和裁士になるには? 資格の難易度はどれくらい?

和裁士になるまでの道のり

大学や専門学校の和裁コースで学ぶ

和裁士を目指す上で最も一般的なのが、和裁を学べる大学や専門学校のコースに進学することです。

和裁士を育てる大学や専門学校のコースは全国各地にあり、多くは4年間から5年間で和裁技術を習得します。

大学や専門学校に通う利点は、和裁のいろはを体系立てて学べるため、資格試験対策がしやすい点です。

国家資格である和裁技能士は3級から1級までがあり、1級を持っていると就職や開業に有利になる傾向があります。

また、大学や専門学校時代に講師や就職支援室などを通じて、将来のクライアントとなる可能性のある呉服店やレンタル衣装会社などとパイプを作ることができる可能性があります。

和裁所に入社する

反物から和服に仕立てる行程を、和裁所と呼ばれる和裁士が所属する会社に依頼している呉服店は少なくありません。

和裁所では基本的に社員として月給制で働きます。

和裁所に入社するのに和裁技能士資格は必ずしも必要ではありません。

専門学校で資格を取得し、すぐに和裁所で正社員として働く人もいますが、多くの和裁所には見習い制度があり、この間給与は低いものの、商品を教材として学ぶことができます。

そして見習い期間を終了すると、正社員登用の道が開けます。

個人教室で学ぶ

和裁士として和服を仕立てるかたわら、和裁を教える個人教室を開業している和裁士もいます。

こうした和裁士に師事し、和裁技術を学ぶこともできます。

個人教室の利点は費用が比較的安く、スケジュールを選べるため気軽に始めやすいところです。

しかしその反面レベルの違う他の生徒さんたちと一緒に受講するため先生の注意を引くのが難しい、レッスン時間が短いためなかなかステップアップしない、などのデメリットもあります。

本気でプロを目指すというよりも、趣味として和裁を始めたい人に向いているといえるでしょう。

通信教育で学ぶ

大学や専門学校によっては、通信教育講座を開設しているところもあります。

本業があり、学校に通う時間が取れない人には便利な学習方法と言えるでしょう。

しかし通信教育講座は全体的な数が少ない上に、先生の手際や技術を目の当たりにすることができない、自分の作品をチェックしてもらう機会が少ないなどのデメリットがあります。

和裁士になるまでのルート

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和裁士の資格・検定・免許

国家資格である「和裁技能士」

和裁士の資格には、国家資格である「和裁技能士」があります。

厚生労働省により実施される技能検定のひとつで、合格者は「和裁技能士」資格を取得できます。

1級、2級、3級の3つのレベルがあり、和裁士が社員として所属する和裁所の求人では、1級もしくは2級和裁技能士資格を持っていることを条件としていることもあります。

和裁技能士の検定試験

和裁技能士検定は、厚生労働省により実施される技能検定のひとつで、合格者は「和裁技能士」資格を取得できます。

年1回の実施で、受験地は全国各地にあります。合格発表は同じ年の3月に行われます。

1から3の級によって、受験資格は以下のように異なっています。

<1級の受験資格>
・7年以上の実務経験
・専門高校卒業後、実務経験が6年
・2級合格後、実務経験が2年(専門過程の高度職業訓練など一部の教育課程修了の場合は1年)
・3級合格後、実務経験が4年(一部の教育課程修了の場合は2年または1年)

<2級の受験資格>
2年以上の実務経験または所定の学校にて学科修了

<3級の受験資格>
半年以上の実務経験または所定の学校にて学科修了

この条件から見ると、対象の大学や専門学校を修了していると、必要実務経験が免除される、短くなるなどのメリットがあることが分かります。

試験内容は、学科試験と実技試験です。

試験内容は、受験する級によって異なります。

3級の実技試験は長襦袢の仕立て、1級と2級ではそれぞれレベルの異なる長着の仕立てが課されます。

和裁技能士の資格は取得に長い年数と経験を要します。

しかし裏を返せば、ある程度経験と技術を持った人しか受験できないため、合格率は1級で50~60%、2級で55~60%、3級で80%と、高い平均値が出ています。

和裁検定の試験

和裁検定には、受験資格は特に設けられていません。

学歴、年齢、経験に関わらず受験できます。

例外として、1級受験者は、東商検定または国家検定の2級取得者であることが求められます。

試験内容は、筆記と実技です。1級と2級には長着仕立ての実技に加え、部分縫いの試験も課されます。

近年合格率は1級16.7%、2級:64.7%、3級:60.0%、4級:83.6%となっています。
参照:資格の王道

和裁士に関連する資格を持っていると和裁士の求人に応募する際に有利になったり、フリーランスとして活動する場合にも、依頼人からの信頼を得やすく仕事が取りやすくなる、というメリットが考えられるでしょう。

和裁士になるための学校の種類

和裁専門コースのある大学

和裁専門コースのある大学は、数は多くないものの全国にあります。

和裁という職業柄、女子大学や芸術大学の服飾関係学科にコースが設けられているのが一般的です。

また、伝統工業産業が盛んな京都府や石川県の大学に和裁専門コースがあります。

大学で和裁を学ぶことのメリットは、和裁について体系的に学べることで、技術の面だけではなく、総合的に和裁のエキスパートとなれるところでしょう。

将来的に和裁の講師になりたいと考えている人にとっては、大学は非常に有意義な選択といえます。

和裁専門コースのある専門学校

専門学校の場合、大学に比べると「和服専門学校」や「きもの専門学校」と、より和服に特化しているところが多いです。

大学と同じく、和裁学科に2年制と4年制を設置している専門学校が多いですが、師範学科(指導者を育てることを念頭に置いた学科)だと、5年制というところもあります。

専門学校のメリットは、学校にはよりますが、おおむね大学よりも学費が安い点があげられます。

また和裁技能士検定試験1級または2級合格を学科内の目標としているところも多く、検定試験合格に照準を絞りたい人に向いているでしょう。

和裁教室

個人で和裁教室を開講している先生のところで学ぶ、という選択肢もありますが、和裁のプロを目指す人には向かないでしょう。

1日に勉強する時間が他の教育機関に比べ少なく、資格試験合格を目指せるほどの総合知識を体系立てて学ぶことが難しい、ということがあげられます。

和服を縫ってみたいという純粋な好奇心から和裁教室に通い、趣味が講じて独学で勉強をし、検定試験に合格したという人もいますので、自分に合った学校を選ぶことが必要です。

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和裁士のキャリアプラン・キャリアパス

大手の和裁所では新人を積極的に採用しているところもありますが、和裁士として働く場合、まずは見習いや弟子入りを申し込むのが一般的です。

個人で仕立てをしている人の下で、和裁について学んだり仕事をしたりする場合、まずは共通の知人を通して紹介してもらったり、元々和裁教室の先生だった人に弟子入りするなどの方法をとります。

和裁所で見習いとして働くメリットは、無料で和裁の基本から応用までを教えてもらえるところです。

一通り基本をマスターした後は、自分で縫った和服の仕立て代をお給料として受け取れる和裁所も多いです。

師匠とマンツーマンに近い形で接するため、技術をじっくりと見て覚えられることも大きなメリットです。

ただし弟子入りの場合、仕事と私生活を分けずに弟子を下働きのように使う師匠も少なくありません。

見習いや弟子入りをする場合は、しっかりと下調べをし、技術を覚えるという強い覚悟が必要になるでしょう。

和裁士を目指せる年齢は?

和裁士になるために特別な学歴や資格は必要ないため、誰でもいつからでも目指すことができます。

実際に主婦になってから仕事を始めたという人もいますし、高齢になってからでも体力さえあれば働けるため、70~80代でも活躍している人は大勢います。

男性の和裁士

男性が和裁士になるには

男性でも、和裁士になるための勉強は女性と変わりません。

大学や専門学校の和裁専門コースに通う、和裁所に見習いとして入所して学ぶ、教室や通信教育で学ぶなどの方法があります。

和裁専門コースのある大学は女子大が多いため、男性には不利な状況と言えます。

男性が入学できない専門学校も以前は多くありましたが、現在では入学資格を女性のみに限っている専門学校は減ってきています。

和裁所についても専門学校と同様、男性に門戸を開いているケースが多いですが、寮に入寮できないという制限がある和裁所もあります。

男性和裁士の苦労とは

和裁について勉強している段階で、圧倒的に女性が多い環境がストレスになる男性もいるようです。

また、女性の方が指や手つきがしなやかで、細かい作業に向いていることもあり、勉強を始めたばかりの頃は、技術面で遅れをとってしまう男性もいるようです。

和服業界全体が不況と言われている今、和裁士の収入面も厳しくなっています。

夫の収入をメインとして、それをサポートする目的で和裁士の仕事をする既婚女性は多いです。

しかし依然大黒柱としての収入を男性に求める風潮が強い中、男性が和裁士の仕事で家庭を支えられるのか、という不安が出てくるかもしれません。

男性和裁士の特徴

やはり圧倒的に女性が多い世界ですから、男性の和裁士というだけで珍しがられるでしょう。

そこに技術が伴えば、顧客に好印象を与えることができるのではないでしょうか。

また、和裁士として依頼された和服を縫うだけではなく、さまざまな面から和服業界を盛り上げていきたい、というビジネスマインドを持っている男性和裁士は多いようです。

そのため、和裁士としてキャリアをスタートさせ、最終的には和裁所や呉服店をオープンした、という男性和裁士の例が見られます。

男性でも女性でも、しっかりとした技術を身につけることが、一流の和裁士になる基本と言えるでしょう。

和裁士の求人状況・見習い募集はある?

和裁士の就職先にはどんなところがある?

和裁士は、和裁所で働くのが一般的です。

和裁所とは、和裁士が所属し、呉服店などから反物やお直しの和服を預かり仕事をする会社です。

なかには独立して一人で仕事を請け負って働いている人もいます。

どちらの場合も、呉服屋や複数の業者と契約をしていたり、業者を介さずに直接お店とやり取りしたりして仕事を受注します。

和裁士の求人の状況

和裁所の社員の求人

和裁所は全国各地にあり、社員の求人も年間を通して行われています。

和裁所の社員の場合、1級または2級和裁技能士の国家資格を持っていると給与が高くなったり、転職に有利になることが多いようです。

しかしそれらの資格を持っていなくても、和裁専門学校を卒業した、もしくは和裁の経験があるという場合の経験者募集も多く見られます。

まったく和裁の経験がない場合、和裁を勉強したいという志があれば、見習いとして和裁所の社員を目指します。

その場合毎月給与は出ることが多いようですが、和裁技能士や経験者と比べると格段に低くなりがちです。

パート職員の求人

パート職員として働く和裁士もいます。

パート職員はひとりで一枚の和服をすべて仕上げるというよりも、検反や仕上がってきた和服のチェック、簡単なお直しなど、部分的な仕事をまかされることが多いようです。

パート職員の場合は時給制になり、残業が発生すれば時間ごとに時給を払わなければいけません。

時間がかかる上に納期が決められている仕立ては任せにくい、という事情から社員と分業しているところが大半です。

フリーランスの和裁士の求人

和裁所よりも規模が小さく、個人経営の場合が多い仕立て屋という経営形態があります。

仕立て屋は呉服店または個人客から反物やお直しの品を預かり、その仕事を、登録しているフリーランスの和裁士に外注として回すというスタイルです。

ある程度自分の裁量で仕事ができるのがフリーランスの魅力ですが、仕事の量が安定しないため、収入にダイレクトに影響する、というデメリットがあります。

また、いい加減な仕事をすると発注がなくなるというプレッシャーもあることから、丁寧で納期を守った仕事ができる、プロの和裁士であることが求められます。

和裁士の志望動機・面接

和裁士を目指す人の大半は、もともと和服や和装が好きという人がほとんどです。

たとえ和裁の経験がなくても、和服が好きで着付けや和服のデザインの知識があれば、ぜひアピールしましょう。

和裁の経験がある場合は、どのような仕立てを経験したか、一日にどれぐらいの作業ができるかなど、具体的な内容を話せるようにしておきましょう。

就職先はどのように探したらいい?

和裁所へ就職する際は、和裁を習った師匠や学校で紹介してもらうことが一般的です。

和裁士の元には求人情報が寄せられますので、師匠に紹介してもらい和裁所に社員として入社します。

見習いの場合は、一定期間終了後、希望者は社員登用試験を受けて、合格すれば社員になれる和裁所が大半です。

また在学中に得たコネクションや講師の紹介などで、フリーランスとして独立する人もいます。

和裁士への転職

和裁の勉強をする

専門学校に入学して和裁士を目指す場合、主なのは4年間、または5年間のコースを専攻します。

時間も費用もかかりますが、一から丁寧に教えてもらえるという点ではしっかりとした技術を身につけやすいといえます。

また、和裁技能士などの資格にチャレンジしやすくなるのもメリットです。

和裁士の見習いになる

未経験者を受け入れている和裁所に見習いとして入所する方法もあります。

この場合、和裁所のシステムにもよりますが、見習いとして勉強をしながら、仕立てた和服分だけ月々のお給料として受け取ります。

和裁士の年齢制限

和裁士の勉強を始めるのに、特に年齢制限はありません。

そのため、強い意志と根気さえあれば、和裁士への転職はすべての人に門戸が開かれているのです。

ただ、座りっぱなしで長時間細かい作業をする職業のため、視力や集中力の面では年齢的な限界があるかもしれません。