経営専門職大学院(MBA)とは
専門職大学院においてMBAの取得が可能な機関を経営専門職大学院といいます。
経営専門職大学院ではどのようなことを学べるのか、入試や学費はどうなっているのか、進学するメリットはどんな点にあるのかをまとめました。
経営専門職大学院やMBA取得に関心のある人は、ぜひ参考にしてください。
経営専門職大学院とは?どんなことを学べる?
大学の上位に位置づけられる教育研究機関には、大学院と専門職大学院があります。
経営学においても、大学院の経営学研究科と経営専門職大学院の2種類があります。
そこで、経営専門職大学院ではどのようなことを学べるのか、概要について整理しておきましょう。
また、経営専門職大学院を修了することで取得可能なMBAについても理解を深めておきましょう。
経営専門職大学院の特徴・学べること
経営専門職大学院とは、企業などの経営管理に関する高度な専門知識を持った人材を養成するための機関です。
「MBA大学院」「経営大学院」とも呼ばれ、事業戦略、マネジメント、マーケティング、財務・会計といった、経営に直結する専門知識の習得を目指します。
大学院の経営学研究科が理論に重点を置いた学術的な研究を行っているのに対し、経営専門職大学院ではより実践に照準を合わせた経営のプロフェッショナルを養成することを目的としています。
そのため、経営専門職大学院では実際に企業経営に携わってきた実務家が教員を務め、ビジネスの現場における具体的な事例を取り上げながら実践的な教育が行われます。
経営学は分類上では文系の学問とされていますが、経営専門職大学院に関しては出身学部が文系か理系かによらず、幅広い人材を受け入れています。
また、社会人がキャリアアップを目的としてMBAの取得を目指すなど、社会人が在籍することも多いのが経営専門職大学院の特徴です。
経営学修士(MBA)とは
MBAとはMaster of Business Administratorの頭文字を取ったもので、日本では経営学修士と訳されます。
もともとはハーバードビジネススクールやウォートンスクールといった米国のビジネススクールで、修士レベルの実務家を養成するために設置されてきたプログラムとして知られていました。
現在では米国だけでなく、欧州やアジアにおいても同様の経営教育機関が設立されており、経営教育における世界標準といわれることもあります。
このようにMBAは米国での経営教育に端を発することから、日本の大学院や専門職大学院で取得するMBAをとくに「日本版MBA」と呼ぶ場合があります。
経営専門職大学院は、このMBA取得を目指して学ぶための専門職大学院といえます。
MBAの国際認証とは
MBAには国際認証と呼ばれる第三者評価組織による認証が与えられています。
世界的な水準のMBAプログラムとして認められるには、MBAの国際認証が必要となります。
国際認証機関としてはAACSB(米国)、AMBA(英国)、EFMD(EQUIS/EPAS・ベルギー)などが有名です。
こうした認証機関が大学院や専門職大学院の教育水準や質を総合的に審査し、認証を得ることによって国際認証を得ることができます。
上記3団体のうちすべてから認証を得られた教育研究機関は「トリプルクラウン」と呼ばれ、国際的にも評価の高い機関として認知されます。
残念ながら2020年12月現在、MBAの国際認定を受けた専門職大学院は存在しておらず、大学院を含めても日本国内でトリプルクラウンを取得済みの教育研究機関はないのが実情です。
《国際認証を受けた教育研究機関》
大学名 | 認証した機関名 |
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程 | AACSB |
名古屋商科大学大学院修士課程 | AACSB・AMBA |
立命館アジア太平洋大学大学院経営管理研究科 | AACSB・AMBA |
国際大学国際経営学研究科 | AACSB |
早稲田大学大学院経営管理研究科 (早稲田ビジネススクール) |
AACSB・EQUIS |
明治大学大学院グローバルビジネス研究科 (明治ビジネススクール) |
EPAS |
上記以外の大学院や専門職大学院でも経営修士の学位を取得することは可能ですが、国際認証されたMBAではない点を理解しておく必要があります。
経営専門職大学院の入試と学費
ビジネスにおけるスペシャリストを養成する経営専門職大学院ですが、入試はどのように実施されているのでしょうか。
また、教育研究機関である以上、入学して通学するには学費を納める必要があります。
経営専門職大学院の入試と学費について、詳しく見ていきましょう。
経営専門職大学院入試で行われる試験
経営専門職大学院は、前述のとおり社会人を幅広く受け入れており、入学試験そのものは高度な専門性を問われるものではありません。
入試では主に書類審査と面接試問が行われ、専門職大学院によっては筆記試験を課していることもあります。
入試は学部卒生と社会人を分けて実施している専門職大学院も多く見られます。
社会人向けに特化した入試の場合、職務経歴書の提出を求められるのが一般的です。
企業からの推薦枠が設けられているケースでは、推薦を受けて出願する人の筆記試験は免除されることがあります。
いずれにしても、経営専門職大学院では入学時の学力を厳しく問うというよりも、入学後の研究を通じてMBA取得者にふさわしい専門性を身につけることが求められています。
経営専門職大学院の学費
国立大学の経営専門職大学院の学費
国立大学の経営専門職大学院は入学金・授業料が一律で決まっており、どの教職大学院に進学しても学費は基本的に同じです。
《国立大学の経営専門職大学院 学費(初年度)》
入学金 | 282,000円 |
授業料(年間) | 535,800円 |
初年度納入金 | 817,800円 |
私立大学の経営専門職大学院の学費
私立大学の経営専門職大学院の場合、進学する大学院によって学費が異なります。
同じ大学から進学する際は入学金や施設設備費など、学費の一部が減免される場合があります。
専門職大学院の中でも、経営専門職大学院は法科大学院と並んで学費が高額になりやすい傾向があります。
《私立大学の経営専門職大学院 学費(初年度)の一例》
明治大学 | グロービス経営大学院 | |
入学金 | 200,000円 ※出身者は半額 |
80,000円 |
授業料(年間) | 1,300,000円 | 1,499,000円 |
その他費用 | 1,966,000円 | ー |
初年度納入金 | 3,466,000円 | 1,579,000円 |
経営専門職大学院で奨学金は利用できる?
経営専門職大学では、一般的な大学院と同様に奨学金制度を活用することができます。
日本学生支援機構の奨学金のほか、各専門職大学院が独自に設置している奨学金制度や、民間団体による奨学金制度を活用できる場合もあります。
こうした独自の奨学金制度を日本学生支援機構の奨学金と併用できることもありますので、経済的な理由で経営専門職大学院への進学を迷っている人は確認しておくといいでしょう。
ただし奨学金によっては、社会人が入学する場合、すでに一定水準以上の収入があるため受給資格を満たしていないケースがあるので注意が必要です。
社会人が経営専門職大学院で学ぶ場合、要件を満たせば専門実践教育訓練給付金を受給できます。
専門実践教育訓練給付金の支給額は学費の50%(年間上限40万円)で、2年間支給されます。
また、MBA修了後に雇用保険の被保険者であれば教育訓練経費の20%(上限32万円)が追加で支給されます。
20代で正社員への就職・転職
経営専門職大学院に進学するメリットと注意点
ビジネスのスペシャリストを目指す社会人や将来的に経営者になりたい学生にとって、MBA取得は大きな目標の1つとなり得ます。
経営専門職大学院で経営学を学ぶことには多くのメリットがありますが、同時に注意しておくべき点もあります。
経営専門職大学院に進学するメリットと注意点について確認しておきましょう。
経営専門職大学院に進学するメリット
経営専門職大学院では、実際の経営環境下における事例をケーススタディとして学び、実践的な経営の知識を深めることができます。
問題解決やプレゼンテーション、リーダーシップといった要素についても学びますので、身につけた知識・スキルをビジネスで生かし、キャリアアップや収入アップを目指すことができます。
また、転職時にはMBA取得者が優遇されることもありますので、希望条件を叶える転職を実現しやすくなる場合もあるでしょう。
さらに、経営専門職大学院で学ぶ人々には企業の管理職や経営層といった人材も含まれます。
豊かなビジネス経験を持つ方々と知り合い、人脈づくりに役立つことも考えられます。
こうした経験の1つ1つが、ビジネスパーソンとしての資質・能力を引き上げることにつながるのは、経営専門職大学院で学ぶメリットといえるでしょう。
経営専門職大学院に進学する際の注意点
経営専門職大学院の学費は専門職大学院の中でも高額な部類に入ります。
MBAを取得しビジネスのプロフェッショナルを目指すことに関心があったとしても、費用面で断念せざるを得ない人も数多くいるのが実情です。
前述の奨学金制度を活用することも検討しつつ、学費を捻出する方法を模索する必要があるでしょう。
また、経営専門職大学院で学びMBAを取得したとしても、その知識や技能が就職先や転職先で必ずしも生かせるとは限りません。
実際、MBAを取得していない経営者や管理職は世の中にたくさんいます。
経営専門職大学では実践的な経営教育が行われているとはいえ、ビジネスの最前線で身をもって学んできた方々の経験には及ばない面もあることは知っておく必要があります。
この記事のまとめ
キャリアアップを志向する社会人を筆頭に、MBAは多くの人が関心を寄せるプログラムとなっています。
専門職大学院で経営学修士を取得することで、ビジネスで求められる実践的な知識やスキルを強化することができるでしょう。
高い目標を掲げてキャリアプランを立てている人、実践的な知識を身につけたい人は、経営専門職大学院への進学を検討してみてはいかがでしょうか。
30秒でわかる!転職サービス診断
-
20代・第二新卒・既卒の転職支援サービス:Re就活エージェント(PR)
-
未経験OK! IT・Web業界に特化:マイナビITエージェント(PR)