和裁士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
和裁士の仕事とは
和裁士は一枚の長い布である反物を、立体感のある人間が着る和服に仕立てる仕事です。
いわば2次元のものを3次元のものに作り替える仕事です。
基本的にはミシンなどの機械は使わず、すべて手縫いで行われます。
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和裁士の業務の内容
お直しの仕事
体型が変わった、体格が異なる人に和服を譲りたい、古くなった和服を修理したい、といった際に依頼が入るのが、お直しの仕事です。
お直しの仕事には、主に以下のようなものがあります。
寸法直し
加齢と共に体型が変わった、体格が違う人に和服を譲りたい、といった場合には、寸法を測り直し、合うサイズに仕立て直します。
ほころび直し
経年劣化で縫い目にほころびの出てしまった和服を修理します。
たるみ直し
経年と共に和服の生地は変化し、生地が縮んだり傷んだりした場合、表地と裏地の釣り合いが取れなくなることがあります。
その場合、縮んだ部分に合わせて全体のバランスを整えます。
仕上げ直し
畳み方や保管方法によっては、和服に不必要なシワができてしまうことがあります。
改めて着る際にはこのシワをとる作業を行います。
仕立て直し
寸法を大幅に変えたい、デザインを変えたいという大掛かりなお直しの場合は、縫い目を一度すべてほどき、縫い直しをします。
指導者としての仕事
経験を積み、実際に和裁士として縫製の仕事をするかたわら指導者となる道もあります。
この場合は、和裁士育成の専門学校や和裁所(和裁士の勤める会社)、個人教室、カルチャーセンターなどで、教師や講師として和裁を教えます。
高い技術と経験が必要とされる和裁士の仕事は、とてもプロフェッショナルな専門職といえるでしょう。
和裁士の役割
和裁士には、日本の伝統である着物の文化を守り、後世に伝える役割を担っています。
現代では日常的に着物を着る人口は減りつつありますが、近年は和裁士が高齢化し、人数が減ってきているため需要が高まっています。
また、海外から着物が注目を集め、技術の高い日本の和裁士は海外から仕事を受けることも珍しくありません。
海外の人には扱えない高度な技術を持ち、日本の着物文化を世界に伝えていくのは、和裁士の重要な役割です。
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和裁士の勤務先の種類
和裁士の勤務先は、和裁を専門に行う和裁所、呉服店などがあります。
個人事業主として和裁を行う人も非常に多く、和裁所や呉服店、デパートなどと契約を結び、店舗や事務所を持たず在宅で仕事をしている人も少なくありません。
お茶や日舞などで日常的に和服を着用する人もいますし、ファッションとして和服を身に付ける人も少なくなく、個人から口コミで依頼を受けることもあります。
また、和裁教室や和裁学校を開きながら自ら和裁を手掛ける人もいます。
和裁士の仕事の流れ
新品の仕立ては以下のような手順で行われます。
・依頼人から預かった反物をまず検反します。反物に大きなほころびや傷がないか、チェックします。
↓
・仕立てをする際には、身頃や襟などの合わせ目の柄が一致するように柄合わせをします。
↓
・柄合わせの結果をもとに、反物を裁断していきます。
↓
・縫いしろを決め、印つけをします。
↓
・印つけに沿って本縫製をしていきます。
和裁は、基本的にお客さまから預かったり指定されたりした反物を使うため失敗が許されず、集中力が求められる仕事です。