インターネット業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
インターネット業界とは
インターネット業界はさまざまな定義の仕方がありますが、普段使っているスマホのアプリや、楽天やAmazonといったECサイト、NetflixやDAZNのような動画配信サービスなどをイメージするとわかりやすいと思います。
インターネット業界では、大きく分けてBtoB(企業向けサービス)企業とBtoC(一般消費者向けサービス)企業があり、前者はホームページの制作やビジネス用クラウドサービス、後者はSNSや動画配信、ポータルサイト運営などを行っています。
総務省・経済産業省の「平成29年情報通信業基本調査」では、「インターネット付随サービス業」の2016年度売上高は2兆5,316円となっており、堅調な成長を見せています。
2015年度と比較すると企業数は減っている一方で、一企業あたり売上高は増えており、企業の合併やサービスの統合などが進んでおり、現在もこの傾向が続いています。
インターネット業界では次々と新しいサービスの提供が行われていますが、今後はARやVRを利用したサービスやIoT、AIとの連携サービスなどが期待されています。
インターネット業界の役割
インターネット業界の社会的な役割は、インターネットを通したサービスの提供によって、利用者の生活やビジネスを便利にすることです。
インターネットによって時間や空間による制約が少なくなり、世界中がリアルタイムで結びつくグローバル社会への移行が進んでいます。
インターネットサービスによるグローバル化は今後の世界におけるビジネスの成長力の源泉になると考えられていますが、SNSやインターネット上のコミュニティなど、インターネット業界が提供するサービスは、現実の事業所と共にそのグローバル化の舞台になっています。
インターネット業界では、インターネットを通し世界中と安全な情報のやり取りを行うために、情報セキュリティに対する高い意識や法令遵守のためのシステム作りも求められています。
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インターネット業界の企業の種類とビジネスモデル
国内大手企業のビジネスモデルは多角化とサービス連携
インターネット業界における国内大手企業では、積極的なM&Aによって多くのサービスを提供し、自社が運営するプラットフォームの価値を高める戦略が取られています。
利用データを集計しやすいインターネットの特性を利用し、利用した分のサービスに対して課金するスタイルのサービスが増えており、サービスの魅力を高めることが競争力につながっています。
こうした企業の代表は楽天やヤフーなどで、インターネットやリアルにおけるサービス提供を行いつつ、各サービスを連携させたり、ポイントを統合したりすることでユーザーにとっての価値を高めています。
海外大手企業のでは商品力とシェア拡大
インターネット業界における海外の大手企業の中でも、その存在感が強いのが各社の頭文字をとった「GAFA」と言われるグーグル(G)、アマゾン(A)、フェイスブック(F)、アップル(A)です。
これらの企業は、コアとなる事業の商品力が非常に強いためにグローバル市場でシェアを獲得しています。
また、アマゾンがEC事業だけでなくAWSというクラウドサービスを行ったり、グーグルが検索エンジンだけでなくハードウェア開発や自動運転車の開発を行っていたりと、その高い技術力で新しい事業分野にも積極的に進出している点が特徴です。
高い市場シェアにより、たびたび独占禁止法の適用が話題になるものの、コアサービスを通した各種のサービス売上や広告収入によって高い利益率になっています。
中小企業は得意分野で勝負
インターネット業界では、その提供する技術やサービスが良ければ中小の企業だとしても短期間で成長して市場シェアを獲得することが可能です。
そのため、ベンチャー企業やスタートアップ企業、中小企業の数も多く、独自の商品やサービスを提供したり、自社の得意とする分野で大手企業と共同でビジネスを行う企業も多いです。
企業の例として、クラウド型WAFサービスを提供する株式会社サイバーセキュリティクラウドや、ビジネス向けメディアを提供するスマートキャンプ株式会社などがあります。
インターネット業界の職種
インターネット業界も一般的な企業と同じく営業や企画などの職種もありますが、技術分野の職種も多いのが特徴です。
インターネット業界特有の職種の例を紹介します。
Webデザイナー
Webデザイナーはホームページをデザインし、HTMLやCSSといった言語で実際に作成する職種です。
センスが求められるとデザイナー職であると同時に、ホームページの作り方に精通する必要がある技術職でもあるという特徴があります。
Webディレクター
大規模なWebサイトの作成において、スケジュール管理や予算管理、サイト内の構成などを担当したり、顧客との打ち合わせからそのニーズをWebサイトに反映する仕事をします。
Web制作におけるリーダーとして、インターネットに関する多くの知識や技術が求められますが、その分やりがいも多い職種です。
SEOコンサルタント
Webサイトの閲覧数を大きく左右するSEO(検索エンジン最適化)といわれる技術の専門家で、検索エンジンやSNSにおける露出を増やすプロフェッショナル職です。
インターネットだけでなく、マーケティングやSEOに対する知識が求められ、価値あるサービスを社会に広く紹介するサポートを行います。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトにアクセスした際にブラウザで表示される部分を主に担当するエンジニアです。
Webデザイナーの業務の一部を担当するとともにjavascriptなどのプログラム技術による画面演出や非同期読み込みなど使い勝手の良いWebサイトを作成するエンジニア職です。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニアは、ブラウザでは表示されないWebサーバー側でのサービスをPHPやRubyなどのプログラムにより開発・保守を行います。
フロントサイド領域との連携や複数のプログラミング言語の習得など、求められる知識・技術も多いですが、Webサービスの提供に欠かせないエンジニア職で需要も高いです。
アプリケーションエンジニア
いわゆるアプリ開発者で、スマホやタブレットで使われるアプリを開発するエンジニア職です。
企画されたアプリについて、仕様書の作成、プログラミングによる開発、製品テストなどを経てリリースし、運用や保守まで行うこともあります。
プログラミングの知識だけでなく、各デバイスやOSの特徴への理解も必要で一般的なプログラマーとは違った知識が要求されます。
インターネット業界のやりがい・魅力
先端技術で人々の生活に触れることができる
インターネット業界は、技術革新がめざましく起こっている業界であり、それだけ勉強が必要ですが最新の技術に常に触れられる楽しさがあります。
また、現代の生活に直結しているインターネットを通して行うサービスは、時間や空間をこえて多くの人の生活やビジネスの改善に役立つため、仕事のやりがいを実感しやすいです。
企業の競争力に直結するため高待遇
インターネット業界での平均給与に明確な統計はありませんが、平成29年に経済産業省より公表されている「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からは、平均的な年収よりも高いと予想されます。
特にエンジニア職は企業の競争力に直結し、高度なスキルを持った人材は人手不足であるため、高待遇が期待できます。
給与面だけではなく、自由なワークスタイルを推奨する風土があったり、スキルアップのための研修参加や資格取得などを奨励する文化があることも待遇面で評価するべき部分です。
クリエイティブ職や開発現場を中心に労働時間が長時間になりやすい面がありますが、その分、本当にこの仕事が好きで取り組んでいる人が多いという特徴を持ちます。
新技術・サービスの開発が成長を左右する業界
インターネット業界では利用者数が売上に直結しやすいため、インターネットが十分に普及しかつ人口減少時代を迎えた今は、成長のために新たな材料が求められています。
そのための新技術やサービスの面で海外企業に遅れを取っていますが、フリマアプリのように新しいサービスが出てくることで一気に市場が作られる可能性もあり、アイデアの有無が企業や業界の将来性を左右すると言われています。
インターネット業界の雰囲気
インターネット業界は、一言で言って非常に変化のスピードが速い業界です。
時間や場所に縛られないワークスタイルで働いたり、グローバルなサービス提供を見据えていたりと、先進的な雰囲気が強い傾向があり、仕事でもプライベートでも常に今よりも効率的なスタイルを求める人が多い傾向が見られます。
インターネット業界で働く人たちは成長意欲が高く、企業外でのコミュニティが多く形成され、人脈形成やノウハウの習得に大きな役割を果たしているのも特徴的です。
また、技術がある人がスポンサーや協力者を集って独立をするケースも多く、先端の技術やサービスを持ったベンチャー企業が作られやすい業界という特徴もあります。
海外向けのサービス展開を視野に入れている企業も楽天などの大企業を中心に増えており、従業員の英語教育に力を入れている企業も多いです。
インターネット業界に就職するには
就職の状況
インターネット業界は安定的に成長している業界ということもあり、新卒採用は安定的に行われています。
大手企業の総合職では基本的には4年制大学卒以上が求められますが、AIやデータ解析など特定分野における高い技術や実績を持った人は学歴や年齢を問わずに高待遇で採用する企業が出てきています。
技術革新が企業の成長性を左右するため、高度な技術を持ったスペシャリスト人材と、企業の安定的な成長を支えるための総合職人材の2通りを意識した採用活動をする企業が増えると予想されます。
就職に有利な学歴・大学学部
新卒での就職では、技術職ではやはり情報系の学部や専門学校卒の人は技術教育に必要な時間を少なくできるため有利です。
一方で、営業や企画・マーケティング、総務や法務、会計などの総合職分野では文系からも広く求人を行っており、特にビジネス系の知識を学習しやすい経済・経営学部系は選考上有利にはたらくことも多いです。
事務職、技術職の一部やヘルプデスク職などでは高卒以上が対象となっている求人も多く見られます。
就職の志望動機で多いものは
インターネット業界における就職活動では、学生の志望動機として「新しい技術に挑戦したい」「応募した企業の製品やサービスが好き」「インターネット技術を通して社会の問題を解決したい」といった志望動機が多く見られます。
企業側は志望動機の内容だけではなく、志望動機を通して見える人間性や思考の論理性を評価しています。
人気の業界であり、大手の人気企業になるほど志望者も多いため、場当たり的な志望動機にならないように注意が必要です。
インターネット業界では業界の雰囲気に合った、実現性のあるアイデアや思考力を持ち、チャレンジ精神の旺盛な人材が求められる傾向がありますので、志望動機に上手に盛り込んでアピールすると良いでしょう。
インターネット業界の転職状況
転職の状況
インターネット業界は成長を続けており、新しいアイデアや人材を常に求める傾向のある業界であるため、業界経験の有無を問わず転職しやすい業界です。
特に技術力を必要とするエンジニアは人手不足であり、事業分野と関連性の高い技術をもったエンジニア人材は多くの求人があります。
AIや機械学習のエンジニア、ビッグデータの分析に長けたデータアナリスト、セキュリティ技術者などは特にニーズが高く、人材市場でも高く評価されています。
転職の志望動機で多いものは
転職者の志望動機では「企業が成長していて将来性を感じる」「自由で先進的な組織の雰囲気」「自分のキャリアや技術を活かせる」といったものが多く見られます。
インターネット業界では、実力があれば転職者でもマネージャーや役員になりやすい雰囲気があり、転職者の志望動機からも個人の考え方や企業に対するビジョンが評価されている傾向があります。
他業界と比較して、実力が待遇や役職により反映されやすい業界と言えます。
転職で募集が多い職種
転職者の募集では、技術系ではエンジニア職の募集が多く、多くのサービスが複数技術の組み合わせでできていることから、複数のプログラミング言語や技術領域を有するエンジニアの求人が増えています。
また、サービスの営業・マーケティング職の求人も多く、特に他業界でも経験のある人は重宝されます。
提供しているサービスのヘルプデスクやコールセンター職も募集が多い職種で、経験の有無を問わず積極的に採用しています。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
技術系の分野では業界経験よりもプログラミング言語や開発経験など、スキル面がより重視され、他業界で社内SEやセールスエンジニアとして働いてきた人材にとっては転職しやすい業界です。
情報処理に関するIPAの国家資格や、ITサービス管理のためのITILファウンデーションなどの資格を持っていると転職で有利になります。
また、他業界からでも積極的に人材を採用するようになっており、営業やマーケティングの経験が豊富な人材は特に重宝されます。
インターネット業界の有名・人気企業紹介
楽天
1997年創業、1997年設立。売上高11,014億円、従業員数17,214人(連結2018年12月期)
ECポータルサイト「楽天市場」を始め、銀行や証券、モバイル通信サービスなど多くのインターネットサービスを提供する業界トップ企業。
「rakuten」ブランドでの海外展開を行い、M&Aやスポンサー活動にも積極的です。
ヤフー
1996年創業、1996年設立。売上高9,547億円、従業員数12,912人(連結2019年3月期)
ポータルサイト「Yahoo!Japan」を中心に多くのインターネットサービスを提供する他、キャッシュレス決済などのフィンテック事業、EC事業の強化を行っています。
積極的にM&Aを行いながら事業領域を広げる一方、事業を子会社に分割し経営効率を高める動きも見せています。
ミクシィ
1997年創業、2000年設立。売上高1,440億円、従業員数804人(連結2019年3月期)
国産のSNSミクシィを運営する企業で、近年は「モンスターストライク」を筆頭にしたゲーム開発事業を中心に事業を拡大。
その他、インターネット求人サービスの「Find Job」の提供も行っています。
インターネット業界の現状と課題・今後の展望
インターネット業界は急速な成長を遂げてきましたが、成長の勢いが一段落してきており、ビジネスモデルの成熟と新技術による新サービスの開発が求められています。
業界特性上、競争相手は海外企業も含めて世界中に存在しているため、大企業を中心にどのように世界市場でのシェアを獲得するか、グローバルな戦略の重要性が高い業界と言えるでしょう。
国内ではインターネットを利用した買い物も一般的になり、BtoBの受発注もインターネットを通して行われることが増えています。
こうした状況を踏まえ、国内外のキャッシュレス決済や最新のフィンテックへの対応、配送のための仕組み作りがBtoB、BtoCのどちらでも重要度を増しています。
同時に、取引内容や個人の利用データを狙うサイバー攻撃に対する防衛策が一層重要になるため、最新のセキュリティや関連法令への対策も重要です。
また、国内のインターネット利用人口のこれ以上の伸びは難しいため、しばらくは生き残りをかけたサービスの統廃合や効率化のための動きが増えそうです。
海外へのサービス展開、新規のサービス開発が成長に必要不可欠な状況であるため、新規のビジネスアイデアを生み出せる人材や、それを形にできる技術力ある人材の確保が急がれており、国内外から人材を確保し、ダイバーシティの中からイノベーションを生み出そうという動きが広がっています。
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