税関職員になるには? 難易度・必要な資格・高卒でもなれる?
税関職員の試験の難易度や倍率は高くなりがちなため、早いうちから準備をしておく必要があります。
税関の仕事では語学力や税に関する知識が求められるため、学生のうちからそれらに触れておくと有利になるでしょう。
ここでは税関職員になるための道のりをご紹介します。
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税関職員になるまでの道のり
税関職員は、大きく分けて以下の2種類の立場で働く人がいます。
将来の幹部候補生として活躍する総合職を目指すのであれば、人事院が行う「国家公務員採用総合職試験」を受験し、その後官庁訪問を経て採用通知を受けることが必要です。
総合職の採用人数は毎年10名に満たず、非常に狭き門となっており、激戦をくぐり抜けた優秀な人材だけが就くことができるといえます。
一般職を目指す場合には、人事院が実施する「国家公務員採用一般職試験」を受験し、試験合格後に各税関での採用面接に合格することが必要です。
一般職試験には複数の区分があり、「大卒程度」は四年制大学、短大、高専卒、「高卒程度」は高卒または中卒の学歴があれば受験できます。
国家公務員という安定した地位が得られることから税関職員の人気は非常に高く、競争が厳しいことを理解しておきましょう。
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税関職員の資格・難易度
税関職員になるためには、公務員試験の合格が絶対条件です。
国家公務員試験の難易度は非常に高く、筆記試験や面接で、基本的な学力と総合的な人間性を判断されて採用者が決まります。
資格は必須ではありませんが、税関職員として働くうえで持っておくと役に立つといわれているのは語学の資格です。
税関職員は国の玄関口となる空港や港で働くことになるため、海外からのお客さまもたくさん相手にすることになります。
最低でも世界的に通用する言語である「英語」に関しては、ある程度の高い語学力を持っていることが重要です。
学生のうちから英語をしっかり勉強して「TOEIC」や「TOEFL」で高得点を取ったり、「英検」や「国連英検」の検定に合格するなど、努力をしておくとよいでしょう。
税関職員になるための学校の種類
税関職員になるための学校は、総合職と一般職で異なります。
総合職は「大学卒業以上」の学歴が条件となります。
学費は国立大学で初年度80万円ほど、私立大学では初年度100万円〜130万円ほどです。
キャリア官僚を目指す競争率の厳しい試験で、東京大学などの難関一流大学の優秀な学生が多く採用される傾向にあるため、並大抵の学力では合格は困難でしょう。
ただ、試験を受験する際に試験区分を選び、文系・理系に関わらず得意な分野の試験を受けることが可能です。
一方で、一般職の場合は学歴の縛りはありません。
「大卒程度の試験」と「高卒者向けの試験」に分かれているため、それぞれの受験生の学歴・学力に合わせて受験することができます。
ただし、必要な受験科目は、民法・憲法・行政法などの法律科目、ミクロ経済学やマクロ経済学などの経済科目、数的推理などもあり、合計で20科目以上です。
合格するためには相当な勉強時間が必要といわれているため、長期的に準備しておく必要があるでしょう。
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税関職員に向いている人
税関職員に向いているのは、まずコミュニケーション能力がある人です。
税関職員の仕事のほとんどは、人と接するものだからです。
通関審査では通関業者や輸出入者と接しますし、事後調査では輸出入をしている企業の社長や責任者と関わりがあります。
また、外国船舶の監視・取締業務では外国船の乗組員などとやり取りをすることも多く、円滑に業務を進めるためにはコミュニケーション能力が欠かせません。
相手から情報をうまく引き出す能力や理論的に説明する会話力が必要となるため、研修でも現場を想定したシミュレーションを行っています。
また、語学力とプレゼンテーション力がある人も、税関職員に向いているといえます。
英語だけでなく、中国語、フランス語、ロシア語などが話せることは、強みとなります。
採用されてからe-ラーニングを利用したオンラインで勉強できる環境も整っていますが、自己学習で進めておくとよいでしょう。
また総合職では海外でプレゼンテーションをする機会や国際会議で発言する業務もあるため、プレゼンテーション能力があると現場で役立ちます。
税関職員のキャリアプラン・キャリアパス
税関職員が一人前になるには、法律や簿記・財務などに関する幅広い知識を身につけることが必要です。
その名のとおり「税=税金の徴収」と「関=通関手続き」をする仕事のため、税金を徴収するための知識が求められます。
輸出入する企業の貿易取引の流れや、直接貿易・間接貿易などの形態、お金の動きを知ることで税金の徴収漏れがないかということを判断していくことが必要です。
専門事務や語学などを学べる研修制度が充実しているので、働きながら努力を重ね、経験や知識を身につけていく必要があるでしょう。
総合職の場合は、関税局や各地の税関での勤務を経て、4年目以降は政策の企画・立案、ほかの省庁への出向、税関長などの管理職ポストを目指すことになります。
海外留学、各国大使館、WCO(世界税関機構)など、世界でも活躍するチャンスが広がるのが特徴で、個人の能力に合わせてさまざまなキャリアパスを描くことができるでしょう。
一般職の場合は、現場のエキスパートとしてのキャリアが期待されており、各地の税関において中堅幹部を目指します。
税関職員を目指せる年齢は?
税関職員を目指せる年齢は、基本的には30歳までです。
たとえば総合職の大卒程度試験、および一般職の受験資格は「21歳以上30歳未満の者(試験実施年度の4月1日における年齢)」と定められています。
なるべく若いうちから目指すほうが、なるためのチャンスを広げることができます。
ただし、民間企業・官公庁・国際機関等において勤務経験のある人を対象とする、いわゆる経験者採用の募集では、応募時の年齢制限は設けられていません。
税関職員は高卒から目指せる?
税関職員は、高卒からでも目指すことができます。
「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)」の受験資格は、高等学校または中等教育学校を卒業した人が該当するため、合格すれば税関職員として働くことが可能です。
ただし高卒者試験の受験資格には条件があり、高校や中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない人、および試験を受ける年の3月までに卒業見込みの人となっています。
期限が過ぎて該当しない場合は、受験資格すらなくなってしまうため気をつけましょう。
税関職員は女性でもなれる?
税関職員は、女性でもなることができます。
犯罪を食い止めるという責任の重さから、精神的にきつさを感じる一面はありますが、公務員なので男女によって待遇に差がつくケースはありません。
出産や育児に関する福利厚生も充実しており、3年間の育児休暇や小学校入学まで育児短時間勤務が認められるなど、民間企業と比べても手厚いのが魅力です。
国際的に活躍したいけれども、私生活のバランスも取りたいという女性にとって、税関職員は非常に有力な職業の一つといえるでしょう。
「税関職員になるには?」まとめ
税関職員には、幹部候補となる総合職を目指す道と、現場のエキスパートとなる一般職を目指す道があります。
どちらのルートを選ぶにしても非常に狭き門であり、また国家公務員試験には30歳までの年齢上限が定められています。
税関職員を目指す場合は、学生のうちから将来を見据えて準備しておく必要があるでしょう。