プロ野球選手の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「プロ野球選手」とは
日本野球機構(NPB)に加盟するプロ野球球団と契約を結び、公式戦に出てプレーする。
プロ野球選手とは、「日本野球機構(NPB)」に加盟するプロ野球球団と契約した人のことを意味します。
プロ野球選手は、セ・リーグ、パ・リーグの計12球団のいずれかのチームに所属し、チームの優勝を目指してペナントレースを戦います。
シーズンは2月1日のキャンプからスタートし、基本的に3月下旬にペナント開幕、10月頃まで試合を行って、11月末にシーズン終了となります。
プロ野球選手になるには「ドラフト会議」で指名される必要があり、高校野球や大学野球、あるいは社会人野球で活躍してスカウトの目に留まることがプロへの道の第一歩です。
給料は「年俸制」でシーズン中の成績や活躍度合いによって決まり、トップ選手は億単位の年収を得ています。
常に実力が問われる厳しい世界であり、早ければ20代前半で戦力外通告を受ける選手がいる一方、40代まで現役を続ける息の長い選手もいます。
「プロ野球選手」の仕事紹介
プロ野球選手の仕事内容
日本野球機構の各球団に所属し、勝利を目指して野球をプレーする
日本におけるプロ野球選手とは「日本野球機構(NPB)」に加盟するプロ野球球団と契約した選手を意味します。
セ・リーグ6球団、パ・リーグ6球団の全12球団のいずれかに所属します。
プロ野球のシーズンは2月1日から11月末までで、12月と1月がオフにあたります。
じっくりと練習に取り組む「キャンプ」、紅白戦や各チームとの「オープン戦」を2月から3月にかけて行い、調整しながら公式戦開幕に備えます。
3月下旬から10月頃までが「ペナントレース」とよばれる公式戦で、交流戦含めて全144試合(異なる年もあり)を戦います。
公式戦の上位チームは「クライマックスシリーズ」へ進出し、セ・パ両リーグで1位になったチーム同士が「日本シリーズ」を戦い、日本一が決定します。
11月に来年の年俸を決める「契約更改交渉」を終えると、シーズン終了です。
オフもトレーニングや練習をする
野球選手にとって12月と1月はシーズンオフですが、この時期も選手は完全に休んでいるわけではなく、自主的にトレーニングをして体づくりに取り組んだり、弱点克服のために練習を行ったりして次のシーズンに備えます。
また、その年に酷使した体を休めて、コンディション調整に取り組むことも重要です。
球団によっては、オフシーズンを中心にファン向けのイベントを用意しており、そのようなイベントへの参加、また球団を通じて依頼を受ければメディア出演をすることなどもプロ野球選手の仕事の一部です。
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プロ野球選手になるには
高校や大学、社会人野球で活躍し、ドラフト会議で指名される
プロ野球選手になるには、年に1回秋に行われる「ドラフト会議」で指名されなければなりません。
ドラフト会議にむけて、各球団のスカウトは、日頃から全国の高校野球や大学野球、社会人野球をくまなくチェックし、有望な新人選手発掘に力を注いでいます。
高校時代に甲子園で活躍すれば声がかかる可能性が高いですが、甲子園に出られなくても、飛び抜けた素質や実力がある選手はマークされます。
なかには大学や社会人まで進んで、さらに力をつけてからプロ入りする人もいます。
また、最近では日本各地の「独立リーグ」に所属している野球選手がプロ球団のスカウトに注目され、ドラフト制度で指名されるケースが増えてきています。
プロテストを受ける道も
ドラフト制度のほか、各球団が毎年秋ごろに実施する「プロテスト」を受けて、プロ野球選手を目指す道もあります。
こちらは、年齢制限などいくつかの応募資格をクリアしていれば誰でも受けられるものですが、合格できる人は非常に少ないのが実情です。
プロテストで認められた人は、その年のドラフトで指名されることで入団が決定します。
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プロ野球選手の学校・学費
中学生時代に硬式野球をしていると強豪校を目指しやすい
現在の日本には、プロ野球選手を育成することだけを目的とした学校はありません。
高校以上であれば、どのような学校に通う人でもスカウトに認められることでプロ野球入りを目指すことができます。
また学歴は関係なく、社会人や独立リーグなどからドラフトで指名される可能性もあります。
ただし、実際には学生時代から野球漬けの日々を送り、実力を磨いていかないと、プロに入れるレベルに達するのは難しいのが実情です。
このため、多くの若者は甲子園常連校のような私立の強豪高校へ入学し、レギュラーをとることを目指します。
強豪校へ入る方法はいくつか考えられますが、リトルシニアなど硬式クラブチームに入り、高校野球部とのコネクションによって進学が決定するケースが多いです。
一般の中学校の軟式野球部では、コネクションを期待するのは難しいとされています。
ただし、地方では公立高校でも野球部が強いところがあり、その場合は一般の生徒と同じように入学試験を受けて合格すれば、野球部に入れます。
プロ野球選手の給料・年収
給料は毎年の活躍ぶりや貢献度が反映される「年俸制」
プロ野球選手の給料のしくみは「年俸制」で、基本的にはその年の活躍や貢献度によって金額が決定します。
毎年ペナントレースが終わった11月ごろに「契約更改」が行われ、来年の契約を結ぶとともに年俸が決まります。
チームの勝利に貢献した場合は大きく跳ね上がる可能性がありますが、ケガや不調により一軍の試合に出られなかった場合、成績不良の場合には減少する可能性が高いです。
なお、減額については、元の年俸が1億円以下の場合は25%、元の年俸が1億円を超える場合は40%と規定されています。
プロ野球選手の契約は、基本的には1年ごとの「単年」ですが、チームに欠かせない選手と評価されると「複数年」の契約を結ぶことがあります。
億単位の年俸を得る選手は限られている
日本プロ野球選手会の調査によれば、2022年シーズンのプロ野球選手の平均年俸は4312万円で、この額は過去最高の数字となっています。
新人選手の年俸は1,500万円が上限で、2年目以降は活躍の状況により人によって大きく差が出ます。
トップ選手になれば1億円を超え、5億円以上を実現する選手もごく一部いますが、年俸額は所属する球団の経営状況や査定基準にも左右されます。
選手として名が知られると、企業とスポンサー契約を結んだり、メディア出演や本の出版などを行ったりして、さまざまな副収入も期待できます。
なお、プロ野球選手は会社員ではなく「個人事業主」となるため、税金は自分で支払わなくてはなりません。
関連記事プロ野球選手の平均年収・年俸はいくら? 契約の仕組みについてもくわしく解説
プロ野球選手の現状と将来性・今後の見通し
プロ野球のレベルが向上し、メジャーリーグで活躍する選手も増えている
近年はメジャーリーグに移籍し、現地でも活躍する日本人プロ野球選手が増えています。
世界からのプロ野球への注目度も高まっており、日本人選手は、今後さらにメジャー移籍をする例が増えていくと考えられます。
しかし、一流の日本人選手がどんどんメジャーリーグへ移籍してしまえば、日本のプロ野球界の人気が下がり、メジャーリーグのマイナー版のような存在になってしまうかもしれません。
それを防ぐためにも、プロ野球を目指す熱意と実力のある若者を増やし、プロ野球界全体のレベルを上げていくことが期待されています。
また、球団の多くは経営状況が苦しくなっているため、各選手はファンサービスにもいっそう力を入れることを求められる傾向が強くなっています。
プロ野球選手の就職先・活躍の場
セ・リーグ、パ・リーグのいずれかの球団に所属
プロ野球選手は「日本野球機構(NPB)」に加盟するプロ野球球団に所属しています。
セ・リーグとパ・リーグで、それぞれ6球団ずつ、合計12球団があります。
セ・リーグ
読売ジャイアンツ(巨人)、東京ヤクルトスワローズ、横浜DeNAベイスターズ、中日ドラゴンズ、阪神タイガース、広島東洋カープ
パ・リーグ
オリックス・バファローズ、福岡ソフトバンクホークス、北海道日本ハムファイターズ、千葉ロッテマリーンズ、埼玉西武ライオンズ、東北楽天ゴールデンイーグルス
なお、プロ野球選手は、会社員のような所属先の球団の従業員ではありません。
あくまでも個人として球団と契約を結んで期待される役割をまっとうする、個人事業主の身分となります。
プロ野球選手の1日
ペナントレース中は、ほぼ毎日開催される試合に合わせて動く
プロ野球では、ペナントレース中は、ほぼ毎日試合が設定されています。
このため、プロ野球選手は試合の日程に合わせて行動します。
ナイターゲームの場合は18時前後、デーゲームの場合はだいたい13時から14時に試合がはじまります。
ここでは、ナイターゲームの日のある1日を紹介します。
ただし、調整中などで2軍にいる場合には、1軍とは別に組まれている2軍の練習・試合に参加します。
関連記事プロ野球選手の1日のスケジュールは過酷? 休日・オフシーズンの過ごし方とは?
プロ野球選手のやりがい、楽しさ
実力を高めていき、チームの勝利に貢献すること
プロ野球選手の最大のやりがいは、チームの勝利に貢献することです。
野球はチームプレーであるため、チームとして試合に勝つのが一番の目的です。
リーグ優勝を目指してシーズンの最後まで優勝争いすること、そしてリーグ優勝を果たすことが、毎シーズンの目標になります。
そのためには、個々の選手が実力を高めていくことが欠かせません。
プロ野球選手は、野手であれば本塁打や打率、盗塁など、投手であれば勝利、防御率、ホールド、セーブなどの個人タイトルも争っています。
また、目立った活躍をした選手は毎年「ゴールデングラブ賞」「ベストナイン」などにも選出されますし、長年プロ野球に貢献し、大きな功績を残した選手は「野球殿堂入り」を果たせます。
こうした数々のタイトルや記録を残すことも、プロ野球選手生活を続けるモチベーションにつながります。
プロ野球選手のつらいこと、大変なこと
戦力外通告を受ければ若くても現役を引退する
プロ野球選手になれるのは、基本的に高校や大学野球などで大きく活躍し、ドラフト会議で指名された一握りの若者だけです。
しかし、いざプロ野球選手としてキャリアをスタートしても、球団から戦力として期待できないと判断されれば、契約を更新してもらえません。
プロ野球選手は、入団した選手の約半数が5年以内に引退しているといわれます。
戦力外通告を受けた選手は、トライアウトを受けて再び別の球団に入る道を模索する人もいますが、プロには残れず、独立リーグや社会人野球などに入りなおす人もいます。
ただし、ほかのスポーツと同様、致命的なケガをした場合にはまともに野球ができなくなる可能性もあります。
プロ野球選手として長年安定した活躍を続け、自分で引退時期を決められるような選手になれるのは、本当に限られた人だけの厳しい世界です。
プロ野球選手に向いている人・適性
すぐに結果が出なくても努力し続けられる人
毎年、プロ野球には育成選手も含めて100人前後が入団しますが、そのうち1軍で主力として活躍できるようになるのは1割ほどです。
また、たとえ10年以上現役を続けているベテラン選手でも、年俸1億円の一流選手でも、不調で結果が出なくなれば2軍に落ちたり、場合によっては戦力外通告を受けてしまったりする可能性があります。
プロ野球選手にとって、結果が出ないことほどもどかしく、つらいことはないでしょう。
それでも、日々地道に練習を続けて課題を克服し、体の調整に励むしか、この世界で生き残る道はありません。
アマチュア時代とは異なり、プロの世界は有能なライバルに囲まれて、非常にレベルの高い中でプレーします。
どれだけメディアなどで注目されても、自分で強い意思と信念をもって淡々と練習に取り組める人でなければ、長年第一線で活躍し続けることは難しいです。
関連記事プロ野球選手に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
プロ野球選手志望動機・目指すきっかけ
子どもの頃からプロ野球選手を目指している人がほとんど
プロ野球選手を目指す人は、その多くが子どもの頃から野球に取り組んでいます。
早ければ小学生時代に地域の少年野球団、リトルリーグに所属し、中学校でも野球を続けます。
中学時代に活躍していると、高校野球の強豪校のスカウトから声がかかることがあり、そのまま高校野球の世界に入ります。
このように、幼い頃から野球漬けの日々を送っている人が多く、将来的には日本野球の最高峰であるプロ野球界を目指すのは、ごく自然なことといえます。
野球をはじめるきっかけは「親が野球をやらせたかったから」「仲のよい友達に誘われて」という人もいますが、野球に打ち込むうちに、どんどん強くなりたいと思うようになり、プロ入りを目指す人が多いです。
プロ野球選手の雇用形態・働き方
個人事業主として球団と契約を結ぶ
プロ野球選手は、民間企業で働く会社員とは異なり、球団と契約を結んで「個人事業主」として活躍します。
プロ野球選手は、いったん球団と契約を結ぶと、毎年「契約更改」とよばれる交渉事が行われ、あらためて翌シーズンのための契約を結びなおします。
その場では年俸も提示され、シーズン中の成績がふるわなければ大きく減額された額が提示されますし、逆に複数年契約のような、よい契約条件が打ち出されることもあります。
ただ、場合によっては交渉の席に臨むことなく、実質上のクビ宣告である戦力外通告を受けてしまうこともあります。
もし契約が打ち切られて球団を離れることが決まったら、次に評価してもらえる球団を見つけるか、セカンドキャリアを考えていかなくてはなりません。
プロ野球選手の勤務時間・休日・生活
ペナントレース中は、移動と試合を繰り返す毎日
プロ野球1軍の公式戦は、セ・パ両リーグとも120試合、さらに交流戦が24試合、合計144試合です(年度によっては異なる場合があります)。
通常は火曜日から日曜日までを3連戦×2カードで戦い、月曜日は試合がありません。
公式戦以外の120試合のうち半分が、相手チームの球場で戦う「ビジター」でのゲームになります。
ホームゲームの場合も、本拠地以外の場所で試合が組まれることもあるため、70試合ほどは遠征することになります。
そのため、シーズン中は休みの日も移動日になることが多く、とくに球団が北海道から九州まで点在するパ・リーグの移動は大変です。
また、時期によっては9連戦以上をこなさなければならないこともあり、ハードな日々が続きます。
プロ野球選手の平均身長・筋肉量はどれくらい?
体格や強みを生かして能力を伸ばしていくことが重要
プロ野球選手の平均身長は180.8cm、平均体重は84.2kgと発表されています(2019年シーズン)。
サッカー選手に比べると、より大きな体格をしている人が多いことが特徴です。
また、球団が入団テストを実施する場合にも、参加資格として「身長175cm以上」といった身長の基準を設ける場合もあり、体はある程度大きなほうが有利と考えられています。
しかし、身長が小さければ絶対にプロ野球選手になれないかというと、そんなこともありません。
プロ野球の第一線で活躍する選手にも、身長160cmから170cm台の人は少なからずいます。
筋肉量に関してはポジションや選手のタイプによって異なり、同じ野手でも4番でホームランを多く打つ選手と、俊足を武器とする選手では、筋肉のつけどころが違います。
身長が小さかったり、小柄な体格であっても、脚力がある、ミート力がある、守備力が非常に高いなどの特徴があれば、活躍できる可能性は十分にあります。
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プロ野球選手のプロテストの応募条件・テスト内容
球団が実施する自己推薦形式の入団テスト
プロ野球における「プロテスト」とは、各球団が入団志望者を対象に行うテストです。
このテストは自己推薦型となっており、応募資格を満たしていれば誰でも受けることができます。
プロテストに合格した選手は、その年のドラフトで指名されて入団する形となりますが、プロテストを行う球団はごく一部です。
応募資格は球団ごとに異なり、17歳から24歳までの男子であること、身長は175cm以上であることなどが条件となる場合が多いです。
加えて、高校生は各都道府県高野連に、大学生は所属の大学野球連盟にプロ志望届を提出し、ともに来春の卒業見込みであること、一方、クラブチームや社会人チームなどに在籍している選手は、所属チームの監督などから受験を了承されていることが求められます。
試験内容は50メートル走や遠投など基本的な運動能力を測るものと、投手はピッチング、野手はフリーバッティングなども実施されます。
プロテストが行われる場合、その内容は8月頃に球団ホームページに公開されるため、よく確認してください。