保健衛生学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





保健衛生学の概要・理念

私たちは、病気にかかると医療機関を受診し、治療のための医療行為を受けます。

すでに病気にかかっていることが明確な場合やその疑いがある段階になって、治療を始めるケースは少なくありません。

しかし、できるだけ早期に病気を発見し、治療を開始できたほうが経過は良好なことがほとんどです。

さらには、そもそも病気にかかりにくい環境を整え、健康を維持増進する方法を考えることで、病気で苦しんだり治療で大変な思いをしたりするリスクを最小限に抑えることができます。

こうした病気の予防や健康の維持増進について研究するのが保健衛生学です。

今後ますます平均寿命が長くなり、健康で長生きすることへの関心は高まっていくものと予想されます。

また、健康な高齢者が増えることで医療費の抑制につながるなど、保健衛生に力を入れることは国としても大きなメリットがあります。

生活習慣病を未然に防ぐための生活改善をはじめ、日常生活から病気の予防を意識していくことの重要性が見直されている現代において、改めて重要性が認識されていく学問分野といえます。

保健衛生学で学ぶこと

保健衛生学には、医学的な立場から個人や集団の健康の維持・増進について考える衛生学と、医学的・社会学的な立場から集団の健康維持・増進について考える保健学の2つの分野があります。

どちらの分野も、病気を予防するための環境づくりについて考える点は共通しています。

衛生学には予防医学や疫学、医学統計といった学問分野があり、保健学には環境保健学や衛生技術学、保健栄養学といった分野があります。

講義による座学を通じて知識を深めるだけでなく、衛生検査や臨床検査の分析をするための合成実験や成分抽出実験を行うこともあります。

また、保健所や病院で行われる研修に参加し、保健衛生学の知識が世の中でどのように役立てられているのか、実習を通じて学ぶ機会が設けられる場合もあります。

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保健衛生学の大学での授業科目の例

予防医学

病気になりにくい心身をつくるとともに、そのための環境を整える方法について研究します。

疫学

古くから人々の健康を脅かしてきた伝染病の流行動態や疾病の発生について、環境との関わりを含めて探究します。

医学統計

臨床研究を通じて蓄積されたデータを統計学の手法を用いて分析し、傾向を読み解くとともに今後の予測に役立てます。

環境保健学

環境学と保健学の相互の観点から、人間にとって有害な物質への対策や健康に影響を及ぼす環境について考えます。

衛生技術学

製造現場などにおける衛生管理に必要な知識や技能について学び、安全かつ衛生的な環境を保つ方法を習得します。

保健衛生学のレポート・テーマの例

保健衛生学は実社会における健康維持や病気の予防へと直接的に関わる事柄を学ぶ学問です。

そのため、レポート作成に際しても医療機関や保健所などで実習が行われることが少なくありません。

実習や実験を通じて得たデータを分析し、まとめるための手法を学ぶことも、レポート作成においては重要な要素の1つとなります。

  • ・有害化学物質による健康障害
  • ・地域保健活動と保健行政
  • ・特異的免疫と予防接種との関連
  • ・公衆衛生と医療の歴史
  • ・地域包括ケアシステムの構築について

保健衛生学と関連する学問

保健衛生学では病気の予防や健康促進を重視した研究が行われていますが、近年では医学や看護学においてもこうした予防医学の動きが広がっています。

医学・看護学・薬学と連携を取りながら、健康な暮らしをするための環境づくりに取り組む必要がありますので、これらの学問とは深い関わりがあるといえます。

また、保健衛生学は国の政策や地域の行政とも連携を図りながら促進する必要のある分野です。

そのため、政策・行政学とは密接な関わりがあります。

医学統計においては、統計学の基礎的な知識が求められることがあります。

このように、保健衛生学は幅広い分野の研究領域と関わりのある学問といえます。

保健衛生学を学んで就職に有利な業界・仕事

大学在学中に臨床検査技師など医療系の資格を取得した場合、総合病院などの医療機関への就職時に有利になる場合があります。

このほか、医療系の施設としては健診センターや血液センター、医薬品開発受託機関、治験施設支援機関などがありますが、こうした施設へ就職する場合も保健衛生学を学んできたことを評価され、優遇してもらえることがあります。

民間企業においても、医療機器メーカーや製薬メーカーといった医療に関わる業種においては、保健衛生学を通じて学んだ予防医学や疫学の知識を役立てることができるでしょう。

さらに、大学によっては卒業時に健康食品管理士の受験資格を得られることもありますので、食品メーカーなどで商品企画や開発に携わりたい人は、保健衛生学の知識と資格を活かして就職時にPRすることができます。

このように、保健衛生学を学ぶことで有利になりやすい就職先は医療系が多い傾向がありますが、医療系以外の一般企業でも保健衛生学の知識が求められる場面がありますので、幅広い分野で活躍していくことが可能になります。

保健衛生学の知識は人生でどう役立つ?

保健衛生学で学ぶ病気の予防や健康維持のための知識は、そのまま私たちの日常生活で生かすことができます。

日々の食生活や適度な運動といったことに気を配ることによって、生活習慣病を防ぐことに役立つからです。

日本は今後、ますます高齢化が進み、健康寿命をいかに延ばすかが社会全体の課題になっていくはずです。

保健衛生学で学んだ知識の多くは、元気で長生きするために若い頃から実践することができます。

超高齢化社会を生きていく一個人として、さらにはその時代を生きる人々が暮らす社会の一員として、これからの時代に求められていく重要な知識を学ぶことができるという意味で、保健衛生学は未来を創っていく学問の1つといえるでしょう。

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