文系と理系で就職先はどう違う? 理系の方が就職に有利?
年収は理系のほうが高くなりやすい、文系は就職先が少ないなど、さまざまなうわさを耳にしたことのある人もいることでしょう。
文系と理系では就職先にどのような違いがあるのでしょうか。
また、理系の方が就職に有利になりやすいのは本当なのでしょうか。
文系と理系の就職事情について解説します。
文系の主な就職先と求められる能力
文系の就職先は理系と比べて多彩になりやすく、就職活動においても多くの企業にエントリーして最終的に内定をもらえた中から就職先を決めるのが一般的です。
そのため、目指したい業種・職種や大学での専攻によって就職先はまちまちになりやすい傾向があります。
文系の主な就職先と文系出身者に向いている仕事・求められる能力について確認しておきましょう。
文系の学生の主な就職先
文系の就職先は幅広く、メーカーや商社、マスコミ、小売業、サービス業などさまざまです。
職種としては営業職が多くなりやすい傾向がありますが、このほかにも販売職や事務職、クリエイティブ系の仕事など、選択肢は幅広くあります。
大手企業の場合、入社時に配属先の希望は聞かれるものの、実際は総合職として採用され入社後の数年間はジョブローテーションで複数の部署を経験し、適性に合わせて配属が決定されることもめずらしくありません。
また、大学で教職課程を履修していれば、学校の教員になるという道も考えられます。
図書館司書や学芸員など専門性を求められる仕事に就くことも可能です。
このように、文系の学生にとって就職先の選択肢は幅広く、興味関心や将来目指したいキャリアによって就職先を選ぶことができるのです。
文系出身者に向いている職業
文系学部出身者の中には、大学での専攻と直接関わりのない職種に就く人も数多くいます。
たとえば、小売業に就職する人のうち全員が経営学部や経済学部出身とは限りません。
中には文学部など、小売業の仕組みについて学んだ経験がない人も含まれています。
このように、文系出身者は大学で学んだ専門性を生かして活躍するというよりも、学業を含むさまざまな人生経験を生かせる仕事に取り組む場合が多いといえます。
大学で身につけた専門性を生かすとすれば、たとえば弁護士や司法書士といった法律系の仕事や、教員や学芸員といった仕事が考えられます。
これらの仕事には「言葉」が深く関わっているため、自然言語を扱う仕事という意味で文系出身者の素養に適した仕事といえます。
文系出身者に求められる能力
企業としては、文系出身者にはオールマイティな活躍を期待する傾向があります。
そのため、対人折衝や交渉が必要になる仕事を任されたり、将来的に管理職として組織を引っ張っていくポジションに就くことを期待されたりすることもあります。
こうした仕事の多くは答えの決まっていない、いわゆる不定形業務です。
仕事をしていく以上、多くの人が関わりお互いの立場や利害関係の中で物事を判断しています。
良好な人間関係を築き、顧客や取引先との信頼関係を構築していく、重要なポジションを担っていく必要があるのです。
文系出身者には答えのない仕事の中で適した対応を見極め、物事を判断・決定していく能力が求められます。
理系の主な就職先と求められる能力
理系の場合、所属する研究室の指導教授を通じて企業に推薦してもらえたり、企業側からオファーが届いたりすることがあります。
そのため、文系出身者のように多くの企業へエントリーするのではなく、特定の企業に就職することを前提とした就職活動になることもあります。
ただし、将来進みたいキャリアや就きたい仕事によっては、文系の学生と同様に自ら就職活動をして就職先を見つけるケースも少なくありません。
ここでは、理系の学生に多い一般的な就職先や求められる能力について確認していきます。
理系の学生の主な就職先
理系の学生の就職先として多く見られるのが、メーカーや製造業、建設系の企業、IT系企業、医療関係の企業です。
文系と比べると、大学や大学院で専門的に研究してきた知識や技能を生かせる方面へ進むことを希望する人が多い傾向があります。
とりわけ医療系の仕事の場合、医療系の学部を卒業し基本的な知識を持った人材のみを採用していることもあります。
このような専門性が求められる就職先の場合、学内推薦などによって早期に就職先が決まり内定を獲得することになります。
理系のほうが就職先が決定するのが早いのは、こうした事情が関わっています。
ただし、文系の学生と同様に就職活動をして希望する業種・職種への就職を試みる学生も多くいますので、必ずしも全員が専門職や研究職に就くわけではありません。
理系出身者に向いている職業
理系の学生に向いている職業の一例としては、メーカーでの研究職や製造業での生産技術・生産管理、建設系の施工管理に関わる仕事などが挙げられます。
技術営業やIT系の職種、MRなど医療系の職種に進むケースも見られます。
これらの仕事に共通しているのは、「数字」に深く関わる専門知識が求められる点です。
数値やデータをもとに仮説を立て、検証を進める必要があります。
こうした仕事は専門職や研究職と呼ばれ、理系学部で学ぶ知識や理系の素養がないと就職するのが難しいことがほとんどです。
企業側としても採用の対象となる人材が限られていることから、採用時の初任給が一般的な新卒の水準よりも高めに設定されているケースも見られます。
理系出身者に求められる能力
理系出身者は大学の研究室で専門分野に特化した実験を行い、研究を進めてきた経験を持っています。
この特性は就職後も求められることが多く、特定の分野について深く探究し、技術を利用した製品を開発することが期待されています。
文系出身者がゼネラリストとしての活躍を期待されるケースが多いのに対して、理系出身者はスペシャリストとしての活躍が求められます。
そのため、専門分野に関する深い知識や優れた技能が評価され、就職につながることがあります。
就職後も大学での研究室と同様、実験と検証を繰り返すことが仕事になることもめずらしくありません。
学生時代に取り組んだ研究内容や成果が、専門職や研究職に就くための適性と見なされるのが理系の就職の大きな特徴の1つといえます。
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理系のほうが就職に有利って本当?
一般的に、理系のほうが文系よりも就職に有利になると言われることがあります。
実際のところ、就職全般において文系よりも理系のほうが有利になりやすいのでしょうか。
文系・理系と就職の関係を考える場合、職種ごとに見ていく考え方と就職率全体を俯瞰する考え方があります。
この2つの視点から、本当に理系のほうが就職に有利といえるのか考えてみましょう。
研究開発職など理系だけを対象とした職種もある
前で触れたように、研究開発に関わる仕事など一部の職種では理系学部出身であることが必須条件になっていることがあります。
そもそも大学での専攻が採用の条件になっているわけですから、こうした職種に就職したい場合は理系学部が有利になります。
ただし、経済学部のように文系でも数字やデータを扱う学部は存在します。
たとえばデータアナリストやデータサイエンティストといった仕事に就く場合、統計の知識が必須となります。
理系学部出身者に素養があると見なされるケースが多いのは間違いありませんが、文系学部であっても統計を学んできた経験があれば採用の対象になることがあります。
つまり、理系でなければ就職できない職種はあるものの、文系出身者でも学部によっては通用する場合があるといえます。
就職率に関しては文系・理系で有利不利はない
厚生労働省が実施した調査によれば、平成31年3月卒業者の就職率は文系出身者が97.4%、理系出身者が98.4%となっています。
参考:平成31年3月大学等卒業者の就職状況(厚生労働省)
この調査結果から、文系・理系によらず大学卒業者の大半が就職していること、文系・理系による就職での有利・不利はほとんどないことが分かります。
にも関わらず理系のほうが就職に有利になりやすいと言われがちなのは、理系は専門性を生かした仕事に就ける可能性があることや、学部内推薦などで早期に就職が決まるケースがあることが関係していると考えられます。
この記事のまとめ
文系・理系の選択が、将来の進路に大きく影響するのは間違いありません。
自分が進みたいキャリアをよく考え、文系・理系を慎重に選ぶのは非常に重要です。
ただし、文系では就職できないわけではなく、同時に理系であれば必ず希望する就職先が見つかるわけではないことに十分留意しておく必要があります。
将来的な就職先についても加味した上で、自分自身の興味関心や打ち込みたい研究内容をもとに文系・理系を選択するようにしましょう。
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