落語家の1日のスケジュール・生活スタイル

落語家の業務スケジュール

師匠と新米弟子の生活

師匠(真打/しんうち)と弟子(見習い/前座)は、プロの落語家と落語家の卵という大きな違いがあります。

とうに新米の見習いは休みなく師匠宅で家事や雑用を務めるため、師匠と私生活をともにするか、あるいは師匠宅の雑用に加えて、寄席(よせ/演芸場)に楽屋入りするため、師匠と同じ生活リズムになります。

師匠も前座もほとんど毎日、寄席に通う生活で、空いた時間で落語の稽古をする多忙な生活です。

落語のスケジュール

おもな落語の協会は落語協会、落語芸術協会、円楽一門会、落語立川流、上方落語協会の5団体で、それぞれ定席(じょうせき/常設)の寄席を持っています。

基本的に余一(31日がある月の31日)以外、毎日寄席が行われ、上席(1日~10日)、中席(11日~20日)、下席(21日~30日)ごとに番組(プログラム)が変わります。

お正月の顔見世興行は1日3回公演ですが、通常は昼の部(正午頃開演)と夜の部(夕方5時前開演)の1日2回公演、入れ替えなしで開催されるのが一般的です。

出演者は前もって決まっていますが、演目についてはそれぞれの落語家がほかの出演者のものと重ならないよう、当日、出番待ちのあいだにネタ帳を見て決めます。

二つ目の生活

同じプロの落語家でも、まだ真打に昇進していない、「二つ目(ふたつめ)」だけは師匠とは別行動です。

これは師匠宅でも寄席でも雑用を行わず、純粋に自分の仕事に集中するようになるからです。

師匠がトリを務める定席にはあまり出番がないため、毎日寄席に通うことはなくなります。

二つ目に昇進したら、まずは自分の手ぬぐいを作って挨拶回りをすることからはじまります。

自ら営業に出向いたり、テレビ局やラジオ局に売り込んだり、落語会を開催したりするなど、自分で高座(こうざ/舞台)を探さなくてはなりません。

空いた時間で落語の稽古をしたり、新作落語を創作したりします。

ただし現実的には見習いや前座と違って雑用をしない分、給金がもらえず、生活費を稼ぐためにアルバイトをかけもちする人もいるのが現状です。

経済的に苦しいうえに、落語の稽古や高座探しも必要なため、自由に時間を使えるようになる反面、忙しい日々を送るのが大半です。

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落語家の1日

7:00 師匠宅に到着
以前はほとんど住み込みでしたが、現在では通いの弟子のほうが増えています。

食事は「見習い」と「前座」が作り、師匠と一緒にいただきますので、毎朝師匠宅に通います。

ほかにも雑用があれば見習いと分担し行います。

10:30 楽屋入り
定席の寄席は、約10日ごとに、出演者や番組が変わります。

見習いが行う雑用は師匠宅のみですが、前座は師匠が高座を務める寄席に通い、楽屋の雑用も行わなくてはなりません。

この日は昼席(12:00~16:30)の主任(トリ/最終演者)を師匠が務めますので、開演30分前の11:30には楽屋準備が終わるよう1時間前に楽屋入りします。

楽屋の掃除やお茶などの飲み物、めくり(出演者の名前が書いてある札)の用意をして、着物に着替えます。

11:55 太鼓を鳴らす
開演30分前には一番太鼓、開演5分前には二番太鼓という鳴り物を鳴らします。

先輩が楽屋入りすると、お茶を出すなどのお世話をします。

12:00 開演
まだ番組に名前は出ませんが、前座名をもらい、開口一番として高座に上がります。

番組中は高座返しといって、演者が変わるたびに座布団を裏返したり、めくりをめくったりします。

出囃子(でばやし/落語家が高座に上がるときにかかる音楽)の笛や太鼓も鳴らします。

そのほか適宜先輩にお茶を出したり、師匠の着替えを手伝ったり、ネタ帳(その日の演目を書く帳面)をつけたりします。

16:10 トリが始まる
師匠の高座が始まると、楽屋の片づけを始めます。
16:30 終演
落語が終わると追い出し太鼓を鳴らします。

自分の着替えや片づけも済ませ、師匠の着替えを手伝ったり、先輩のお世話をしたり、最終的な楽屋の片づけをします。

17:30 師匠宅
師匠のかばんを持ち、車を運転して師匠宅に帰ります。

夕食を作り、師匠とともにいただきます。空いた時間に稽古をつけてもらいます。

23:00 帰宅
1日が終わり、稽古の復習をして休みます。