺そのものはもちろんですが、同時に仕草も覚える必要があります。

現在はDVDなどの映像も発売されていますし、動画配信サイトなどで映像を見ることもできますから、独自に覚えることもできるでしょう。

とにかく声を出し、実際に動いて練習することが大切です。

噺の研究をする

落語の噺や仕草を覚えて再現することはできただけでは、お客さまを笑わせることができません。

さらなる稽古をし、噺を自分のものにすることが必要です。

噺については、地の文、会話文という違いがあり、登場人物によっても言葉使いや話し方は異なります。

また噺の内容や展開によってもリズムやテンポを変えたり、間の取り方に気を使ったりして自分なりの演じ方を研究していきます。

仕草についても、登場人物を演じ分けるにあたり、舞台の上手(かみて/観客の右、演者の左)と下手(しもて/観客の左、演者の右)を使います。

舞台下手を向くと目下の人物に、上手を向くと目上の人物に話しかけていることになります。

これを「上下(かみしも)を切る」といいます。

噺のすべてに仕草が伴うわけではありませんが、食べる、飲む、歩く、走る、書く、切る、寝るなどの基本的な動作を身に付け、さらに扇子や手ぬぐいといった小道具の扱い方も練習します。

こうしたポイントを踏まえながら、師匠の演じる様子をよく観て覚え、何度も繰り返し稽古をすることが大切です。

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噺の覚え方

落語家は一人で30分以上にわたる長い噺を演じることもあります。

落語家にとって記憶力は非常に重要なポイントとなりますが、すべての話を完璧に暗記しているわけではありません。

噺の覚え方には、一般的に「一言一句」と「イメージ記憶」があるとされています。

「一言一句」は、師匠から教えてもらったとおり一言一句すべてを暗記する方法です。

毎回間違いなく噺を演じることができますが、暗記した通りに話すため、アドリブが聞かなかったり、間違いがわかりやすくなったりするリスクもあります。

一方「イメージ記憶」は、すべてを暗記するわけではなく、重要なポイントをいくつかおさえておき、それをつなげながら話す方法です。

その場の雰囲気に合わせて柔軟に話すことができたり、噺を延ばしたり逆に短くしたりすることもできます。

しかし毎回話し方が変わり、同じ噺をすることは二度とできません。

落語家の多くはこの「一言一句」と「イメージ記憶」を織り交ぜながら記憶をし、噺を演じる際に生かしているのです。