サウンドクリエイターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「サウンドクリエイター」とは
ゲーム音楽やアニメ、映画作品などに流れるサウンドを作曲する。
サウンドクリエイターとは、ゲーム音楽やアニメ、映画などのサウンドを作る人のことです。
「作曲家」や「サウンドディレクター」と同じような意味で使われることもあります。
この仕事をするうえで必須の資格はありませんが、作曲能力をはじめ、DTM(DAW)ソフトを使いこなす力が必要です。
そのため、サウンドクリエイターの専門学校や音楽大学を出て、ゲーム関連企業、音楽・アニメ・映像・コンテンツなどの制作会社へ就職する人が多くなっています。
若手も多く活躍しており、平均年収は400万円程度とされますが、個人の実力や勤務形態の違いによっても差が出ます。
コンテンツ産業のさらなる発展が見込まれるなかで安定した需要がある一方、独学でサウンド制作の世界に参入するも増え、競争はさらに厳しくなっています。
「サウンドクリエイター」の仕事紹介
サウンドクリエイターの仕事内容
ゲーム、アニメ、映画などで流れる「音」を作る仕事
サウンドクリエイターとは、ゲーム音楽やアニメ、映画などのサウンドを作る人のことです。
サウンドクリエイターは、仕事の依頼を受けるとクライアントや制作に関わる各担当者と打ち合わせを重ね、曲のイメージや方向性を固めます。
作曲はおもに「Pro Tools」や「Cubase」などのDTM(DAW)ソフトを使って行い、声優のボイスや演奏楽曲はスタジオでレコーディングします。
最終的に「サウンドプログラマー」がMIDIデータに仕上げますが、この作業まで自ら行うサウンドクリエイターも多いです。
作曲家との違いは?
サウンドクリエイターは、「サウンド(音)」を「作る」という意味では、作曲家とほぼ同じ仕事をするといっても過言ではありません。
ただ、サウンドクリエイターは、とくにゲームやアニメなどのエンターテインメントコンテンツに深く関わることが多いです。
一方、作曲家の場合、クラシックから歌謡曲など幅広い音楽に関わり、各作曲家が専門領域で活動しています。
関連記事サウンドクリエイターの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
サウンドクリエイターになるには
サウンド作りの基礎を学び、就職するのが一般的
サウンドクリエイターになる道のりに、決まったものはありません。
主要な活躍の場であるゲーム関連企業、音楽・アニメ・映像・コンテンツなどの制作会社、パチンコ・パチスロメーカーなどにサウンドクリエイターとして就職するのが、ひとつの一般的なルートといえます。
特別な資格は求められないことが多いですが、各企業の採用試験では、デモテープ審査をはじめ、音楽理論などの筆記試験、作曲などの実技試験が行われることが多いです。
したがって、まずはサウンド制作のスキルや、音楽の基礎知識を習得することを目指すとよいでしょう。
専門学校や独学で勉強する人が多い
サウンド制作を学べる場として、サウンドクリエイター志望者向けの専門学校があります。
専門学校ではDTMのスキルや作曲の知識などを基礎から学べる、実践的なカリキュラムが用意されています。
一方、独学で作曲の基礎を学び、自身でDTMソフトを使って曲作りをすることも可能です。
公募のコンテストに応募したり、企業にデモテープを送ることで声をかけてもらえる可能性もあります。
サウンドクリエイターの学校・学費
音楽系の専門学校でサウンドクリエイトを学ぶ
サウンドクリエイター志望者の進学先として代表的なのが、音楽系の専門学校です。
そこではDTMのスキルや音楽理論、作曲の基礎知識、レコーディング技術などを幅広く学ぶことが可能です。
サウンドクリエイター志望者に焦点を当てたコースを置く学校もあり、実践的なカリキュラムに力を入れています。
大学への進学を希望する場合は、音楽大学、もしくは一般大学の情報工学系の学部・学科が挙げられます。
音楽大学では、音楽を学問として体系的に学んでいき、情報工学系の学部・学科では、おもにコンピュータを使ったサウンド形成の技術を学びます。
サウンドクリエイトに特化した学びができる大学も少しずつ増えています。
独学でもサウンドクリエイターは目指せる
サウンドクリエイターになるために、専門学校や大学に通うことが必須ではありません。
制作会社によっては学歴不問で採用していますし、独学で作曲の基礎を学び、DTMソフトを使って曲作りをする人も大勢います。
ただ、サウンドクリエイターは実力勝負の仕事であるため、一人で技術を身につけていくのは簡単ではありません。
ただ音楽が好きというだけでなく、よい作品を完成させるための覚悟やプロ意識、音に対するセンスや感性を磨き続ける努力が不可欠です。
サウンドクリエイターの資格・試験の難易度
資格よりも専門知識や技術の習得が重要
サウンドクリエイターを目指すうえで、特別な資格は必要ありません。
各社の求人募集を見ても、資格よりも経験や実績、スキル、センスなどが重視される傾向にあります。
サウンドクリエイターの業務では、作曲や音楽理論の知識、デジタルを用いたサウンドプログラミングに関する技術などが必要です。
就職前にそれらの基礎を学んでおくことで、就職がスムーズに進むことがあります。
資格は必要なくても、主体的に専門知識と技術を磨いていく努力を惜しまないことが、この仕事で成功するためには不可欠です。
サウンドクリエイターの給料・年収
個人の実力や経験、勤務先によって差が出やすい
サウンドクリエイターの平均年収は400万円前後がボリュームゾーンとされています。
特別に高い金額とはいえませんが、個人の実力が大きく問われる仕事であるため、人によって給料には大きな差が出やすいです。
また、勤務先の企業の規模によっても年収差が出てきます。
比較的よい収入が見込めるのが、大手ゲームメーカーに正社員として就職した場合です。
初任給は20万円~24万円ほどですが、キャリアを重ねることで確実な昇給が望めます。
大手企業では各種手当や福利厚生も充実しているところが多いですが、中小規模の制作会社は、大手ほど待遇がよくないこともめずらしくありません。
独立した場合の収入は?
サウンドクリエイターは、実績を積んでいくと、独立する人もいます。
業界内でも名が知られる人気クリエイターになれば、単価が上がり、大きなプロジェクトの依頼がきて、さらなる収入アップを目指せます。
人によっては年収1000万円以上に達するケースもあります。
しかし、近年ではデジタル機材の普及や新規参入者が増えたことなどによって、「単価が安く、納期は短い」という、サウンドクリエイター泣かせの案件が増加している現状もあります。
厳しい業界で安定した収入を得て生き残っていくのは簡単ではないと考えておいたほうがよいでしょう。
関連記事サウンドクリエイターの年収はいくら? 給料についてくわしく解説
サウンドクリエイターの現状と将来性・今後の見通し
活躍の場は広いが、確かな実力がなければ生き残れない
サウンドクリエイターは、ゲームやアニメなどのエンターテインメントコンテンツを中心に、さまざまな場で需要がある職業です。
現代ではアプリゲームで流れるサウンドのニーズが増しており、活躍の場はさらに広がっています。
一方、コンピュータやIT技術の普及・発展により、DTMの敷居が下がって、誰もが気軽にサウンド作りに挑戦できるようになりました。
結果としてサウンドを作れる人の数が増え、単価は下落傾向になるなど、サウンドクリエイターを取り巻く状況は厳しい面もあります。
人気があるゲームやアニメのサウンド制作を希望しながらも叶わず、希望とは異なる領域の仕事に関わっている人も多いのが実需です。
今後もさらなるコンテンツ産業の発展が見込まれますが、競争は厳しく、生き残るには地道に腕を磨いて認められるための努力が必要不可欠です。
サウンドクリエイターの就職先・活躍の場
ゲーム関連企業やコンテンツ制作会社など勤務先は多彩
サウンドクリエイターのおもな就職先には、ゲーム関連企業や音楽・アニメ・映像などの制作会社、あるいはパチンコ・パチスロメーカーなどが挙げられます。
しかし、どのような企業においても、専業のサウンドクリエイターとしての募集人数はさほど多いわけではありません。
大手企業には正社員のサウンドクリエイターも在籍しますが、就職できる人はごく一部に限られています。
規模の小さな会社では、アルバイトなど非正規でのサウンドクリエイターを雇用したり、外部協力スタッフとしてフリーランスと業務委託契約を結んでいたりする場合が多いです。
このように、サウンドクリエイターには多様な働き方があり、勤務先によって求められるスキルや経験レベルには差があります。
サウンドクリエイターの1日
制作業務とミーティングが中心
サウンドクリエイターの1日の流れは、基本的にはサウンドを制作することと、他のスタッフとのミーティングや打ち合わせの繰り返しです。
職場によっては朝はやや遅めの出勤が認められていたり、フレックスタイム制を取り入れており、個人でスケジュールを調整して柔軟な勤務時間で働けます。
ここでは、ゲーム制作会社で働くサウンドクリエイターのある1日を紹介します。
関連記事サウンドクリエイターの1日のスケジュール・生活スタイル
サウンドクリエイターのやりがい、楽しさ
自分の実力やセンスを表現でき、形にも残せる仕事
サウンドクリエイターの最も大きなやりがいのひとつは、自分で新しい音を生み出せることです。
何もないところから、自分のイメージやアイデアを音によって表現することは刺激的ですし、その人自身の実力やセンスが試されます。
もともと音楽が好きな人にとって、毎日、音と深く関わっていけるこの仕事は、まさに天職といえるでしょう。
また、サウンドクリエイターが作った音楽は「サウンドトラック」としてCDなどの形で残ることもあります。
自分の名前が作品のクレジットに掲載されることは大きな喜びであり、誇らしい気持ちになります。
サウンドクリエイターとして注目が高まると、より大きなプロジェクトに参加できる機会が増え、ますますやりがいを感じます。
サウンドクリエイターのつらいこと、大変なこと
厳しい競争のなかで成果を残すプレッシャー
サウンドクリエイターは、技術やセンスがある人は高く評価される一方、厳しい競争のなかで疲弊し、そのまま現場から消えてしまう人もいます。
意欲的な若い人材はどんどん出てくるため、生き残るために自らの感性を磨き続けなくてはならないことは、この仕事の大変な一面です。
この仕事は作品という結果だけで評価されやすいため、常にクオリティの高いものを生み出さなくてはならないプレッシャーを強く感じる人も多いです。
クライアントの要求に応える難しさ
サウンドクリエイターは、基本的にはクライアントの要求に応える必要があります。
自分の思い通りに自由に作曲ができるわけではないため、さまざまな葛藤を抱えながら働く人は少なくありません。
納期に追われながら、関係者のニーズに応えつつ質の高いサウンドを作り続けるには、心身ともにタフさが要求されます。
サウンドクリエイターに向いている人・適性
音に対する感度が高く、理想の音作りに没頭できる人
サウンドクリエイターは、ただ「音楽が好き」というだけでなく、よい作品を完成させるための覚悟やプロ意識、そして音に対する自分自身のセンスや感性を磨き続けることが不可欠です。
そうした努力ができる人が、サウンドクリエイターに向いているといえます。
加えて、確かな技術を備えたうえで、自分なりの個性や感性を取り入れたオリジナリティを追求することも大切です。
また、サウンドクリエイターはどのような場所で働くにしても多忙になりがちです。
時間に追われながらも、手を抜かずに自分のやるべき仕事にとことん没頭できるタイプの人が、サウンドクリエイターには向いています。
関連記事サウンドクリエイターに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
サウンドクリエイター志望動機・目指すきっかけ
自分が作る音で人々に感動を与えたい
サウンドクリエイターを目指す人は、「音」に対する興味が強く、自分自身で新しいサウンドを生み出したいという意欲があります。
もともと多様なジャンルの音楽が大好きという人もいますし、ゲームやアニメ作品の音や音楽に感動し、自分でもそうした音作りに携わって人々に感動を与えたいという思いから、この仕事を目指すケースも少なくありません。
仕事のなかで自分の力を試し、さらに自分そのものを音を通して表現できることに魅力を感じている人が多いようです。
求人はさほど多くなく、実力勝負の厳しい世界ではありますが、本気で音作りを突き詰めたい人にとっては、どこまでも挑戦していける魅力的な仕事といえるでしょう。
サウンドクリエイターの雇用形態・働き方
経験や実力によって多様な働き方が可能な仕事
サウンドクリエイターは、ゲーム関連企業や、アニメや映像などの制作会社に正社員として勤務する人のほか、契約社員、派遣社員、アルバイトなど、さまざまな雇用形態で活躍しています。
一般的に、最も待遇がよいのは大手企業ですが、そうした場で働けるサウンドクリエイターは限られています。
制作会社は規模の小さなところも多く、給料は時給制の非正規で、ほとんど福利厚生もない職場で働いている人もいるのが実情です。
このほか、特定の企業には所属しないフリーランスとして、クライアントと業務委託契約を結び、個人で活動していく人がいます。
フリーランスになると、自分の考え方次第で多様な案件に携わるチャンスができますが、実力がなければ仕事が得られず、不安定な生活になります。
サウンドクリエイターの勤務時間・休日・生活
案件の進捗状況によっては残業時間も増える
正社員として制作会社などに勤務するサウンドクリエイターの勤務時間は、日勤で実働8時間程度、土日祝が休みの完全週休2日制が基本です。
ただし、声優のボイス収録がある日などは、土日にスタジオ入りすることもあります。
各スタッフとの打ち合わせ、楽曲制作、効果音制作、ボイスや楽曲収録、サウンドプログラム構築など、作業工程は多岐にわたっており、多忙な日々を送ります。
平常時は残業が少ないものの、納期前や繁忙期には残業時間が大幅に増えがちです。
プロジェクトがひと段落した時期が唯一、心から落ち着いて休息をとれるタイミングで、ここでまとめて休みをとるような人もいます。
サウンドクリエイターの求人・就職状況・需要
まずは業界に入り込むことが重要
サウンドクリエイターを募集する企業のなかでも、大手のゲームメーカーはとくに人気が高いため、就職試験の競争倍率は極めて高くなっています。
即戦力を求める企業も多く、実際のサウンド制作の技術を磨くために、学生時代にアルバイトをして実務経験を積んだり、インターンシップに応募したりするのもひとつの方法です。
中小規模の制作会社では、積極的に求人を出していないケースもあります。
その場合、複数の企業にデモテープを送るなどして自分を売り込んだり、自分から問い合わせてみたりする行動が必要です。
また、この仕事は実務経験が重視されるため、まずは正社員以外の雇用形態であっても業界に入り、そこから人脈を広げて、仕事につなげるチャンスを掴み取る人もいます。
サウンドクリエイターの転職状況・未経験採用
学歴・職歴はあまり問われないが、経験や実力が重視される
サウンドクリエイターは専門的な職種であり、学歴や資格ではなく、経験と実力が重視されやすい仕事です。
そのため、すでに同様の仕事や業界で経験のある人、実績を残している人ほど採用されやすいといえます。
未経験者であってもサウンドクリエイターを目指すことはできますが、その場合、独学でもDTMや作曲の基本的なスキルを身につけていることや、何か光る才能があると認められる必要があります。
多くの企業では、サウンドクリエイターの就職試験でデモテープ審査を行っています。
自分の作品をできるだけ多く作り、自信あるものを提出できるように準備しておくことが大事です。
未経験から独学でサウンドクリエイターになれる?
スキルアップを目指し、自分から行動する積極性が重要
サウンドクリエイターは、資質やセンス、努力する気持ち、熱意などがあれば、誰でも未経験からサウンドクリエイターを目指せます。
音楽理論や作曲のノウハウ、またDTMなどのソフトの扱い方は、書籍やインターネットを活用して十分に学べます。
最近はDTMの独学での学習方法をブログやSNS、動画などで発信している人も多く、それらが参考になるでしょう。
独学に限界を感じたら、通信講座や民間のスクールを利用するのも手です。
ただ、いくら強く「サウンドクリエイターになりたい」と思っていても、勝手にチャンスが舞い込んでくるほど甘い世界ではありません。
基礎的な知識や技術を身につけたら、デモテープをどんどん作り、制作会社等へ送るなどのアクションをとりましょう。
たとえ求人が出ていなかったとしても、ときには問い合わせてアタックしてみるといった行動力も求められます。
自らチャンスを掴み取る努力が必要です。