国連職員の給料・年収はいくら? 地域ごとのモデル給与も紹介
国連職員の平均年収・給料の統計データ
国連職員と言えば、世界を代表するエリート職種のひとつというイメージを持つ人も多いでしょう。
世界を舞台に活躍する国連職員は、責任とやりがいのある特別な仕事です。
国連を舞台に第一線で働いている人たちは、どの程度の収入を得ているのでしょうか。
国連職員の平均年収・月収・ボーナス
国連関係機関の多くは、国際機関の職員の処遇について、国連共通制度に加入しています。
国連共通制度により、国連関連機関で働く人材の待遇・処遇を統一し、国連システム内における採用競争を避けることができます。
そのため、国連本部や専門機関、下部機関の勤務条件は基本的に同じです。
なお、細かい条件は各機関ごとに規則で定められています。
また、OECDやIMF等の国際金融関係機関は国連共通制度に加入していません。
国連職員の給料の仕組み
国連職員の給料は、基本給と地域調整給、各種手当から成り立っています。
基本給は職員のポジションや経験によって、「グレード」と「ステップ」というレベルが設定されており、その組み合わせによって決定します。
地域調整給の額は赴任地によって異なります。
基本的には、赴任地に関わらず生活レベルが同一水準となるよう、地域の物価などを考慮して決定されています。
次に各種手当についてですが、扶養手当や子女の教育補助金、住居補助金などがあります。
勤務や生活が困難な地域に赴任する場合、困難地手当を受け取れます。
公開されているモデル給与
国連人事センターの公開情報によると、2017年現在の国連職員の給与は次のような水準となっているということです。
P-2 Step1(初任レベル)
都市 | 単身 | 世帯(配偶者・子2人) |
ニューヨーク | $76,499.19 | $86,894.14 |
バンコク | $62,319.20 | $71,916.36 |
カブール | $113,823.36 | $136,162.37 |
P-4 Step6(標準的な国連職員)
都市 | 単身 | 世帯(配偶者・子2人) |
ニューヨーク | $130,107.80 | $143,772.27 |
バンコク | $114,185.18 | $126,406.80 |
カブール | $174,338.15 | $199,611.73 |
D-1 Step7(幹部職員)
都市 | 単身 | 世帯(配偶者・子2人) |
ニューヨーク | $179,554.09 | $196,185.34 |
バンコク | $158,555.39 | $173,195.44 |
カブール | $225,801.39 | $253,779.20 |
実際には、上記金額から年金や医療保険の掛け金を引いた分が手取りとなります。
2020年6月現在、アメリカドルは1ドル約107円前後で推移しています。
上記を日本円に換算すると、例えばニューヨークで働くP-2 Step1の単身職員の場合、年収約800万円程度、カブールで働くD-1 Step7の世帯持ち職員の場合は約2700万円ということになります。
このように、国連職員の受け取る給与は勤務地や役職ランク、世帯人数などにより前後します。
しかし、いずれにせよ日本人の平均的な水準よりははるかに高い水準の給与を受け取っているケースが多いといえます。
それだけ、責任ある仕事に、困難と闘いながら向き合っているのでしょう。
なお、国連職員の給与は基本的にアメリカドルで設定されており、世界中どこで働いていても原則同じ基準で給料が決定される仕組みになっています。
そのため、平均年収についても、日本の平均年収とシンプルに比較することは困難です。
生活する国や地域の状況によって、必要となる収入も異なってくるためです。
また、国連職員の給料は基本給と地域調整給、手当からなっています。
そのため、赴任地の物価や地域の特徴などの要因により、実際に得られる給与額の差が大きくなるケースもあります。
国連職員の手取りの平均月収・年収は
世界中から集まった人材が世界各地で勤務しているため、国連職員の給与から控除される内容は、日本人の一般的な社会人とはやや異なる点もあります。
例えば、国連職員は6ヶ月以上勤務した場合、国連合同職員年金基金に加入します。
年金の掛け金は1/3が自己負担、残りの2/3は所属する機関の負担となります。
また、健康保険にも加入できるケースが多いですが、どのような保険に加入するかは所属する機関によって異なります。
保険の掛け金については、職員と機関が折半という形が多いようです。
国連職員の初任給はどれくらい?
上記の情報によると、初任レベルの職員では、年収約800万円程度ということでした。
新規採用でグレードやステップが高くなく、また扶養手当などの支給がないケースということになります。
国連職員の給料は地域調整給で、赴任地の物価などに合わせて調整されています。
実際に勤務と生活の場となる国や地域がどこなのかによって、初任給の金額も異なります。
国連職員の福利厚生の特徴は?
様々なバックグラウンドを持った人が働きやすいよう、国連では扶養手当など様々な福利厚生が用意されています。
世界中様々な地域で勤務する必要があるため、2年に1回帰国休暇を取得することができるほか、困難地と呼ばれる地域に赴任している場合は、1年に1回帰国休暇を取得したり、家族と別居している場合は家族訪問休暇を取得することができることもあります。
また、帰国時にかかる諸経費も、帰国手当という形で受け取ることができます。
そのほか年次有給休暇や病気休暇、特別休暇の他、出産休暇や勤務時間の調整など、ライフスタイルに合わせた働き方ができるよう、様々な制度が用意されています。
家庭との両立は
出産休暇をはじめ、子供の出産1人当たり最長2年の育児休暇をとることも可能です。
自宅勤務や flexible working hours など、国連は、家族に配慮した勤務環境を作ることにも力を入れています。
P2D(ピー・スクエア・ディー)と呼ばれる考え方があり、仕事と私生活の両方を充実させることで、個人としての達成感を向上させることを目指しています。
そのような女性にとって働きやすいと思われる環境であっても、課題もあるのが実情です。
子育てをしながら働く女性も多い一方、キャリアを優先することにより晩婚化が進んでいるのが課題です。
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国連職員の基本給の特徴
国連職員の基本給は、ポジションや経験、職種によって細かく設定されています。
働き方では、「専門職」「フィールドサービス職」「一般職」のほか、短期雇用の通訳・翻訳スタッフなどによる違いがあります。
専門職、フィールドサービス職はそれぞれ、グレードとステップに応じて年収が決められています。
一般職も同様ですが、こちらは勤務地や勤務条件などにより、さらに細かく分類されています。
短期雇用スタッフの場合は、契約によって月給や日給によって働くケースがほとんどです。
こちらも、経験やスキル、勤務地によってベースとなる月給・日給額が設定されています。
国連職員が収入を上げるためには?
国連職員の基本給は、グレードとステップが上がるに従って上がります。
そのため、収入を上げるためにはこのグレードとステップが重要となります。
給与計算の基準となるグレードやステップは、国連職員としての勤続年数やポスト、キャリアなどによって決まります。
国連職員として長く勤め、責任あるポストをまかされるようになれば、収入が上がるということです。
また、中には国連職員としての経験を生かし、別のキャリアへ転身する人もいます。
世界をまたにかけてグローバルにビジネスを展開したり、自分にしかできない仕事や価値を創出することができれば、さらに高い収入を狙うことも十分に可能と言えます。