指揮者つらいこと・大変なこと・苦労

指揮者のつらいこと・大変なこと

多忙な毎日

クラシックのオーケストラ・コンサート自体は、頻繁にあるわけではありません。

しかし公演が決まると指揮者は寝る暇もないほど忙しい日々が続きます。

曲目の資料の読み込み、スコアの下調べ、曲想の構築、演奏者への細かい指示出しなど、ひとりで黙々と行う作業が山のようにあります。

大人数のオーケストラのトップとして注目を浴びる機会も多い指揮者ですが、演奏の全責任を負うのですから、そのプレッシャーは壮絶です。

演奏前になると、眠りたいのに眠れない、一時も演奏のことが頭から離れずリラックスできないなどと、精神的な負担も少なくありません。

体力勝負の仕事

意外に知られていないのが、指揮者の仕事は体力勝負なことです。

1度の公演は1時間半~2時間程度、長ければ3時間に及ぶこともあり、その間指揮棒を振り続けるには相当な体力が求められます。

そのために毎日ランニングを欠かさない、ジムで筋肉トレーニングを行っているという指揮者も少なくありません。

毎日の鍛錬が欠かせない

音色を操るためには、聴覚・音感の訓練も行わなくてはなりません。

オリジナルの聴覚訓練をしたり、言語のアクセントを意識した発声法を勉強したり、ピアノなどを用いて音感訓練を行うなど、自分の音感を鍛えるため・衰えさせないためのトレーニングは欠かせません。

指揮者になってからも、たくさんの訓練や修行、トレーニングが必要なのが「指揮者」という仕事なのです。

指揮者の悩み

フリーの指揮者や客演の場合は、コンサート直前に数回リハーサルをしただけで、本番を迎えることも珍しくありません。

それができる指揮者は実力者である場合が多く、演奏者からも敬意をもって迎え入れますが、ベテラン演奏者たちの心をつかみ、自分の思う音色を引き出すのは、どんなスター指揮者にとっても大変な作業です。

人の心をつかむことの難しさは、キャリアの浅い指揮者にとってはなおさらのことです。

新米指揮者は、音色の前にオーケストラメンバーの心をどうまとめていくかで、悩むケースが多いそうです。

いくら華々しい受賞歴があろうとも、演奏するメンバーの心をつかむことができなければ、曲をまとめあげることができません。

うまくリーダーシップを発揮し、誰とでも友好的に協力できるようにと、心理学について学んだり、若いころから多くの人と接してコミュニケーション力を磨く努力をしたりしている指揮者は多いそうです。

指揮者を辞める理由で多いものは?

指揮者を辞めるという人はほとんどいません。

指揮者、とくにプロオーケストラの指揮者は「なりたい」と思っても、簡単にはなれない難関の職業だからです。

ほとんどの場合、まずは音楽大学の指揮科などで学びますが、同時にピアノとそれ以外の楽器2、3種をプロレベルで弾けるよう演奏者としての腕も磨きます。

実際にプロオーケストラの演奏者に指示を与えるとき、自分が演奏できないようでは演奏者に認めてもらえません。

何パートもの楽譜を読みこなし、瞬時に頭の中でそのハーモニーを再現できる能力も必要で、ほかのどの科よりも、ハードで幅広い勉強が必要なのが指揮科なのです。

また音楽大学を卒業後、指揮者を目指そうと思うならオーケストラやフリーの指揮者などについて、長い下積みを経なければなりません。

師事する指揮者の仕事の手伝い、リハーサルで指揮の代役、下調べ、コンサートへの同行、ときには荷物持ちなど音楽に関係ない雑用も行います。

その合間に、人脈をつなぎ、師匠から指揮をする上でのコツを盗み、腕を磨いていくのです。

ときには市民オーケストラの指揮をボランティアで行って指揮や指導の練習を行うこともあります。

しかし、長年修行を積みさえすれば、いつかは指揮者になれるというものではありません。

国内にはオーケストラの数自体が少なく、指揮者の席は限られているのです。

世界的コンクールで入賞したり、新設楽団のオーディションに参加したりするなどしてキャリアを積み重ね、さらに運がよくなければ、指揮者としてデビューすることはできません。