国際関係・国際協力に関する仕事の種類(15選)
「海外の国と関わる仕事がしたい!」「外国の人とコミュニケーションをとりたい!」など、国際的な仕事・職業に興味をもつ人も増えています。
ただし、簡単に「国際関係の仕事」といっても、ビジネスパーソンとして海外諸国と商談や取引に携わる仕事もあれば、紛争や環境のような世界の諸問題解決のための活動に注力する仕事もあります。
また、海外の人々とコミュニケーションをとって、語学力を生かしながら教育に携わる仕事もあります。
そこで本記事では、さまざまな国際関係・国際協力に関する仕事の種類を紹介していきます。
ぜひご自身が興味のある仕事を見つけるのに役立ててください。
国際的なビジネス・貿易に関わる仕事
まずは、おもに企業で、国際的なビジネスや貿易に関わる仕事を紹介します。
「海外営業」は、メーカーなどの企業に勤務し、海外の企業や販売代理店とやりとりをする営業職です。
担当する国の文化や習慣、ビジネススタイルなども理解したうえで、自社の商品・サービスを相手国に広めていく役割を担います。
「商社マン」は、あらゆる「もの」を世界中と取引する商社に勤務し、営業などの仕事に従事する人のことです。
とくに総合商社では、資源開発や新エネルギー開発などへの投資業務といったダイナミックな事業も手掛けており、グローバルな活躍ができます。
続いて、貿易関連の専門職を紹介します。
「通関士」は、「もの」を輸出、輸入するときに必要な税関での手続きを代行する専門家です。
国家資格を取得し、通関業務を専門とする企業や、商社およびメーカーの貿易部門などで活躍します。
同じように、海外との取引がある企業や通関業者などでは「貿易事務」も活躍しています。
貿易事務は、必要に応じて海外企業とも交渉しながら、ものの輸入・輸出に必要な書類作成や調整業務を担当します。
海外営業は、メーカーなどの企業に勤務し、海外の顧客を担当する営業職です。 勤務先の事業内容によって、欧州や米国、アジアなど、世界のさまざまな国を担当する可能性があります。 顧客に自社商品・サービスを広めたり、新規顧客を開拓したりすることは国内営業と同様です。 ただ、海外営業の場合、相手国の商習慣や文化なども理解したうえで、交渉や商談を進めていかなくてはならない難しさがあります。 商社マンとは、一般的には、海外と商取引を行う「商社」に勤務する人のことを意味します。 そのなかでも「総合職」として採用され、営業など、顧客と直接やりとりしながら前線で活躍する仕事に就く人を商社マンと呼ぶことが多いです。 商社は、食品や医療品、繊維、鉄鋼、石油、自動車など多種多様な商材を扱う「総合商社」と、一部のジャンルの商材を取り扱う「専門商社」に分けられます。 とくに総合商社は規模が大きな企業が多く、もののやりとりだけでなく、金融事業や投資業務など、グローバルでダイナミックな事業を手掛けています。 通関士とは、海外の国と「もの」の輸出入をする際に必要とされる、通関書類の作成や手続きを代行する専門職です。 貿易関連では唯一の国家資格となっており、国家試験に合格した人が「通関士」と呼ばれます。 通関書類や手続きは一般の人にとっては非常に複雑で、専門的な知識がないとできないものが多くあります。 民間の通関業者のほか、商社や貿易会社、流通会社などで広く活躍できる職種です。 貿易事務は、メーカーや商社、通関業者、船会社・航空会社などに勤務し、ものの輸出入取引の際に発生する事務手続きを担当します。 事務職の一種で、国家資格は存在しませんが、「一般事務」に比べて貿易に関する専門的な知識が求められる職種です。 勤務先によっては、「コレポン」と呼ばれる連絡調整業務を任されることもあり、海外の取引先と外国語を使ってやり取りをします。海外営業
商社マン
通関士
貿易事務
国際協力に関わる仕事
次に、国際協力に関わる仕事について取り上げます。
ここで紹介する仕事は、一般的な民間企業への就職ではなく、国際関連の機関や団体で活躍するものが多いです。
最初に、「国際公務員」は、国連とその専門機関に勤める職員を広く指し示す言葉です。
国際公務員は、国の概念を超えた中立的な立場で、国際平和や国際協力に関するプロジェクト(開発途上国への技術や教育の支援、難民救済など)に取り組みます。
国際公務員のうち、国連本体と下部機関に勤務する人は「国連職員」と呼ばれます。
次に、「JICA職員」は、独立行政法人「JICA(日本国際協力機構)」に勤務する職員です。
JICA職員は、国から供与されるODA(政府開発援助)を使用し、開発途上国の支援プロジェクトの進行管理等を行っています。
そのJICAにおける海外協力隊事業のひとつで、発展途上国でボランティアとして活動する人たちが「青年海外協力隊」です。
続いて「JETRO職員」は、独立行政法人「JETRO(日本貿易振興機構)」に勤務する人です。
JETROでは、民間とは異なる立場から、日本経済のグローバル化や発展を支援する活動を行います。
「NGO職員」は、「NGO(Non Governmental Organization:非政府組織)」と種別される団体に所属する人の総称です。
NGOは政府や国際機関とは異なる民間団体の立場で、貧困や飢餓、人権、環境破壊、紛争といったグローバルな問題に向き合っています。
国際公務員は、国連と、その専門機関に勤める職員のことを意味しています。 国の概念を超えて、中立的な立場で、国際平和や国際協力に関するプロジェクトに取り組むのが国際公務員の使命です。 具体的な活動内容として、開発途上国への技術や教育の支援、環境保護、難民救済などが挙げられます。 専門組織としては、国際児童基金(UNICEF)、国際教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)などがよく知られています。 国連職員とは、国際公務員のうち、国連本体と下部機関に勤務する人を指しています。 国際公務員と同様、どの国にも属さない中立的な立場で、世界の諸問題(世界各地の難民の救済や保護、テロ対策、核不拡散への働きかけなど)を解決するための仕事をします。 勤務先はニューヨークにある国連事務局のほか、世界各地にある関連機関の事務所です。 ITや教育、貿易、金融、環境など、おのおのの専門的知識・スキルを発揮して世界中で活躍できるチャンスがあります。 JICA職員は、JICA(日本国際協力機構)に所属する人です。 JICAは、国から供与されるODA(政府開発援助)を使用し、開発途上国を支援する組織です。 JICA職員は、東京にある本部や国内各地の拠点、あるいは海外拠点のいずれかに勤務し、各プロジェクトの企画・マネジメント業務に従事します。 自らがプロジェクトの現場で実働することは基本的にはありませんが、常に海外を意識しながら仕事を進めていく、非常に国際的な仕事です。 青年海外協力隊は、JICAにおける海外協力隊事業のひとつで、発展途上国でボランティアとして活動する人のことです。 正確には、JICAにて「一般案件」で派遣される隊員のうち、20歳から45歳までの人が「青年海外協力隊」と呼ばれます。 青年海外協力隊は、さまざまな職種で募集されており、「コミュニティ開発」「青少年活動」「日本語教育」「観光」「省エネルギー」など、全体で約120の仕事があります。 なかには「看護師」など、専門的な資格や職務経験が生かせる仕事もあります。 JETRO職員は、「JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)」という組織に所属する人のことです。 JETROは、政府や民間企業とは異なる立場で、日本企業の海外展開支援、対日投資・外国企業誘致などを行い、日本経済のグローバル化と発展を支援する役割を担っています。 JETRO職員は日本国内の事務所のほか、海外70ヵ国以上の事務所や研究所でも活躍しています。 NGO職員は、「NGO(非政府組織)」という団体に所属する人のことを意味します。 NGOでは、政府や国際機関とは異なる民間の立場で、社会のさまざまな課題解決のための活動を行っています。 日本には400以上のNGO団体があるとされ、それぞれが独自の活動理念や使命を掲げています。 とくに途上国が抱える貧困・紛争・教育などの問題や、世界的な人権問題、環境問題などに取り組む団体が多いです。国際公務員
国連職員
JICA職員
青年海外協力隊
JETRO職員
NGO職員
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国家公務員として働ける国際関係の仕事
ここでは、「国家公務員」として活躍できる国際関係の仕事を紹介します。
民間企業の社員とは異なり、国や国民全体のための仕事をすることが特徴です。
「入国審査官」は、港や空港において、日本に出入国する外国人や、出帰国する日本人の審査・管理業務に携わる職種です。
日本に違法・危険なものが持ち込まれないかなどを厳しくチェックし、日本の安全を守ります。
次に、「外交官」は、日本を代表して外国との交渉や交流に携わる専門職です。
外務省や世界の在外公館(大使館や総領事館)に勤務し、海外との政治・経済的な連携を果たしたり、治安や災害発生などの情報の収集などに取り組んだりします。
入国審査官とは、おもに空港や港において、日本に出入国する外国人や、出帰国する日本人の審査・管理業務に従事する国家公務員です。 違法なもの(武器や薬物など)が外国から日本に持ち込まれないか、犯罪者のような危険な人物が入国しないかどうかなどを水際で厳しくチェックすることにより、日本の安全を守ります。 仕事内容は厳しさを含んでいますが、外国人と接する機会が多く、空港のような国際色豊かな環境で働ける機会が多い職種です。 外交官は、日本を代表して、外国との交渉や交流に携わる国家公務員です。 外務省のほか、世界各地の在外公館(大使館や総領事館)に勤務する人もいます。 外交官の役割は、海外諸国との政治的な交渉事や経済的な連携に取り組むことで、日本の平和や国民の安全を守ることです。 もし、海外で暮らす日本人が事件・事故に巻き込まれた際には、その安否を確認するなど重要な役割を担います。 外国を相手に対外折衝にあたる機会が多く、強い責任感や語学力、コミュニケーション力などが求められます。入国審査官
外交官
教育・語学と関わりが深い国際関係の仕事
最後に、教育・語学との関わりが深い国際関係の仕事について紹介します。
ここで取り上げる仕事は、海外の文化に興味がある人、海外で生まれ育った人とコミュニケーションをとるのが好きな人などに向いています。
「日本語教師」は、日本語を母国語としない人に、日本語の語彙や発音、文法などを教える先生のことです。
国内の日本語学校・スクールのほか、海外の学校や、国際協力活動の一環として途上国などで働く人もいます。
「翻訳者」は、外国語の文章を日本語に、または日本語の文章を外国語にといったように、2ヵ国の言語を訳す仕事です。
翻訳が必要とされるものには、小説などの出版物やビジネスの場で使われる契約書、あるいは映画やドラマの字幕などがあります。
外国語の能力、とくに「読み書き」の十分なスキルが求められます。
「通訳」は、2つ以上の異なる言語を、お互いの言葉に訳す人のことです。
外国語能力はもちろん、相手国の文化や歴史なども理解し、相手の言葉の裏にある思いやニュアンスまで掴み取って訳していくスキルが求められます。
日本語教師は、日本語を母国語としない留学生やビジネスパーソンなどに対して、日本語を教える先生です。 単に日本語の語彙や発音、文法などを教えるだけでなく、その背景にある日本の文化や歴史、地理なども伝え、日本についての理解を深めながら日本語を理解する手助けをします。 日本語を使って教える方法と、学習者の母国語を使って教える方法があり、後者の場合は外国語の能力も求められます。 国内の日本語学校・スクールのほか、海外の学校で働くこともでき、人によっては国際協力活動に従事する際に日本語教師のスキルを生かしています。 翻訳者は、外国語の文章を日本語、または日本語の文章を外国語に訳す人のことです。 翻訳のジャンルを大きく分けると、文芸作品のような出版物を扱う「文芸翻訳」、ビジネスで使用される契約書などを扱う「実務翻訳(産業翻訳)」、そして映画やドラマなどを扱う「映像翻訳」の3つがあります。 いずれの翻訳に携わる際にも、日本語と外国語の橋渡しをしながら、そこで述べられていること・語られていることを適切に伝えていく力が求められます。 企業内で働く人もいますが、フリーランスとして個人で仕事をする人が圧倒的に多い職業です。 通訳は、「日本語」と「英語」など、2つ以上の異なる言語を、お互いの言葉に訳す人のことです。 ビジネスや国際会議、スポーツや芸能、観光など、さまざまな場で活躍しています。 通訳の手法として「同時通訳」「逐次(ちくじ)通訳」「ウィスパリング」などがあり、それらのスキルを習得するためには、専門的なトレーニングをする必要があります。 取り扱う外国語の高い能力はもちろん、相手国の文化や歴史の理解、そして日本語での表現能力や語彙力なども求められてきます。 翻訳者と同じように、フリーランスで働く人が多い職種です。日本語教師
翻訳者
通訳
この記事のまとめ
ここで紹介したように、国際関係の仕事にはさまざまな種類があり、それぞれ仕事内容や勤務先などが大きく異なります。
学生時代にボランティア活動を経験してきた人は、国際協力の仕事に興味をもつかもしれません。
海外の文化やコミュニケーションに興味がある人は、語学や教育系の仕事がいいなと感じるかもしれません。
将来どのように海外と関わっていきたいのかを考えてみることで、あなたの進むべき道が見えてくるでしょう。
興味のある職業が見つかったら、ぜひさらに詳しく調べてみてください。
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