和裁士のつらいこと・大変なこと・苦労

和裁士のつらいこと・大変なこと

納期に追われる日々

得意先の呉服店や個人からの依頼で「どうしてもこの期日までに仕上げてほしい」と要望を受けることもあります。

こうした無理な依頼を受けると、プライベートを削ってでも納期までに依頼品を仕上げなければいけません。

また、反物のサイズがどう考えても足りないのに希望のデザインに仕上げてほしいなど、無理な依頼内容に泣かされることも多くあります。

もちろんできないことはしっかりと断らなくてはいけませんが、和裁士の数は少なく、依頼する側も和裁士の技術を頼ってきています。

依頼主の希望を最大限尊重しながら、納期に間に合わせたり最大限の提案をしたりすることは、骨の折れるプロセスでしょう。

修業の大変さ

和裁士になるためには、和裁所や専門学校で和裁のスキルを1から身に付けなくてはなりません。

簡単な襦袢(じゅばん)からはじまり、浴衣、着物を仕立てるようになり、その後訪問着や羽織、振り袖、留め袖など高級な商品を扱えるようになります。

修業時代は数年ほど朝から深夜まで縫い続ける日々が続きます。

さらに給料は基本的に歩合制であるため、作業時間がかかればかかるほど単価が下がってしまうのです。

しかし、このきつい修業時代を乗り越えれば、和裁のスキルも身につきますし、自分の好きな時間に好きなペースで仕事ができ、単価も上がります。

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和裁士の悩み

基本的には一人仕事

和裁士は基本一人で黙々と仕事を行うため、誰かと協力して仕事をしたり、会話をして息抜きをしたりすることができません。

お客さまが頻繁に来たり、呉服店やデパートなどと日常的にやりとりしたりするのであれば接客もありますが、そうでなければ一人でひたすら仕事と向き合う日々が続きます。

和裁士は、一人でコツコツ仕事をするのが苦手な人には向いていないでしょう。

身体的なつらさ

和裁士は長時間ほぼ座りっぱなしで、細かい作業をこなさなくてはなりません。

その作業体勢のせいで、長年仕事を続けていると、慢性的な肩こり、腰痛、疲れ目などに悩まされる人が大半です。

仕事を続けているうちに腕が上がらなくなったり、ヘルニアになったり、視力がひどく落ちてしまうなど、深刻な事態になりかねません。

経済的な苦労

和裁士の収入状況は、国家資格である和裁技能士1級を持つ人でも、和裁所に勤めた場合月給20万円程度です。

フリーランスで能力のある人は多くの顧客を抱える人もいますが、和服業界全体が不況の現在、少ない依頼数を分け合うような状況です。

そのため、同年代の一般企業勤めの人に比べると収入は半分ほど、という場合も少なくありません。

和裁士のかたわら、和裁教室や着付け教室の講師、和服のショップを経営するなどして、収入の足しにしている和裁士もいます。

和裁士を辞める理由で多いものは?

和裁士を辞める理由で多いものは、高齢化です。

現在では、高齢により仕事ができなくなった和裁士が次々と引退して和裁士の数が減っており、若手の和裁士に期待が集まっています。

ただし、和裁士の現状として給料が少ないことや長時間労働など環境の悪さがあり、こうしたことを理由に早期離職をする人も少なくありません。