調香師になるには
調香師になるまでの道のり
香料を扱う会社に就職
調香師の活躍の場は、化粧品会社、食品会社、香料会社がメインとなるでしょう。
その他に、香りにたずさわる仕事として、アロマやハーブなどと言った香りに関するお店を自分で運営するという道もあります。
また道のりは険しいですが、自社ブランドを立ち上げて自分だけの香水をプロデュースする仕事は、多くの人の憧れです。
フリーの調香師
近年では、企業で経験を積んだ後にフリーの調香師として独立する人も増えてきています。
とくに香粧品香料を扱うパフューマーは調香技術に加えて、ネイルやエステなど美容に関連する技を複数所持することで独立開業し、大きく年収をアップさせている人もいます。
また香料専門の会社を経営し、メーカーから委託されて調香を請け負っている人もいます。
パフューマーの需要増
パフューマーは独自の切り口で独立することが可能で、その需要も高まっています。
最近では空間全体に香りを満たし、香りの持つリラクゼーション効果をエステや整体等で活用しているケースもあります。
また既製品との差別化を図るべく、オリジナルの香水を販売している調香師もいます。
カウンセリングを充実させて、お客さまの好みに合わせた香水を調香できるのが強みであるといえるでしょう。
ただし、独立には苦労がつきものです。
収入を安定させるまでに長い年月がかかることもあるため、準備と計画には十分な時間をかけなければならないでしょう。
勤務実績を積んで一人前に
調香師には公的な資格がない分、実力を示すには勤務実績が求められます。
フリーで成功している調香師は自身の実績をアピールすることで顧客の獲得をしているケースがほとんどです。
調香師として一人前になるためにはおよそ5~10年の期間が必要であるといわれており、最低でも10年間はどこかの企業で調香師としての経験を積み、確かな実力をつけなければ、フリーで活躍するのは難しいと考えられます。
20代で正社員への就職・転職
調香師になるための学校の種類
理系の大学へ進学
香料を扱うのは化学の分野になるため、多くの会社では理系の大卒者を採用しているようです。
香りといえばセンスの問題というイメージがありますが、実際は香料の構造などの化学的な知識がなければ難しいのです。
とくに香水など口に入らないものの香りを調合する「パフューマー」を目指すなら、化学・薬学系の学部に進学し、さらに修士・博士課程まで進めばより有利になります。
さらに、英語・フランス語の勉強も必要です。
とくにフレグランスの本場といえるフランスからは、香りに関する多くの情報が届くので、習得しておくと大いに役立ちます。
専門学校へ進学
香りに関する勉強ができる専門学校もありますが、調香師の求人は少ないのが現状で、大学への進学が一般的です。
海外の一流メーカーで、香水の調合をするような仕事をしたい場合は、フランスの専門学校に進むのも一つの方法です。
とくにフレグランスの開発に関わりたい場合は、本場に留学することは必須といえます。
調香師になるにはどんな学校に行けばいい?(大学・専門学校・留学)
調香師に向いている人
調香師になるには、香りに敏感であることが大切です。
数千種類以上あるといわれる香りを嗅ぎ分けるには、やはり嗅覚がものをいいます。
香りを嗅いでその成分を当てる訓練など、毎日厳しいトレーニングをこなすためには、日ごろから香りに敏感でなくてはなりません。
また、調香の際にはあらゆる香りを覚えなくてはならないため、記憶力が重要だと考える調香師も多いようです。
20代で正社員への就職・転職
調香師を目指す人におすすめの資格は?
調香師におすすめの資格は?
調香師の国家資格や公的資格はありません。
ほとんどの場合、実際に入社してから、研修と経験を積んで、調香師としての資質を磨くことになります。
しかし、取得しておいて損のない資格はいくつかあります。
たとえば薬剤師の資格は、化粧品会社などに就職する場合、大きな武器となります。
また、いずれパヒューマーとして独立するときにも、会社に薬剤師を置くことが法律で決められている場合があるので、大いに役立つ可能性があります。
ただし、薬剤師の資格は薬学部を出ていないと受けることができないため、その他の民間の資格を取得する人が多いようです。
日本調香技術師検定
調香にかかわる民間の資格では、「日本調香技術師検定」があります。
2010年からスタートした新しい検定資格で、「日本フレーバー・フレグランス学院」で学ぶと認定されるほか、一般の人でも受検が可能です。
調香関係の資格は現在この資格のみとなっています。
臭気判定士
「臭気判定士」という国家資格は、嗅覚が求められる資格なので、香り関係の仕事にも通じる資格です。
18歳以上であれば、受験することができます。
筆記試験と嗅覚検査があり、嗅覚試験は5本の「におい紙」から、基準臭のついた2本を当てるというものです。
例年、合格率は20~25%ほどですが、30%を超える合格率となる年もあり、国家資格としては難しい部類ではありません。
参考書で独学にて勉強する場合と、講習会を受講し勉強する人の割合は半分ずつほどだそうです。
アロマ系の資格
民間の資格では「アロマテラピー検定」などがあり、これは1級であっても合格率が約90%と、取得しやすい資格です。
その後「アロマテラピーアドバイザー」「アロマテラピーインストラクター」など、徐々に難易度の高い資格にチャレンジできます。
調香師になるために必ずしも必要な資格ではありませんが、香りにたずさわる仕事を幅広くとらえるなら、受けてみてもいいでしょう。
そのほかハーブ検定などアロマや香りに関する民間資格はいろいろとあり、取っておいて損はないかもしれません。
その他の資格
研究をする上では英語を使用することも多いため、英語のTOEIC試験もある程度のハイスコアをマークしておくと、就職の際に有利になることがあります。
また、栄養士や調理師、食品衛生責任者などの「食」に関する資格は、フレーバーの仕事に役立つでしょう。
国際的な資格
香水の本場、フランスには「ル・ネ」という認定制度があります。
フランス語で「鼻」という意味の称号で、厳密には資格ではありませんが、約6000種類の香りを嗅ぎ分けられるという、きわめて高い能力をもった調香師に与えられます。
このル・ネを持つ人は、世界でも400名前後しかいないとされています。
その中でも、多くのル・ネを輩出している街があります。
フランス南東部にあるグラースという街で、ここは香水を作ることで有名な「香りの聖地」と呼ばれています。
フランスの香水の実に3分の2以上がここで作られており、有名な香料会社や、専門学校が多いことでも知られ、日本からも留学に行く人も多いようです。
調香師のキャリアプラン・キャリアパス
勉強の毎日
調香師として働く上で、大学で学んだ化学の知識は調香の世界では基礎にすぎません。
これに加えて専門的な知識や技術が要求されます。
調香に関する知識や技術は研究部門に配属されたのち、先輩から学ぶ他、各種講習会等に参加したり、独学したりして学んでいくことになります。
現場には現場のやり方があるので、初心を忘れることなく、前向きに学ぶ必要があります。
また調香師は一つでも多くの種類の香料を把握し、その特性を理解することが必要です。
香料は時代の流れに応じて日々変化し、新しいものが次々に生まれるため、日々勉強し知識を増やす努力をしています。
嗅覚を鍛える訓練
果実や花などの本物の香りを嗅いで感覚を鍛えることは、調香師にとって一つのトレーニングであるともいえます。
たとえば入浴剤の香りを開発する場合、実際に温泉に出向き、本物の香りを体得した上で開発に着手することもあるようです。
しかし、実際の香りを忠実に再現しただけでは人々に喜ばれないことも多いため、いかに効果的な香りを調香できるかは、調香師の力量にかかっているといえます。
本場海外で学ぶ
とくに香粧品香料を扱うパフューマーにとって、本場は海外です。
そのため、実際に海外のパフューマーの研修を受けに行くこともあります。
国内にいるだけでは知りえないような斬新な知識や技術を学ぶことができる海外研修はパフューマーとしてやっていく上で必要不可欠なものであるといえます。
また日頃の研究の成果を海外で発表し、意見を得るということもあります。
調香の本場で働くプロフェッショナルから意見を得ることは、国内の調香を発展させることにつながるのです。
研究者としての役割
調香師は、企業の研究職として働くことがほとんどです。
社内外を問わず、自身の研究成果を発表する場を設けることでさまざまな意見を集め、その後の研究に生かしています。
また、研修会にも数多く参加し、新たな知識や技術の獲得にも余念がありません。
研究室はえてして閉鎖的な空間になりがちですが、それでは広く愛される香りを世に出すことは不可能です。
調香師は自身の成果を発表し、多くの人の意見に柔軟に耳を傾けながら、日々研究に励んでいます。
調香師を目指せる年齢は?
新卒・転職とに関わらず、調香師の求人は極めて少ないのが現状です。
求人も新卒以外では経験者を求めていることが多く、調香とは無関係の職業から転職を成功させることは非常に厳しいといえます。
ただし理系の大学を卒業していたり、前職が理系の企業であったりした場合、可能性がゼロではありません。
調香師になるには5~10年かかるといわれていることから、出来るだけ早いうちに行動に移さなければ本格的に働くのは難しいでしょう。