美術大学とは? 学科・志望理由・就職先





美術大学の学科一覧

油絵学科

油絵を描く制作実習を通じて技術の向上を目指すとともに、講評によって表現者としての視野を広げていきます。

日本画学科

日本画の伝統的な技法を学び習得した上で、独自の絵画世界を表現するための技術の向上を探究していきます。

版画学科

木版画、コラグラフ、エングレービング、エッチングといった、さまざまな版画の手法について学びます。

映像学科

映像、音、言語、造形の観点から映像表現を学び、イメージを映像作品として仕上げる技能を身につけます。

芸術学科

芸術に関する知識、理論、歴史について学び、芸術作品全般や表現に対する理解を深めます。

美術大学の志望理由、例文、面接

美術大学の志望動機

美術大学を目指す人は、美術に対して思い入れが強く、美術を通じて自分を表現したり世の中に対して自身の表現を問うことが大きな生きがいと感じています。

単に美術作品を制作することが好き、といったレベルの思いではなく、表現や美そのものに対する独自の強い思いがあることが重要になります。

また、美術大学で学ぶことは実学ではありませんので、将来的に美術大学で学んだことを活かしてどのように活躍していきたいか、といった展望を持っていることが大切です。

大学のシラバスをよく読み、自分がやりたいことが実現できる美術大学を選ぶとともに、志望動機にはその大学だからこそ学べることを含めることで、説得力のある志望動機にすることができます。

美術大学の志望動機の例文

「私は幼い頃から、本を読むことと絵を描くことが好きでした。

油絵に興味を持ったのは、小学校高学年の頃に両親に連れられて美術館に行ったことがきっかけです。

もともと絵描きになりたかった父親は、グラフィックデザイナーの道へと進みましたが、幼少から絵を描くことに夢中だった私の様子を見て、絵を描く道へと進ませることを意識していたのかもしれません。

思えば、小説を書くのではなく絵を描くことで自分を表現してきたのは、言葉以上に絵を通じて思いを表現することが自分に合っていたからだと思います。

現在、STEAM教育の重要性が論じられているように、将来的にビジネスの世界においてもアートの感覚やデザイン思考を持つ人材が必要になっていくと考えています。

貴校の卒業生の方々は、卒業後もプロダクトデザイナーイラストレーターなど、美術に関わる分野で活躍されている方が多いと伺いました。

私も幼少の頃から取り組み続けてきた美術に関わる仕事で活躍していく能力を身につけたく、貴校の油絵学科を志望いたします。」

美術大学のAO・推薦入試の面接で聞かれること

美術大学の面接では、美術大学を目指す理由や入学後に取り組みたいことを中心に質問される傾向があります。

志望動機については、他の学問ではなく美術を選んだ理由について、これまでの美術との関わりや美術への強い思い入れが伝わるエピソードを紹介するといいでしょう。

また、美術大学では実習が多く行われ、年間を通じて作品と対峙し続けることになります。

美術への興味関心がよほど強くなければ、途中で創作に対する疲れを感じてしまう可能性もあるでしょう。

美術大学で学ぶことや実習の内容について、大学案内やシラバスをよく読んで理解し、入学後に美術の世界にどっぷりと漬かることになる覚悟ができていることを伝えることが大切です。

美術に対する思い入れの強さや取り組みへの真剣な思いを伝えるためにも、著名な画家や作品、美術史の概要など、基礎的な知識はしっかりと頭に入れておき、質問されたら答えられるように準備しておきましょう。

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美術大学で勉強すること、授業内容、卒論

美術大学で勉強すること

美術大学では、主に専攻の分野における制作実習が行われます。

油絵なら油絵、日本画なら日本画といったように、専攻の分野に集中することになると考えていいでしょう。

ただし、美術を学ぶ者として必要な、美学や美術史、色彩学、デザイン史といった分野の基礎的な知識は学んでおくべきであるため、とくに1・2年次を中心に講義が行われることもあります。

3・4年次には実習が中心となり、自身の作品の制作に打ち込むとともに、教授からの講評や周囲の学生との意見交換を通して表現をさらに研鑽していきます。

美術大学は、優れた作り手の輩出だけでなく、将来の表現者を育てていくことのできる優れた指導者の輩出も目指しています。

そのため、美術を通じて感性や人間性を磨き、将来の指導者としてふさわしい人物として成長していくことも重要な目標となります。

美術大学の授業内容

美術大学の授業と聞くと、美術に関する講義や制作実習で埋め尽くされているイメージを持つかもしれません。

しかし、実際には外国語や歴史といった、一般教養に近い内容の講義も行われます。

他の学部と異なるのは、アトリエが用意され、自分の作品制作に打ち込みながら、合間を縫って座学の授業へと出席する点です。

1日のうち半分が講義、残りの半分が制作という場合もあれば、1日中制作に打ち込むことになる場合もあります。

制作実習ではテーマが設定されることもあれば、自分でテーマを設定し制作を進めることもあります。

ただし、たとえ同じテーマであっても表現方法はさまざまですので、一人一人が指導教授から助言をもらい、個々に制作を進めていきます。

美術大学の卒論の例

美術大学では、4年間の研究の集大成として卒業制作と卒業論文のいずれかを提出する必要があります。

下記は、卒業論文におけるテーマの例です。

  • ジョージア・オキーフの描く空間について
  • パウル・クレーの線描表現について
  • ブーシェの神話画における表現について
  • オディロン・ルドンの描いた花
  • フェルメールの室内画における「窓」と「地図」
  • いわさきちひろ論
  • 美術館の展示空間に関する研究

美術大学で取れる資格

・教員免許(美術)
・高等学校教員免許(情報)
学芸員資格
造園施工管理技士
建築士

美術大学で取得可能な資格としては、中学・高校の美術科教員免許と、学芸員資格が代表的なものとして挙げられます。

環境デザインや造形を学んだ場合、造園施工管理技士の資格取得を目指すことも可能です。

ただし、二級造園施工管理技士は卒業後1年間、一級造園施工管理技士は卒業後3年間の実務経験を経て、受験資格を得ることになります。

美術大学の楽しいこと・大変なこと・つらいこと

美術大学では、基本的に制作実習が中心の大学生活となります。

毎日、作品と向き合って黙々と制作を続けることになりますので、美術制作が好きでたまらない人にとっては最良の環境である反面、真剣に作品と向き合うことで創作疲れのような状態になることもあるようです。

また、作品を創って終わりではなく、指導教授から講評があったり、他の学生同士で批評し合ったりする機会も設けられます。

自分が自信を持って完成させた作品に対して、厳しい評価が下されることもないとは言えません。

技術を向上させ、表現力を研鑽したいという強い思いがないと、挫折してしまう恐れもあるので注意が必要です。

美術大学の学費

美術大学の学費は、一般的な総合大学の学部と比べると高額となる傾向があります。

また、画材の購入費などが学費に含まれていない場合、制作の都度購入する必要がありますので、学費以外にかかるお金があることを念頭に置く必要があります。

一例として、多摩美術大学油画の初年度学費は1,938,000円(入学金270,000円、授業料1,187,000円、施設費350,000円、維持費50,000円、実習費38,000円、材料等一括購入預り金13,000円、校友会費30,000円)、4年間で6,786,000円となっています。

美術大学の就職先、目指せる仕事、進路

美術大学の就職先

美術大学で学んだ学生はクリエイティブ系の仕事に就くイメージがあるかもしれませんが、実際の就職先は幅広く、必ずしも美術関連の仕事に就くわけではありません。

デザインや色彩に関するセンスを活かせる仕事といったように、広い意味で美術関連の知識や技能を活かせる就職先を選ぶ人が少なくありません。

たとえば、デザイン事務所やアパレル業界、メディア、ゲーム業界、広告業界、印刷・出版業界といった就職先があります。

20〜30年前までは、美術大学卒の学生の就職先となると教員・学芸員になるか、もしくはフリーランスぐらいしか選択肢がありませんでした。

しかし、近年では「表現」という答えのない課題に取り組んできた柔軟な発想力を評価され、さまざまな業界へ就職する美術大学生が増えています。

美術大学から目指せる仕事

美術大学卒の人材に人気があるのは、やはりデザイン関連の仕事です。

プロダクトデザインを手掛けるデザイン事務所や広告業界でのデザイナー職、Web業界でのグラフィックデザイナー、建築・インテリア関係の空間プランナーなどの仕事を目指すことができます。

最近ではスマートフォンのアプリやゲームのUIデザイナーに対する需要が高く、人材不足の傾向がありますので、美術大学で学んだ知識を活かせる仕事としては有力な就職先となるでしょう。

また、美術科の教員として中学校や高等学校で働いたり、学芸員として美術館で働く道もあります。

地方ではデザイン系の仕事が少ないため、学芸員の仕事は人気があり、倍率も高くなりやすい傾向があります。

美術大学の就職以外の進路

美術大学にも大学院がありますので、より深く美術と向き合い、作品の制作を突き詰めていきたい人は進学という道を選ぶ場合もあります。

4年間の中で制作した作品に納得がいかず、進学して制作を続けたいと考える人もいるようです。

また、卒業して就職するのではなく、自分の強みや得意分野を活かしてフリーランスとして活躍する人もいます。

フリーのイラストレーターやデザイナーといった道を選ぶ人が多い傾向があります。

近年ではクラウドソーシングの活用が一般的になり、大企業や官公庁がクラウドソーシングで仕事を発注するケースも見られるようになりました。

そのため、フリーランスとして生計を立てていくことへのハードルは、10〜20年前と比べればかなり低くなっていると言えるでしょう。

美術大学から公務員を目指す

美術大学から公務員を目指す方法としては、中学・高等学校の美術科教員、あるいは学芸員として美術館に勤務する道があります。

美術科の教員を目指す場合、大学で教職課程を履修し所定の単位を取得する必要があります。

教職課程を選択するかどうかは大学入学後の履修登録時に決めることになりますので、先々の進路もしっかりと考えた上で履修科目を決める必要があります。

教員免許を取得したのち、教員採用試験を受験して合格することで教員になることができます。

学芸員の場合、認定試験に合格すれば学芸員としての資格を得られます。

採用に関しては、各自治体の美術館などで人材募集を行っているところへ応募し、採用されることで学芸員になることができます。

このように、美術大学で学んだ知識を活かして公務員を目指すことは十分に可能です。

通信制の美術大学

社会人として働きながら美術大学に通いたい人にとって、通信制の美術大学は大きな魅力のある選択肢と言えます。

2019年現在、日本国内には4校の通信制美術大学があります。

・武蔵野美術大学 造形学部通信教育課程
・京都造形芸術大学 通信教育部
・愛知産業大学 通信教育部 造形学部
・大阪芸術大学通信教育部

通信制の美術大学には基本的に入学試験がなく、書類選考で入学することができます。

短期大学や専門学校で美術を学んだ経験のある人は、2年次・3年次に編入できる制度がある大学もありますので、該当する人は確認してみましょう。

なお、将来的に海外へ留学したいと考えている人は、海外の大学の中には通信制大学を大学卒業として認めないケースもありますので注意が必要です。

美術大学の難易度はどれくらい?

美術大学の難易度は、一般的な大学受験の難易度とはかなり様相を異にしています。

一般的な大学受験では試験の点数、つまり学力が合否を分けますが、美術大学の入試で合否を分けるのは実技となります。

デッサンや小論文が必須となっているケースが多く、こうした入試の対策を専門に扱う講師に指導を受ける人も少なくありません。

また、美術大学は大学の絶対数が少なく、志望者は毎年一定数いるため、競争倍率が高くなりがちです。

30倍、40倍といった倍率が当たり前の大学もありますので、現役で合格するのは狭き門です。

美大浪人する人は、美術予備校へ通うなどして翌年の入試に備えます。

このように見ると、美術大学の難易度は一般的な大学入試とは異なるものの、「合格の難易度が高い」ことは間違いないといえるでしょう。

美術大学の予備校

美術大学へ進学することを目的とする専門の予備校があり、一般的に美術予備校と呼ばれています。

実技試験の対策を中心に行っていることが最大の特徴で、あくまで美術大学への進学に特化した指導内容・カリキュラムとなっています。

美術予備校では、美術全般の技能を向上させるというよりは、志望する大学が求める実技レベルをクリアすることを目指しています。

過去の合格者の傾向から、大学ごとに傾向をつかみ、対策を練ってくれるのが大きな魅力です。

美術予備校には、浪人生だけでなく現役生も通います。

美術大学へ進学する人は、早い段階で進路を決めているケースも少なくないため、高校1・2年のうちから美術予備校へ通い、実技の対策を始めていきます。

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