指揮者の年収・給料はどれくらい? 初任給や統計データも解説

指揮者の平均年収・給料

指揮者の年収は、その人の認知度や実力などによって大きく異なるのが現状です。

指揮者の多くはオーケストラに所属して給料を得ており、そこでは、それぞれの指揮者がもつ「称号」によって年間の演奏回数等がほぼ決められています。

実力があり知名度の高い指揮者であればあるほど1ステージ当たりの収益は高くなり、自らの収入も増えていきます。

指揮者の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

指揮者の平均年収_2023
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、指揮者の平均年収は、38.4歳で574万円ほどとなっています。

・平均年齢:38.4歳
・勤続年数:11.3年
・労働時間/月:164時間/月
・超過労働:6時間/月
・月額給与:408,000円
・年間賞与:842,300円
・平均年収:5,738,300円

出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
指揮者の年収の推移_r5

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

指揮者の初任給はどれくらい?

指揮者コンクールで入賞しデビューしたてだったり、まだ経験の浅かったりする若手の指揮者の場合、1回のギャランティは20~30万円程度です。

若手の場合は定期的に指揮の機会が与えられるわけではないため、下積み時代はアマチュアの楽団に所属し、アルバイトをしながら指揮者の仕事を探す人もいます。

また、生活を支えるために指揮者になってからもオーケストラでの指揮だけでなく、大学や音楽学校での講師業を通じて収入を得ている人も大勢います。

指揮者の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

指揮者の年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります。

10〜99人規模の事業所に勤める指揮者の平均年収は448万円、100〜999人規模は515万円、1,000人以上の規模では784万円、10人以上規模の事業所平均は574万円となっています。

指揮者の年収(規模別)_r5

上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト声楽家など他職業を含むデータです。

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

指揮者の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

指揮者の年収を年齢別に見ると、多少ばらつきがありますが、600万円~800万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、50~54歳の905万円です。

全年代の平均年収は574万円となっています。

指揮者の年収(年齢別)_r5

上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト、声楽家など他職業を含むデータです。

指揮者の福利厚生の特徴は?

著名なオーケストラや楽団に所属している場合を除き、指揮者は個人事業主として活躍している人がほとんどです。

そのため、一般的な企業にあるような福利厚生は望めません。

講師として働く場合、大手音楽教室や音楽学校の一部では福利厚生を受けることもできます。

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指揮者の給料・年収の特徴

指揮者のギャランティ

指揮者はそれぞれに与えられた「称号」によって年間の演奏回数や出演料が決められており、基本的にはリハーサルの数日と本番当日でいくら、というようにギャランティが設定されます。

中堅の指揮者になると50~120万円程度となることが多く、世界で活躍するような指揮者となると1回のギャランティが500万を越すこともあります。

一方で指揮者として成功するのは簡単なことではありません。

さまざまな活躍の仕方をしている人がいるため一概にはいえませんが、平均年収は400〜900万円程度がボリュームゾーンとなります。

実力によって給料には大きな差

指揮者の年収は、世界をまたにかけるような活躍をみせれば1000万円を超えることも難しくありません。

また、ネームバリューで会場を満員にできるほどの観客を呼ぶことができるレベルの指揮者になれば、収入はさらに大きく跳ね上がります。

一方、知名度がなければ年収200万円に届かないこともざらで、苦しい生活を強いられる指揮者がいるのも現状です。

不安定な収入

指揮者の仕事は定期的ではないため、月によって収入が変動することも珍しくありません。

例えば年末年始や大型連休などお客さまが入りやすい時期には演奏会が立て込むこともありますし、スケジュールによってはたまたま依頼がほとんどないという月もあります。

安定した収入を得られる指揮者はほんの一握りのため、生活を考える上では長い目で計画をたてることが必要でしょう。

副業・兼業も多い

指揮者の仕事だけで生計を立てるのは大変難しいため、指揮の仕事以外にさまざまな仕事を掛け持ちする人は少なくありません。

たとえば音楽学校などで講師の仕事をしたり、自宅で個人レッスンを開いたりなど、さまざまな工夫をして収入を増やしています。

自己負担も多い

成功した指揮者の給料は非常に高いように見えますが、指揮者として働くには自己負担しなければならない費用も多くあります。

指揮者は楽器が弾けることが前提で、多くの場合はピアノを所有していますが、プロ並みの演奏を求める場合、ピアノは1台1000万円ほどです。

また別な楽器を所有したり、勉強のために大量の楽譜やCD、レコード、楽典などを購入したりすることも珍しくありません。

日本と海外を行き来する場合には、どちらにも自宅や練習場を構える場合が多いため、これにも多額の費用がかかります。

高額な年収の裏には、自己研鑽のための自己負担が多いことも知っておく必要があるでしょう。

指揮者の勤務先別の給料・年収

オーケストラ・楽団に所属する指揮者

実力ある指揮者の中には、特定のオーケストラや楽団と深く関わる人もいます。

「常任指揮者」や「専任指揮者」はそのオーケストラ専属で指揮をします。

また「音楽監督」となる場合は、オーケストラや楽団全体の運営や演奏の方針に関わります。

オーケストラに所属する場合の平均年収は、国内最高クラスとなれば約1000万円ほど、一方それほど知名度のない地方のオーケストラでは400万円ほどです。

豊富な実績を積んだ有名な指揮者になると、あちこちのオーケストラから高額の出演料で多くの出演依頼が入るようになります。

フリーランスの指揮者

どのオーケストラや楽団にも所属せず、「客演指揮者」としてさまざまなオーケストラの演奏に携わる人もいます。

その場合は1回ごとの出演料が収入となるため、不安定な生活を強いられます。

アマチュアのオーケストラや楽団を掛け持ちしたり、音楽教室の講師をしたりして生計を立てている指揮者も少なくありません。

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指揮者が収入を上げるためには?

指揮者としての収入を上げるためには、仕事の量を増やすこと、そしてギャランティの単価を上げることが考えられます。

指揮者にはそれぞれに与えられた「称号」によって年間の演奏回数や出演料が決まるため、収入をアップさせるには経験を積み実力をつけ、このランクを上げていかなくてはなりません。

また世界的なコンクールで入賞することも収入アップにつながります。

コンクールなどに挑戦し実力を証明することで、より知名度も上がりますし、プロのオーケストラから依頼を受けるといった仕事の機会も増えるでしょう。

そのため、指揮者としてデビューしたとしても努力を欠かさず、常に勉強し続けることが大切と言えます。